2007/08/11(土)10:10
「ローマ人の物語23 危機と克服(下)」 塩野七生
ヴェスパシアヌスの長男として皇位に就いたティトゥスは誠実を身上とし、ヴェスヴィオ山の噴火によるポンペイの全滅、そして首都ローマの火災という惨事にも対策を怠らなかった。
しかし、不運にも病に倒れ、その治世は短命に終わる。
続いて皇帝となった弟ドミティアヌスは、死後「記録抹殺刑」に処せられる。
帝国の統治システムを強化し、安全保障にも尽力したにもかかわらず、なぜ市民や元老院からの憎悪の対象になったのか。<本書より>
父ヴェスパシアヌスの跡を継いだティトゥス。
この人は、子供の頃から父親のそばで軍団経験を積み、
父が皇帝となってからも共同統治者として、皇帝の仕事を学んできました。
性格も誠実だったようで、統治者としてなかなか評判は良かったようですが、四十歳の若さで病死。
治世は二年三ヶ月という短期間で終わります。
アラ、残念。。
このティトゥスの治世に、あのヴェスヴィオ火山の大噴火があったんですねえ。。
さらにローマの大火、疫病の流行など、災害等が相次ぎ、短いながら大変な治世であったようです。
お疲れさんです。。。
そしてティトゥスの跡を継いだのは、三十歳だった弟のドミティアヌス。
皇帝として、なかなか頑張った人だと思うのですが、四十代半ばにして暗殺され、
死後、ネロと同じ「記録抹殺刑」に処せられてしまいます。
ドミティアヌスを殺したのは、皇后ドミティアつきの解放奴隷ステファヌスという男らしいですが、
なんだか理由がはっきりしませんね。
まあ後継者問題に絡んで、いろいろ事はあったようですけどね。。
「記録抹殺刑」というのも、ちょっと気の毒ですねえ。。
塩野さんは、近衛軍団や辺境軍団の動きを封ずるためであろうという見方をしていますが、
元老院が暗殺の首謀者が誰かを問うこともなかったというのは、なんかおかしいですよねえ。。。
生前ドミティアヌスは、新たに「終身財務官」という役職をつくり、それに就任しましたが、
この「財務官」の権限の中には、ローマの指導層に相応しくないとされた元老院議員を追放できるというのがありました。
このことが、反皇帝派の元老院議員たちには、脅威だったということもあるんでしょうかねえ。。
で、次の皇帝になったのが、七十歳のネルヴァ。
ここから、五賢帝時代が始まることになります。
ネルヴァは、ゲルマニア防衛担当の軍司令官トライアヌスを後継者に指名して、
一年四ヶ月で治世を終えます。
次は、ローマ帝国初の属州出身皇帝トライアヌスの登場です。
ローマ人の物語(23)
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