2010/08/31(火)22:44
「人斬り以蔵」 司馬遼太郎
自己流の暗殺剣法を編み出し、
盲目的な殺し屋として幕末の世を震えあがらせた岡田以蔵の数奇な生涯を描く表題作。
日本陸軍建軍の祖といわれる大村益次郎の半生を綴った『鬼謀の人』ほか、
『割って、城を』『おお、大砲』『言い触らし団右衛門』『売ろう物語』など。
時代の変革期に生きた人間の内面を鋭く抉り、
長編とは異なった人間理解の冴を見せる好短編全8編を収録する。
人斬り以蔵改版新潮文庫価格:700円(税込、送料別)
幕末、戦国期に生きた人物を描いた歴史短編集。
「鬼謀の人」「人斬り以蔵」「割って、城を」「おお、大砲」「言い触らし団右衛門」「大夫殿坂」
「美濃浪人」「売ろう物語」の八編が収録されてます。
「鬼謀の人」は、長編「花神」の主人公でもあった大村益次郎。
益次郎の生涯を、非常にコンパクトにまとめていましたねー。
益次郎の変人ぶりは相変わらず可笑しいですが、
ちょっと無愛想過ぎて、人の心の機敏というものがわからず、
それがいつの間にか恨みを買ってしまい、あんな最期になるとは、ちょっと残念…
幕末という世でなかったら、きっと貧乏な村医者で終わった人でしょうに、
人の運命とは本当に不思議なものですねぇ。。
「人斬り以蔵」は、大河ドラマ「龍馬伝」で佐藤健くんが演じていた岡田以蔵が主人公。
えー、以蔵はワンコなのだ!としみじみ感じました(^_^;)
それもかなり狂暴なワンコ(笑)
可愛すぎます、以蔵…
でも、哀しい生涯でしたよね。。
これを読むと、武市センセイがものすご~く嫌なヤツに思えるぜ…
あと「美濃浪人」も面白かったですね。
暗殺者に襲われ瀕死の重傷を負った長州の井上聞多を救った美濃の医者・所郁太郎が
主人公です。
二度も偶然に聞多を救った郁太郎。
本当に本当に運命って不思議なものですねぇ。。
しかし、聞多よ、キミは畳針で傷口を縫われたのかー!(ひえー)
よく助かりましたね、聞多…
ほとんど歴史の表舞台には出てこない、無名に近い人物の話ばかりでしたけど、
こういう人達も歴史の中に居て、激動の世の中を支えていたんだな~と、
しみじみと感じさせてくれる一冊でした