|
カテゴリ:HAWAIIのこといろいろ
神無月。十月はハワイ語で「オカコパ」と云います。一年中、夏を感じさせるハワイでも日照時間はだんだんと短くなり、冬の「マカヒキ」と呼ばれる季節がもうすぐ先に近づいてきます。
ビショップ博物館ハワイアンホールの二階、「ヴァオ カナカ」(人々の領域)をテーマに西欧人来島前の人々の生活を紹介しているコーナーに、ハワイアンの人々が習慣としていた季節と月齢が紹介されています。 それによると「カウヴェラ」と呼ばれる夏の暑く乾いた天気が続く季節は11月初旬に終わり、冬の湿った季候の「ホオイロ」のシーズンに移ります。現在ハワイで生活していても実感として理解出来る季節感です。この夏冬の観念とは時期が少々ずれるのですが、十月初旬から二月初旬にかけての四ヶ月間 の時期を「マカヒキ」と呼んでいました。何日から始まるかは定かに決まっておらず、日没直後に東の水平線上に「マカリイ」=スバル星団が始めて見えた日がそれにあたります。マカヒキの期間には、豊穣の神「ロノ」が白い布「カパ」を長くなびかせて遠くの海の彼方から現れると、言い伝えられていました。 ハワイアンホール一階、「カイ アーケア」(遠く彼方まで広がる海)をテーマにした展示物の中には、ポリネシアの島々から移動してきた人々が代々語り伝えてきた神話と歴史が紹介されています。ハワイアンの生活を司っていた四大神の内、「カーネ」神もその化身と共に展示されています。天と地を創り、生命を生み出す神であるカーネは、大海の神カナロアに対し、清水を司る神でもあります。山から流れ出る清らかな川の水を引いて営まれた農業、そこで育つタロイモ(カロ)、緑豊かな竹、そして、真水と海水とが混ざり合うところに創られた養魚場もカーネの司るものでした。 オアフ島の北東海岸、ポリネシア文化センターに向かって北へ続く海岸線の道路の近く、カネオヘ湾からクアロア牧場にかけての海沿いには、ハワイアンの人々が石を積み上げて創ったフィッシュポンドが三十七も在ったそうですが、現在はその内五つを残すのみになっています。 緑の山の頂から大きな谷へ、ハワイの人々の生活空間であったアフプアアを流れてきた清らかな水と海水が混ざり合う海岸近くに創られた養魚場。古来の生活の知恵が感じられます。ハワイの人々にとってはカーネの教えに則った手法だったのでしょう。 ハワイ語で「水」を「ワイ」と云いますが、海水と区別して、それ以外の液体をワイと表現します。このあたりにもカナロアとカーネの領域の違いを感じさせます。山間に滝をつくり川となって流れ落ちる水。貿易風により運ばれてきた雲が山に雨を降らせ、雲が散り、太陽の光が雨を照らして、ハワイでは美しい虹が緑の山を背景に一年中各所で見られます。アーヌエヌエ=レインボーも、カーネの化身として人々に賛美されています。 さて、日本の神無月の語源には諸説あるようですが、神様は皆、十月には出雲に集まっておられるのでしょうか? ホノルルのダウンタウンには百年以上の歴史を誇るハワイ出雲大社があります。日系移民のご苦労の歴史と共に歩んできた出雲大社では、毎年十月に秋祭りが開かれます。 2009年は10月11日(日)午後2時から開催されました。現在は多くの民族が協調して生活し、独特の文化を形成しているハワイです。お祭りでは日系人の歴史も垣間見られたことでしょう。 ☆ハワイ語一口メモ ポリネシア文化の中でもハワイ特有のものである養魚場=Fish Pond は「ロコ イア」と云います。 ロコは「池」や、何かの"中"の方向を指す言葉。イアは魚を意味します。 浅沼 正和 ビショップ博物館でボランティア ドーセント(案内人)を務め、博物館のメンバー組織の代表機関 "Bishop Museum Association Council" にも参加。ハワイとポリネシアの歴史文化の紹介に力を注いでいる。ハワイ在住通算19年、ハワイ日米協会やアロハフェスティバル等の非営利財団理事も務める。 ビショップ博物館ウェブサイト http://www.bishopmuseum.jp/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013.01.08 09:02:02
コメント(0) | コメントを書く
[HAWAIIのこといろいろ] カテゴリの最新記事
|