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日英行政官日記 (旧 英国日記帳)

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Jan 17, 2009
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「政策懇談会」を開催。
今回は、自分から、日本の財政についてプレゼンテーションを行った後、ディスカッション。


プレゼン概要

1 平成21年度予算の概要

・今回、定額給付金等を盛り込んだ平成20年度第2次補正予算及び、平成21年度予算は、現下の経済情勢に対応し、財政支出の拡大へ大きく舵を切る内容となっている。税収も大きく落ち込み、特別会計からの特例的な繰入れによる財源確保を行ってもなお、公債発行額が大きく増加している。

・他方で、無駄の削減についても重点的に取り組んでおり、公益法人向け支出の4割減等、客観的にみて相当の成果が上がっているが、あまり評価されていない。



2 日本の財政事情

・一般会計歳出総額は、ほぼ恒常的に税収を上回っており、両者の差が最も縮まったバブル期でさえも例外ではない。バブル崩壊後は税収が落ち込む一方、歳出は伸び続け、両者の差は拡大し、それが巨額の公債発行となっている。

・一般会計歳出中に占める国債費と社会保障関係費の比率が増大し、財政の硬直化が進んでいる。

・利払費は21年度予算で9.4兆円、1分あたり1792万円である。しかし、金利が低いために、公債残高の累増のわりには利払費が大きく増加しないで済んでいる。

・公債残高は右肩上がりで増大しており、21年度末には581兆円の見込みである。これは、国民一人あたり455万円に相当する。

・フローの財政収支は2008年から2009年にかけて悪化しているが、これは他の主要先進国でも同様である。しかし、債務残高の対GDP比では、日本は主要先進国中最悪となっている。



3 特別会計について

・特別会計は、例えば年金等、各個の事業を区分経理することにより、受益と負担の関係等を明確化するために設けられている。特別会計が財政を分かりにくくしているという指摘があるが、すべてを同一の会計で経理すれば、かえって分かりにくくなる。

・特別会計の歳出総額は21年度予算ベースで355兆円に上り、一般会計を大きく上回っているが、これは会計間の取引等の重複計上を含んでおり、あまり意味のない数字である。また、純計ベースでは169兆円だが、これも、約半分は国債償還費・利払費である。国債の元利償還を国債整理基金特別会計で集中的に行っているため、歳出額が大きくなっているが、一般会計と特別会計の歳出額の大きさを比べることに何ら意味はない。

・重複計上や、国債償還、社会保障等、別途議論すべき歳出を除いた、特別会計という観点から見直しの対象となる経費は10兆円程度である。これに相当する金額も、毎年縮減している。

・特別会計の積立金は、報道等で「埋蔵金」と呼ばれるが、これは全て法律に基づき所要の目的のために積み立てられ、金額等も公表されているものであり、何ら隠しているものではない。「埋蔵金」が何ら目的のない余った金を意味するのだとすれば、そのようなものは存在しないといってよい。しかし、積立金を他の用途に用いることが絶対に不可能というわけではない。今回、財投特会の準備金を財源として活用したように、高度な政策判断として法律を変えることはありうるわけである。

・いずれにせよ、一般会計と特別会計を合わせた国全体のバランスシートは277兆円の債務超過となっている。特別会計は単なる区分経理に過ぎず、一部の特別会計が資産超過であることのみに着目しても意味はない。



4 今後の課題

・政府は、2011年度にプライマリー・バランス黒字化の目標を掲げている。プライマリー・バランスとは、国債の償還費・利払費を除いた歳出と、公債金収入を除いた歳入が釣り合う状態であり、とりあえず財政悪化を「止血」できる水準という意味で、財政健全化の一里塚と位置付けられる。しかし、この一里塚の目標ですら、極めて達成困難な状況となっている。

・他方、我が国の人口構成は高齢化が進み、社会保障費が著しく増大していくことは明白である。

・国際的にみれば、西欧諸国などと比べても我が国の国民負担率はまだ低い水準にある。

・そこで政府は昨年末、持続可能な社会保障構築とそのための安定財源確保に向けた「中期プログラム」を策定した。ここでは、あくまで経済状況の好転を前提条件として、2011年に消費税を含む税制抜本改革を実施することに言及しているが、このような留保の付いた文章であっても、与党内で取りまとめが難航している状況である。

・増税より前に、「まずは無駄をなくせ」という議論は、正論であり、誰も反対できないが、落とし穴がある。まず、国民の誰もが「無駄」と思う「絶対的な無駄」はそれほど金額的に大きくない。多くは、ある国民にとっては必要であり、削減すれば痛みを伴う、「相対的な無駄」であり、簡単に削減することができない。また、「無駄」は完全にゼロになることはありえず、無駄減らしは常に必要な、永遠の課題である。そのため、「まずは無駄をなくせ」と主張し続ける限り、増税等の真に痛みを伴う決断を先送りすることになるが、その間にも高齢化は進み、財政悪化は進行し続けるのである。

・よく、国(政府)は、国民に負担を求める前に自らの身を削るべきであると言われるが、民主主義国会においては国(政府)と国民は本来同一であり、政府対国民、官対民といった二元論でとらえるべきでない。財政とは、国民間の資源配分にほかならず、ある国民と、別の国民の、利害調整であるという本質をとらえなければ、問題の解決にならない。いずれにせよ、現在の国民間の資源配分は、民主主義の過程で解決されるが、将来の国民は、現在の政策決定に関与できない。現在の国民が、痛みを伴う利害調整を先送りし、将来の国民に負担を転嫁することは、民主主義の理念に反するものである。



ディスカッションの概要

・特例公債は、毎年法律を出しながら、実態上は恒常化している。今回の財投特会からの繰入れ措置も、今後なし崩し的に続いてしまうおそれがあるのではないか。

・国債残高がどんなに増えても、日本国内で完結している限りは、国民間での利益の移転に過ぎないという見方もある。「財政破綻」とは現実にどのような問題なのか。

・財政破綻とは、「日本人が日本人であることを嫌いになる瞬間」ではないか。そのとき、人々は日本を見限って海外へ逃げて行くこととなる。

・財政破綻は、まさに現在アイスランドで起きている、経済、国家が破綻した状態である。日本の場合、アイスランドとは違って、国の借金のほとんどは自国民に対する自国通貨建てのものであり、国に徴税権がある以上は、破綻は起きないとも考えられる。しかし、国債費が爆発的に増えれば、政策的経費が圧迫され、政府が本来果たすべき公的機能を果たしえなくなる。大増税で借金を返せば、急激かつ強制的な国民間の所得移転が起き、社会に大混乱をもたらす。こうした事態に至らないように、債務残高を適度なレベルに抑えて行くことが財政運営の基本的な課題である。

・国民負担率が比較的低いということは、まだ余裕があるということではないか。

・将来、社会保障等の財政需要が増大することは目に見えているのであり、まだ余裕があるからこそ、負担の準備をしておかなければならない。

・むしろ、国民負担率が低いことによる影響が既に生じているというべきである。産婦人科医療や、教育等、各方面に財源不足のしわ寄せが来ている。「消費税が1%あればこれだけのことができる」ということを、国民に対しもっとうまくプレゼンテーションすべきではないか。

・理屈はどうあれ、一律に消費税を引き上げることへの国民の抵抗は強い。消費税にばかりこだわるのではなく、所得税の累進強化など、別の道を探るべきではないか。また、消費税も、一律に上げるのではなく、生活必需品については低くするなど、差をつけるべきではないか。

・教育等についても財源が必要であることはその通りであるが、とりあえず消費税については、現在全額社会保障給付に充てられており、増分もすべて社会保障に充てることが議論の前提となっている。その上で、社会保障国民会議において、社会保障の機能強化のために必要な施策と、そのために必要な財源の消費税換算を整理して明示している。

・所得税の累進強化については、勤労意欲の減退や、高額所得者の海外流出を招くおそれもあり、バランスが必要。日本は他国に比べて著しく消費課税が低いということが、消費税に着目する議論の背景にある。生活必需品については低くするといったことは十分検討に値するが、その場合に、何が生活必需品か、線引きが難しいという問題にも留意する必要がある。

・消費税を引き上げると、かえって景気後退を招くおそれがあるのではないか。

・平成9年の際のトラウマは政策関係者の間には深く残っており、今後の引き上げについても、そのタイミングは徹底的に議論されることとなろう。ただ、平成9年の景気後退は、金融機関の不良債権問題が噴出したことが本質と考えている。

・消費税に対する抵抗には、やはり政府、政治に対する不信があるのではないか。税収が上がっても、それが無駄な歳出に使われて、財政健全化につながらないという疑念があるのではないか。

・今回の議論では、消費税を引き上げた場合、その増収分は区分経理して全額社会保障給付に充て、「官の無駄」には一切行かないような仕組みとすることが想定されている。

・税収を確保するより、支出を切り詰める方が先であり、順番が違う。無駄はまだまだ多い。

・スウェーデンでは貯蓄率が低いと聞いた。日本人は、死ぬまで貯蓄して、子孫に引き継がせることが多いが、こうした富を公的部門に還元すべきではないか。

・イギリスでは景気対策としてVATの一時的な引下げが行われているが、イギリスでは、上げようと思えばいつでも上げられるという、政治家への信頼があるから、引下げが可能になっているともいえるのではないか。

・無駄の削減には相当取り組んでいるということであるが、予算の決め方、配分といった、仕組み自体により生じる無駄については、十分に手がついていないのではないか。

・地方自治体においても、積み上げ方式で予算を組むことによる無駄がある。予算要求を行う際に、あらかじめ査定されることを見越して水増しをしている。

・たしかに、積み上げ方式には限界もあり、トップダウンで先に予算の上限を決めてしまう方が、財政規律は守りやすい。イギリスの予算編成はこれに近い。ただし、そのためにはそもそも、予算編成を行う内閣(首相、閣僚)に責任と権限が集中している必要がある。イギリスと日本は同じ議院内閣制をとっているが、その実態はかなり異なっている。イギリスでは、名実ともに内閣に行政権が集中しているのに対し、日本では、憲法上は行政権は内閣に属するとされながら、与党が行政の意思決定過程にも相当程度関与しており、さらに与党との調整を担う官僚機構が独自の勢力となっている。行政権が、内閣、与党、官僚に事実上分立しているのである。






Last updated  Jan 21, 2009 11:46:06 PM
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