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私的に主宰する勉強会「政策懇談会」を開催。
今回は、経済産業省の坂本里和氏より、「成長戦略としての女性活躍の推進」とのテーマでプレゼンをいただき、ディスカッションいたしました。 <プレゼンの概要>(文責・高田) ・「女性活躍の推進」は、安倍政権が柱として掲げているが、その前から土台はあった。震災後、六重苦の中でどうやって日本経済を発展させていくかという文脈で議論がなされてきた。 1 女性就労の現状 ・諸外国と比較して日本の女性就業率は低水準。特に子育て年代の就業率が低い「M字カーブ」となっている。 ・第一子出産を機に離職する女性が6割超(この状況は20年以上変化なし)。 ・女性が出産を機に離職した理由は、長時間労働を背景に、「仕事と育児の両立の困難さ」が大きい。 ・男女ともに、「仕事と家庭生活をバランスよく行いたい」と希望する人の割合が高い。一方、現実は、「仕事」(男性)あるいは「家庭生活」(女性)のどちらかを優先している割合が高い。ワークライフバランスについて、男性と女性で理想は近いが、現実と異なっている。 ・我が国における役員・管理職の女性比率は、先進国の中で最低水準(アラブ諸国と同水準)。多くの先進国では管理職に占める女性の比率が3割から4割だが、日本では1割程度。役員に占める女性比率も極めて低い。韓国や欧州では、女性登用を増やすため、アファーマティブ・アクションをとっている。 ・国際的には、経済社会における女性の参画が進んでいる国ほど、競争力、所得(1人当たりのGDP)が上昇する傾向が見られる。世界経済フォーラムが発表した「ジェンダーギャップ指数」で、日本は136カ国中105位。我が国の女性参画が進んでいないことに対して、海外からも厳しい評価がなされている。 ・英国では、女性登用について、まずは情報開示といったソフトなアプローチをとっているが、それで効果が出なければクオータ制を導入することを示唆している。ボードへの女性登用を加速化させるため、FTSE100企業に対し、「2015年までに25%」という目標を設定。毎年の進捗状況を監視・公表している。ボードに全く女性がいない社も、ブラックリストとして公表されている。 ・「女性の就労促進は日本経済再生の重要課題」との認識は内外有識者において広く共有されている。アベノミクスにおける金融緩和策について正反対の見方をしているアダム・ポーゼン氏と河野龍太郎氏も、「女性の活用」のみについては一致している。 ・IMFのラガルド専務理事が紹介した研究によれば、70年代、オランダの女性就業率は日本より遙かに低水準であった。日本の女性就業率が50%台だったのに対し、オランダはわずか20%台。その後、90年代半ばに逆転。現在、オランダは北欧並の女性就業率を達成。伝統的・文化的に日本が特に「性別役割分担ありき」の特殊な社会であったわけではないとの証左。オランダにおける女性就業率の急上昇の背景には、「パートタイム労働者」の待遇改善に向けた政策の推進(同一労働同一賃金の原則の下で労働者が労働時間を自由に選べる制度の確立)がある。 ・80年代では、日本の女性就業率はOECD諸国の中で中間に位置。その後20年間で、日本の女性就業率も増加しているが、積極的な取組で女性就業率を急上昇させたOECD諸国のスピードに追いつかず、現在では下位に転落。 ・70年には、OECD加盟24か国における出生率と女性労働力率は負の相関関係にあったが、 80年代の半ばを境に「負」から「正」へ転換。これは、先進国において、経済発展とともに女性の社会進出が進んだことに伴い、女性が家庭で育児を担えなくなったため出生率が低下したが、その後、両立支援環境が整備された結果、仕事と出産・育児の両立が可能となったことによるもの。日本ではまだ、女性の就業率と出生率が正の相関になっていない。これは、両立支援の環境整備が進んでいないため。 2 成長戦略としての女性活躍推進 ・女性の活躍推進は、日本の「成長戦略の中核」。海外からは、日本経済の持続可能性の問題として注目されている。政府の調査会の報告書によれば、342万人の女性の就業希望者が就労すれば、給与所得で7兆円程度(GDPの約1.5%)増加するとの試算が示されているが、これは現在の、相対的に低い女性の給与を前提としているため、控えめな数字。日本の女性の就業率が男性並みに上昇すれば、GDPは16%上昇するとの民間のレポートもある。 ・安倍総理は、女性の活躍を、社会政策ではなく、「成長戦略の中核をなすもの」と述べた。そして、「2020年30%」の政府目標の達成に向けて、全上場企業において積極的に役員・管理職に女性を登用、まずは役員に一人は女性を登用することを経済界に要請した。 ・女性活躍の環境整備のための諸施策は、安倍政権の成長戦略である「日本再興戦略」にも盛り込まれている。 3 経済産業省の取組:「ダイバーシティ経営」の推進 ・女性の就業率は、高度成長期に低下。しかし、高度成長期の終焉とともに、「大量生産・価格競争」の成長モデルや、硬直的・画一的な「終身雇用・正社員・男性中心」の就労モデルの限界につきあたる。今日においては、女性、若者、高齢者、障害者等一人一人が、能力を発揮することで、活き活きと働く「全員参加社会」を実現し、「成熟」と「多様性」を力にしていくことが必要。 ・女性の就労促進は、世帯所得の増大による消費活性化、潜在成長率の向上、出生率の上昇を通じた長期的な成長力の確保につながる。しかし現状では、女性就労に「量」「質」両面で課題があり、両者の緊張関係を指摘する声もある。「量」の面においては、仕事と家庭の両立が困難なため、出産を機に女性の約6割が離職している。「質」の面においては、女性が働いていても、十分に能力を発揮できていないという問題がある。「入社時は優秀なのに伸びない」ことや、「マミーズトラックの問題」(出産・育児をする女性が、一線から外れたポジションに追いやられること)が指摘されている。量の方の政策に比べて、質の方が遅れている。 ・多様な人材をフル活用し、企業のパフォーマンスにつなげることは、グローバル企業の重要課題。女性の活躍推進はそのイントロダクション(試金石)。グローバル市場でも国内市場でも、購買決定の約2/3は女性が行うとされている。 ・女性活躍推進は、経営にも効果がある。「女性の活躍推進が進む企業ほど経営指標が良く、株式市場での評価も高まる」、「人材活用の観点から、ワークライフバランス(WLB)に取り組むことで、生産性が上昇する傾向が見られる」との調査結果も出ている。女性取締役のいる企業の方が、いない企業に比べ、株式パフォーマンスが良い。特に、リーマンショック等厳しい環境変化に対して強く、回復が高い傾向がある。 ・就職市場における女性活躍推進の「見える化」が重要。女子学生にとって、企業における働き続けやすさ・活躍しやすさを勘案することが必要。 <ディスカッションの概要> ・様々な企業の生の声を聞いて、どこまで本気度を感じるか。中間管理職は特に、女性の部下を使う中で、自らも成果を上げていかなければならない。組織全体が変わらなければ難しいのではないか。 ・やはりトップの姿勢が重要。例えば日産では、ルノーとの提携で会社が生まれ変わっている。トップの海外経験が豊富な企業、グローバル化が進んでいる企業では、本気でやらないとまずいという経営者としての直感が働く。 ・政府の対策の十分な効果が上がっていないように見えるが、ワークライフバランスの問題にどのように取り組むか。 ・職場環境の問題が大きい。育休の取得といった制度面はかなり整備されているが、実態面において、マミーズトラックの問題などがある。両立を可能とするためには、柔軟な働き方が鍵であり、職場を離れても仕事をできる環境が重要。 ・管理職比率を高めるといった、「質」の面まで一挙に行くのはハードルが高いため、まずは「量」の確保を優先するという考え方はあるか。 ・量と質は同時に進めるべき。活躍できる見込みがなければ、働き続けるインセンティブがなくなる。女性の中でもキャリア意識は人によって様々であり、一人の人の中でも、時によって変わる。そうした意識に柔軟に対応できることが重要。 ・「女性の社会進出」と同時に、「男性の家庭進出」を考えるべきであり、「なでしこ銘柄」で男性の育休取得率に着目しているのは正しい。男性の方の取組みも重要ではないか。 ・男性は男性から言われないと中々理解しない傾向があるため、男性が取り組むことは極めて重要。 ・小渕大臣の就任により、経産省内の雰囲気の変化はあるか。 ・大臣はやはり世の中への影響が大きい。女性の大臣が活躍することによる、ロールモデル効果が期待される。 ・公的機関では育休などへの許容度が比較的高いが、民間企業では理解が少ない。企業の経営者に対して、どのようにメリットを説明するか。 ・女性に着目すると、その企業が通常では採用できないような優秀な人を取れる可能性がある。また、女性職員が辞めて、新しい人を振り出しから育てるよりは、その女性職員を継続して使った方が効率も良い、といったことを説明する。 ・女性のマインドセットが教育により形成されている側面があり、日本では、本気で上を目指している女性が少ない。海外ではなぜ違うのか。 ・海外の方が、管理職になることのメリットが大きく、モチベーションが違うのではないか。また、日本ではロールモデルが少ない。 ・アメリカではマインドセットが違い、ワークライフバランスに対する考え方が男女含めて違う。アメリカでも昔は、ワークライフバランスは進んでいなかったが、それでは人が取れないことに気づき始めた。これに対し、日本は終身雇用のため、会社を辞めたくても辞められない。労働市場自体の変革が必要なのではないか。 ・まだ、女性活躍の問題を、労働市場の問題までつなげた議論はできていない。
Last updated
Sep 28, 2014 10:01:57 PM
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