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近代建築を代表する建築家ル・コルビュジェ(Le Corbusier)の最高傑作の一つとされるサヴォワ邸(Villa Savoye)を見学した。昨年、東京・上野の国立西洋美術館を含むコルビュジェの作品群が世界遺産登録され、コルビュジェの名は日本でも一躍クローズアップされた。彼はスイス出身だが、フランスにおいて最もその足跡を残している。サヴォワ邸と同様の個人宅として、少し前に建てられたラ・ロシュ邸は、職場のOECDから歩いて15分程度の距離にあり、先日、勤務中の昼休みに訪れた。このサヴォワ邸は、パリの郊外にあり、パリ中心部から、電車とバスを乗り継いで40分程度で着く。 資産家のVilla、すなわち別荘として建てられたこの家は、緑豊かな広大な敷地の中、周囲に何も遮るもの無くその優美な姿を現している。 サヴォワ邸は1931年、コルビュジェの近代建築理論を完全に体現する形で竣工された。フロアは壁ではなく柱によって支えられ、自由となった壁には大きな水平窓が開けられている。屋根は平たく、日光浴のできるテラスが設けられている。今日でこそ、こうした平たい箱型の建物は珍しくないが、当時のフランスにおいては、石造りの城館のような建物が一般的であり、現在でもそれは変わっていない。そうした中で、この建物はさぞかし斬新に映ったことだろう。もっとも、こうした芸術的な建築の常として、建設費用は予算を大きく上回り、また、居住性にも色々と問題があったという。だが、見学する分には、非常に楽しさを感じさせる邸宅であることは間違いない。
サヴォワ邸からの帰り、通り道にあるラ・デファンス(La Defense)に寄っていく。ラ・デファンスは、パリの郊外に「新都心」として開発された地区である。パリ市内は歴史的な景観が保持され、エッフェル塔とモンパルナス・タワーを除きほとんど高層建築は無いが、ラ・デファンス地区には、現代的な高層ビルが立ち並んでいる。東京でそうした光景を見慣れてきた者からすれば、むしろ懐かしささえ覚える風景だ。この地区のランドマークとなっているのが、中央が空洞となった巨大な門状のビル、グランド・アルシュ(Grande Arche)である。このビルは、ルーブル前のカルーゼル凱旋門、エトワール広場の凱旋門と一直線上に並び、新凱旋門とも呼ばれている。1989年、ここで先進国首脳会議、いわゆる「アルシュ・サミット」が開かれ、この特異な建物は日本のテレビでも強く印象に残った。自分がパリを初めて訪れた、1995年の大学の卒業旅行の際にも、この会場に自らの足で立ってみようと、このビルに登っている。 屋上の展望台からは、パリの風景が一望できる。シャンゼリゼ通りに沿った軸線上に立つ凱旋門、エッフェル塔、そしてブーローニュの森。そこには、フォンダシオン・ルイ・ヴィトン(Fondation Louis Vuitton)といった、以前には存在しなかった建物もある。このグランド・アルシュに、実に22年振りの再訪を果たしたことは感慨深い。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Sep 21, 2017 04:22:35 AM
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