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OECD Green Investment Financing Forumを、10月24日・25日の2日間に渡って開催した。これはグリーン・ファイナンス(環境金融)に関するOECDの旗艦コンファレンスであり、自分の属するチームにとって、年間で最も重要なイベントである。昨年は初めて、このイベントを東京で開催したが(2016年10月13日・14日の日記参照)、それと並んで、おそらく自分のOECD勤務における最大の業務となるだろう。
昨年の東京開催においては、ロジスティクスの大半を自分一人でこなさなければならなかったが、今年は会場がパリのOECD本部に戻り、多くのスタッフの助けを借りることができる。しかし、昨年は出席者120名程度だった会議を、今年は数百人規模に拡大したため、準備が楽になったわけではない。
今年のイベントの目玉の一つは、keynote speakerの一人として、小池百合子東京都知事をお招きしたことだ。小池知事は元環境大臣であり、日本の自治体として初めて、グリーン・ボンド(環境プロジェクトの資金調達を目的とする債券)を発行する方針も表明している。また、4月に自分が東京でスピーカーとして参加した環境関係のイベントでは、彼女が基調講演を行い、2020年に向けて、東京を「環境」と「金融」の首都とするヴィジョンを語っていたのが印象的であった。今回のOECDフォーラムと同じ時期に、環境への取組みをリードする世界の都市の会合「C40」関係の会議に出席するため、彼女のパリ出張が計画されていたこともあり、東京都庁の事務方を通じての交渉の結果、フォーラムへの登壇が実現したのである。登壇が正式に決定したのは9月初め頃だったが、その後、安倍首相による衆院解散・総選挙の表明、そして小池氏を党首とする「希望の党」の立ち上げと、急転直下で政治状況が激変したのは、想定外の出来事であった。小池知事のパリ訪問が、衆院選の直後ということもあって、マスコミの関心は俄然高まり、我々のフォーラムにも、日系メディアから50名以上の参加申し込みがあった。OECDのイベントに、これほどのマスコミが殺到することはほとんど例がない。もっとも、彼女の国政における立場がどうであれ、今回のスピーチは純粋に、東京都知事としてのものである。10分程度の短い枠だったが、小池知事は、綺麗な英語で、環境・金融等に関する東京都の取組みについて語り、東京に続く2024年のオリンピック開催地であるパリへのエールで締めくくった。グリーン・ファイナンスに関する世界一線級のプレイヤーが参集するこの会議の冒頭において、東京がクローズアップされたことは、日本にとっても重要な成果だったのではないかと自負している。
なお、他のkeynote speakerとしては、フランスの環境副大臣(環境大臣登壇の予定から直前に変更)、さらに、ビデオ録画ながら、アル・ゴア米元副大統領と、豪華な顔ぶれが揃い、フォーラムは上々のスタートを切ることができた。
その後、2日間にわたるフォーラムは、延べ600人以上が参加し、OECD最大の会議室がほぼ常時満席となる大盛況となった。各セッションの議論の内容も非常に高く、最後まで盛り上がりを見せ、自画自賛になるが、自分が参加したこの種のイベントの中でも最も面白かったのではないかと思う。日本からも、小池都知事のほか、Global Environment Facilityの石井菜穂子CEOや、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の水野弘道CIOなどが登壇され、高いプレゼンスが示されていた。
Green Investment Financing Forumは、大成功と言ってよい形で終了した。今年はまだ、11月のCOP23、さらに12月にフランスのマクロン大統領の呼びかけでパリで開催されるClimate Summitと、環境関係のイベントが続くが、ひとまずは安堵している。また、お世話になった多くの方々に感謝申し上げたい。
(フォーラムの模様は下記ホームページから視聴できます。) http://www.oecd.org/cgfi/forum/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Nov 4, 2017 02:06:08 AM
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