日英行政官日記 (旧 英国日記帳)

2019/05/25(土)15:38

Green Finance Network Japanシンポジウムの開催

Green Finance Network Japan(http://greenfinance.main.jp)主催のシンポジウムを開催しました。 休日にも関わらず、満席の200名以上の方々にご参加いただき、グリーン・ファイナンス、サステナブル・ファイナンスへの関心の高まりを実感しました。 シンポジウム「SDGs/グリーン・ファイナンス 持続可能な社会へ向けた金融と官民の行動」 <日時>2019年5月18日(土)14:00-16:30 <場所>ヤフー株式会社・セミナールーム(東京都千代田区紀尾井町) <主催>政策分析ネットワーク/Green Finance Network Japan <趣旨>SDGsや、パリ協定に基づく気候変動対策目標の達成へ向けた金融の動員、環境・社会・統治(ESG)に着目した投資は世界で拡大しており、日本においても、関係者の関心が急速に高まっている。こうした中で、昨年、グリーン・ファイナンスに関する公的セクター・民間セクターのステークホルダーの連携を図るGreen Finance Network Japan(GFNJ)が立ち上げられた。6月には日本でG20サミットが開催されるこの機に、官民の行動を加速するための政策議論を行う。 <参加者数>200名強 <登壇者>〇基調講演・末吉竹二郎:GFNJ発起人/UNEP FI特別顧問・玉木林太郎:GFNJ発起人/国際金融情報センター理事長・鈴木秀生:大使・外務省地球規模課題審議官 〇基調報告(シーン・セッティング)・亀山康子(国立環境研究所社会環境システム研究センター副センター長):地球科学と金融の対話について(紹介:谷淳也Future Earth日本ハブSenior Advisor)・江夏あかね(野村資本市場研究所主任研究員):ESG債市場の発展について  〇ラウンドテーブル (モデレータ)・高田英樹: GFNJ事務局長/前OECD環境局上級政策分析官/財務省 (パネリスト(発言順))・中空麻奈:BNPパリバ市場調査本部長・近江静子:アムンディ・ジャパン運用本部ESGリサーチ部長・永田綾:環境省環境経済課環境金融推進室室長補佐・平井麻裕子:経済産業省環境経済室課長補佐・桑田尚:金融庁総合政策局総務課国際室課長補佐 〇シンポジウムにおける主なコメント・Climate Changeではなく、Climate Emergencyとの危機感を持つべき。・SDGsは包括的な概念であり、抽象的なレベルにとどまらず、具体的に対象を定めた行動が必要。・イノベーション・暮らし・金融を融合させ、環境と成長の好循環を目指すことが重要。・世界のリーダー達がリスクと考える事項のランキングでも、近年は上位を環境関係が占めている。・日本のESG投資は拡大しており、最近は、債券市場においてもESGへの取組みが急速に進んでいる。・ESGについては、収益源として、またリスク管理の観点から、日本でも関心が高まっているが、それが「mainstream」となっているか、すなわち企業のトップが取り組むテーマとなっているかについては、ばらつきが大きい。・GPIFがPRIに署名し、ESGインデックスを活用した運用を始めたことで、日本ではESGへの機運が高まっているが、ガバナンスへの関心に比して、環境への関心は必ずしも高くない。欧州では、気候変動は全ての企業に関わる課題として、非常に関心が高い。・日本の企業等は、責任投資等の新たな取組みについて、スタートが遅いが、一度火が付くと、急速に動き出す傾向がある。・日本は間接金融が中心であり、その中でESGをどのように位置づけていくかという課題がある。・日本の企業にも、気候変動対応をコストではなくビジネスのチャンスとして捉える動きが出てきている。TCFD(気候変動関連財務情報開示)に関するコンソーシアムも近く立ち上がる。・金融庁においても、Chief Sustainable Finance Officerのポストを創設するなど、サステナブル・ファイナンスに正面から取り組む姿勢を見せている。・グリーン・ファイナンスへの取組みは、進んできているとはいえ、企業によってまちまちであるのが現実。本当に動かすためには、規制的アプローチが必要ではないか。・金融機関の健全性規制において、グリーン目的の融資を優遇すべきといった議論はあるが、グリーン目的の融資について本当に信用リスクが低いかどうかについてのデータが未だ十分ではないといった課題がある。・日本に比べて欧州では、グリーン・ファイナンスへの取組みが、より速く進んでいるのはなぜなのか。一つには、欧州では、EU統合を推進するためのテーマの一つとして環境問題が採り上げられており、European Commissionという強力な官僚組織が各国の政治的利害を超えて、あるべき政策を推進しているといった要因がある。また、欧州では、NGOや宗教が果たす役割も大きい。・食品ロスなどについても問題となっているが、先進国が築き上げてきた大量生産・大量消費型の経済モデルに限界が来ている。直線的な成長モデルから、循環型モデルへと、経済モデルを転換する必要がある。・気候変動への対応について、スウェーデンの高校生が始めたデモが、世界中に広がっている。若い世代は違う感覚を持っており、若者をもっと巻き込んでいくことが重要。・このシンポジウムの場においては、グリーン・ファイナンス、サステナブル・ファイナンスへの関心が非常に高いが、これは「異常値」。この場にいない人達に対して、この熱気をどう伝えていくかが、参加者全員の課題。

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