陽だまりの彼女
かつて、とある校長から、こんな話を聞いた。「『他人と過去』は変えられない、変えられるのは『自分と未来』だけだ。」なんとも重みのある言葉だ。聖職と呼ばれる先生とはいえ、失敗だって当然ある。それを他人のせいにしてみたり、条件や環境のせいにしてみたり、それでは何も進歩がない。でも、自分は変えられる。だから、幸せな未来だって自分の手でつくることができる。教師って偉そうに、「生徒の変容」って言葉をよく使う。ただし、他人を変えられないとすれば、生徒が変わる時は生徒自身の手で変わったのだ。「きっかけ」は与えることが出来るかもしれないが、それは教師が変えたわけではない。勉強にしたって同じこと。教師が知識を詰め込んだわけではない。生徒が自分で覚えたのだ。そんな当たり前のことがわからない教師が増えてくると、どんな世の中になってしまうのだろう。逆に、それが教師の腕の見せどころにもなる。それは、きっかけづくりのうまさである。きっかけは些細なところにあるのかもしれないが、意図して作れる教師もたくさんいる。昨日も他校の授業を参観しにいったが、素晴らしい授業だった。まだまだ改善点はあるものの、間違いなく、子供の変容につながるものだと感じた。後悔しない人生なんてないのかもしれないが、少なくとも自分は常に前向きでいたい。失敗をおそれず、自分を信じていたい。どんな人生であろうと自分の人生に責任を持ちたい。わかっている未来より、予想のつかない未来を選ぶ。そのために、常に自分自身を変えていきたい。それは、単に話し方なのかもしれない。行動なのかもしれない。そんな単純なことを変えるだけで、幸せな未来は自分でつくれるような気がする。それでは、今日も映画の紹介を。本日紹介する映画は「陽だまりの彼女」。2013年公開。主演は、松本潤、上野樹里。原作は越谷オサムの同名小説。新人の営業マンの奥田浩介(松本潤)は、少し内気な鈍感男子。彼女もいない彼は、冴えない毎日を送っているのだった。そんな浩介がある日、取引先で美しく素敵な女性と出会った。その瞬間、浩介の記憶が蘇ってきた。彼女は、幼なじみの渡来真緒(上野樹里)だったのだ。10年ぶりに対面した真緒は、イジメられていた中学時代と打って変わり、魅力的な女性になっていたのだ。太陽のように明るい真緒に再び浩介は恋に落ちるのだった。実は、真緒もずっと浩介のことを忘れられずにいたのだという。まさに運命の2人だったのだ。永遠の愛を誓い合った2人は、やがて結婚し、幸せな新婚生活を送る。しかし、彼女はある秘密を抱えていたのだ。それは、誰にも知られてはいけない秘密・・・。浩介は真緒の父から「全生活史健忘症」という病名を聞かされた。生まれてから父が保護した時までの記憶が全くなかったのだという。そのうち、真緒の体に異変が起こり始めた。髪の毛が大量に抜けたり、指輪のサイズが合わなくなるほど痩せたり。それに気づいても、浩介はただ戸惑うだけだった。やがて、彼女は浩介の前から、突然姿を消してしまった。浩介は真緒の両親に電話をかけたり、職場に訪れたりするが、誰も真緒のことを覚えていないのだ。だが、間違いなく真緒は存在したのだ。悲しみの中、浩介はあることに気づくのだった。それは、かつて浩介が江の島に住んでいた小学生時代の記憶。波打ち際で逃げることもできなかったロシアンブルーの猫を助けた記憶。浩介は、その猫が住んでいた江の島の猫屋敷へと向かった。そこには、大下(夏木マリ)という老女がたくさんの猫に囲まれ暮らしている。そこで大下から、人間に助けられた猫が、人間になりたがったという話を聞いた。すべてを理解した浩介は、その猫を助けた場所へと向かった。はたして、そこには真緒の姿があった。自転車の2人乗りをしたり、思い出の中学校へと出かけたり、残された時間を過ごす。そして、最後にやってきたのは、公園のジャングルジム。ここは、2人が初めてキスを交わした場所だった。この思い出の場所で再びキスを交わせば、すべてがリセットされるかもしれないという思いにかられた浩介。朝、目を覚ますと、そこに真緒の姿はない。浩介は弟の翔太(菅田将喗)と暮している。以前と同じ暮らしだ。ある日、浩介は職場の同僚たちとの飲み会に参加した。店に流れていたBGMは「素敵じゃないか」というビーチ・ボーイズの曲だった。特に思い入れのあった曲ではないのに、なぜだか涙が流れてくる・・・。その曲は真緒の好きな曲で、よく鼻歌で口ずさんでいた曲だ。しかし、今の浩介にはそんな記憶はないのだ。Happy times together we've been spending I wish that every kiss was never-ending Oh,wouldn't it be nice Maybe if we think and wish and hope and pray it might come true Baby then there wouldn't be a single thing we couldn't do We could be married, And then we'd be happy Oh,wouldn't it be nice共に過ごす幸せなときの中一つひとつのキスが果てしなく続いたらいいのに素敵じゃないか二人で思い描いて、願って、望んで、祈れば、叶うかもしれないねそしたら僕たちにできないことなど、何ひとつなくなるよ僕たちが結婚できたならきっと幸せになれるはずさ素敵じゃないかある日のこと、公園のベンチで座っていた浩介のところに猫が近づいてきた。優しく抱きかかえ、撫でてやると、飼い主の女性が「猫・・・、好きなんですか?」と声をかけてきた。浩介が顔をあげると、そこには・・・。この映画は、ファンタジー映画。ごくありふれた恋愛映画を想像していたら、この展開は本当に想定外のことだろう。にほんブログ村