温故知新

鈴木直道北海道知事は、昨日臨時会見を開き、

８日と９日の2日間で連続2ケタの感染者が確認されたものの、

「感染拡大警戒地域に該当するとは考えていない」として、

現時点で一律の外出自粛や学校休校にする必要があるとは考えていないとした。



既に治った感染者もおり、

現時点での患者数は６７人。

爆発的な感染の恐れはないと判断したのだろう。



今まで早い判断で、危機を乗り越えてきた知事だが、

今回の判断はどうなるのだろう。

道民の気の緩みを考えると・・・。

自分の杞憂であればいいのだが。






では、今日も映画の紹介をしよう。

本日の紹介は「ダンスウィズミー」。２０１９年公開。

主演は、三吉彩花。







古いブラウン管型のテレビには、昔の番組が映っていた。

『Tonight　星の降る夜に』という曲が流れ、

司会者のマーチン上田（宝田明）が、ゲストの人に催眠術をかけた。

「合図をすると、指揮をしないといられない指揮者に変身する」と。

マーチン上田がカウントダウンすると、ゲストは本当に指揮を始めたのだ。

その人だけでなく、マーチン上田に指名された人は、次々に指揮をし始めるのだった。





２０１９年８月３０日金曜日。

東京。



鈴木静香（三好静香）は、いわゆる勝ち組のＯＬ。

大手企業に勤め、タワーマンションに住み、

ブランド品で身を包み、ランチはおしゃれなレストランだけ。

しかもわざと「食べきれない」と言って残すなど、

“キラキラOL”であるために徹底した生活を送っていた。

しかし、内心無理をしていたのだ。



面倒な仕事を押し付けられても、

それが人気のあるエリート社員の村上涼介（三浦貴大）と近づけると分かると、

自宅に仕事を持ち帰ってでもやって見せたりしていた。



そんなある日、

家で仕事をしていると、実家の母佳子から電話がかかってきた。

静香の実家はそう遠くない場所なのだが、

静香はめんどくさがって、めったに帰省しなかった。

実家には、姉の友美が娘の奈々を連れて、出戻っていた。

週末、母は夫婦で旅行に出かけ、姉は同窓会に出かけるという。

その間、姪の奈々の面倒を見てくれと押し付けられてしまったのだ。

嫌々ながらに引き受けた子守を何とかやり過ごすため、

静香は姪っ子を連れてとある遊園地に出かけることにした。



バスで移動しながら、静香は奈々と学芸会の話で盛り上がった。

実は静香はミュージカルのことを、快く思っていなかった。

なんでもすぐいきなり歌い踊るその姿勢が、非常に不自然だと考えていたのだ。

奈々と同じ意見で意気投合した静香は、

母校がまだ年に一度、学芸会でミュージカルをしていると知り、怒り出した。

実は、静香は小学時代、学芸会で失敗したという過去があったのだ。

ミュージカルで主演に抜擢された静香は、必死で練習したにもかかわらず、

当日、緊張して舞台の上で吐いてしまったのだ。

それ以来、ミュージカルに敵意にも似た気持ちを持つようになったのだ。



遊園地には小さな出店がいっぱいあり、

２人が何気なく訪れたのは、催眠術のコーナー。

そこを覗いた静香と奈々は、

マーチン上田におもちゃの指輪を、

「真理の指輪」というものものしい名で売りつけられた。

奈々とセットで静香も指輪を買うことになった。

指輪には接着剤がついており、一度嵌めると、静香の指から抜けなくなってしまった。



奈々の願いは「ミュージカルができるようになりたい。」ということ。

マーチン上田は、

「これから音楽を聞くたびに、踊らずにいられなくなる」という催眠術をかけようと

言うのだ。

催眠術は奈々にかけられたはずだった。

しかし、実際には横で聞いていた静香が、催眠術にかかってしまっていたのだ。



翌朝。９月１日、月曜日。

催眠術をかけてもらったはずなのに、踊れないとぶつぶつ文句を言う奈々を、

姉が迎えに来た。



静香も出勤の支度をし、会社へと向かった。

イヤホンをつけて曲を聞きながら出勤する静香は、

ノリノリで踊りながら歩いていることに無自覚だった。

車道に出て踊り、バスにクラクションを鳴らされて初めて、

静香は自分が躍っていたと気づいたのだ。

「音楽を聴くと、歌わずにはいられない、踊らずにはいられない。」

マーチン上田の催眠が、自分にかかっていると気づいた。



あせるものの、対処法はなかった。

会議に出た静香は、その最中に音楽を聴いてしまい、つい踊ってしまった。

我に返ると職場の人たちがあぜんとして自分を見ており、

静香は動揺した。



その足で医者のところへ行った静香は、催眠を解いてくれと精神科医に頼んだ。

精神科医は相手にしなかったが、

静香がスマホの着メロに反応して踊り始めたのを見て、すぐに精密検査をした。

検査の結果は異常なしで、「催眠をかけた本人に解いてもらうしかない」と言われた。



遊園地へ行くと、マーチン上田は借金取りから逃げた後だった。

そこに、マーチン上田に催眠術をかけられていた千絵が現れた。

千絵は「玉ねぎが苦手だけれど、催眠によって克服できた」振りをするサクラだった。

バイト代をもらいにきて、踏み倒されたと知ったというのだ。



静香はマーチン上田の居場所を尋ねたが、千絵は知らないというのだ。

彼女しかツテがない静香は千絵から離れないまま、

２人はとある興信所に向かうことに。

２人を出迎えた興信所の渡辺義雄（ムロツヨシ）所長は、

マーチンの捜索調査をひき受けてくれることになった。





会社に戻った静香は、

涼介に「ぼくのチームで働いてほしい」とスカウトされた。

涼介は静香を食事に誘った。

仕事も恋もチャンスだと思い喜んだ静香だが、

涼介が中座したあいだに、

レストランで誕生日の客のために歌った『ハッピー・バースデイ』に反応し、

歌いあげてしまった。

さらに、バンドが『狙い撃ち』の曲を演奏し始めたために、

静香はつい踊り始めてしまうのだった。

シャンデリアに飛びついて踊り、その姿を客にスマホで撮影されてしまった。



店は大騒ぎになり、そのまま閉店になった。

涼介は、店がぐちゃぐちゃになった事情を知らないまま、警備員に追い出された。

静香は、酔っぱらって踊ったものと店主に思われ、

店の壊れた備品の弁償をしろと言われてしまった。

賠償額は多額で、部屋のものを売って、静香はすっからかんになってしまうのだ。



無一文になった静香のところへ、

涼介からチームに入れという打診の電話がかかってきた。

静香は休暇を申し出て、1週間後から働き始めると答えた。

そして休みのあいだに、問題を解決しようと考えた。



3日が経過した頃、静香のもとへ、探偵から電話がかかってきた。

調査をした探偵は、マーチン上田が「コーチン名古屋」と名前をかえて、

地方をドサ回りしているという情報を得た。

ところが場所を聞く前に、静香が無一文だとバレてしまった。

金がないと知った探偵は、居場所を教えずに電話を切ってしまった。



探偵は静香に教えなかったものの、

なぜ静香が必死でマーチン上田の居場所を探るのか不思議に思っていた。

その時、テレビニュースで、ある動画サイトの話題が流れたのだ。

そこには、レストランで踊る女性と称し、静香の姿が映し出されていたのだ。

探偵は、静香がマーチン上田の催眠にかかっているのだと気づいたのだ。



金がない静香は、千絵と交渉することにした。

千絵に車を出してもらい、2人で追いかけないかと持ち掛けたのだ。

探偵の画像から、マーチン上田は新潟にいると気づき、

千絵に車を出してもらうように頼んだ。

しかし、２人ともお金がないので高速代すら出せないのだ。

静香は実家に寄ると、奈々にスマホと５００円貯金と交換してもらい、

小銭を手に入れた。



ドライブの途中で千絵は、静香に夢を話した。

千絵はダンスが好きで、ダンス教室を開く予定でいたそうだ。

マーチン上田のアルバイトは、その開業資金のためだったという。

静香は千絵に、開業予定のスタジオの物件が記載されたチラシを渡された。



新潟へ行くドライブの途中、千絵の車は地元のヤンキーに絡まれてしまった。

一度は振り切ったものの、

追いついてきたヤンキーたちに連行されてしまったのだ。

絶体絶命のピンチに現れたのは対立するグループの人たちだった。

彼らは何故かダンス対決を始めたのだ。

音楽を聴くと静香は踊ってしまう。

面白がった千絵もいっしょに踊り、男性たちは大喜び。

険悪な雰囲気から一転、

別れるころには、ヤンキーたちと意気投合していたのだった。



手持ちのお金が尽きてしまった静香は、

道中で偶然出会ったストリートミュージシャンの山本洋子（chay）と

即席のライブで盛り上がり、CDを売るのに貢献した。

洋子は売り上げはいらないから、車に乗せてくれと言うので、

一緒に途中まで同行することになった。

静香たちが向かうのは青森。

洋子はその途中の秋田でおろしてくれというのだ。



秋田へのドライブの際に、

洋子から「パーティにも参加してくれないか」と頼まれた静香と千絵は、

二つ返事で引き受けた。

貸衣装でドレスアップしながら、「ところで何のパーティなのだろう」と話していると、

なんとそのパーティとは結婚披露宴だった。

しかも洋子の別れた彼氏のものだったのだ。

静香と千絵を引き連れて、

洋子はシュガーの『ウエディング・ベル』という曲を歌い出した。

洋子には接近禁止令が出ているらしく、

洋子の姿を見た新郎新婦は激しく動揺した。

洋子は歌の途中で包丁を持って元カレに突進していき、式場はパニックに陥った。



事情を知らなかった静香と千絵は、ほうほうのていで逃げ出した。

洋子は姿をくらましたらしく、検問体制まで敷かれていた。

検問の列にいた探偵は、借金取りに頼まれたものの、

マーチン上田の行方を見失っていた。

静香と千絵のコンビを見つけて、ひそかに尾行することにしたのだ。



静香と千絵は弘前へ行ったが、マーチン上田は一足違いで、巡業を終えていた。

次は札幌と訊き、２人は北海道行きのフェリーに乗り込んだ。

探偵も車で２人の後をついていった。



フェリーの中で千絵は、竹内という男性といい雰囲気になった。

ラブラブでいい雰囲気になった千絵は、

油断して函館で、金も車も竹内に奪われてしまったのだ。

静香は千絵と喧嘩をし、仲間割れをし、別行動になった。



千絵の車を盗んだ竹内は、走行中に車が物音を立てるのに気がついた。

トランクから洋子が出てくると、竹内は怯えて立ちすくむのだった。

洋子は検問の目を欺くためにトランクに隠れていたのだった。

洋子は竹内から車を奪うことに成功したのだ。



静香と喧嘩別れした千絵は、落ち込んでいた。

落胆する千絵を、中国人旅行客たちが呼んだ。

彼女たちは前日、竹内と千絵がカラオケで盛り上がる様子を見て

「面白い日本人だ」と思っていたのだ。

そこで旅行のバスに乗せて、宴会を盛り上げてもらうことにしたのだ。



探偵は函館で借金取りに情報と引き換えに、謝礼を受け取った。

その場を見つけた静香を乗せて、探偵は札幌に向かうことになった。



洋子は取り戻した車で、

千絵は中国人旅行客の乗るバスで、

静香は探偵の車で、それぞれマーチン上田のいる札幌の会場へ向かうのだ。



マーチン上田は千絵と別れた後、

現地調達でサクラを探していたが、いい人材はなかなか見つからなかった。

どの女性もタマネギ克服の芝居がうまくいかず、

催眠術のパフォーマンスは失敗してばかり。

札幌会場でも、マーチン上田は失敗していた。

ステージに向かって大きなヤジがとんだ時、

借金取りたち、静香、千絵、探偵がやってきたのだ。

マーチン上田は、それを見て、驚いた。



逃げようとしたマーチン上田に、

千絵がすかさず客席から「私にも催眠をかけて！」と声をかけた。

千絵はタマネギを克服したかのように芝居をし、

続けて、踊りができるようになりたいと言い出した。

そして、

千絵は、静香にかかった催眠術が強烈にかかっていることを告げた。

事情を汲んだマーチン上田は、

「音楽が終わったら、催眠は解けて元通り」ということばを付け足した。



マーチン上田の合図により、音楽が始まった。

もともとダンスがうまい千絵、催眠がかかっている静香が踊り始めた。

ついでに借金取りも。



音楽が終わったときには、静香の催眠は解けていた。

指輪もいっしょに外れた。

しかし曲の合間に、マーチン上田は逃げていたのだ。



催眠が解けてめでたしめでたし。

会場の外へ出ると、洋子が車を乗り捨てていた。

洋子の姿はなかったが、お金と花束が置かれていた。

千絵、静香、探偵は車で東京まで戻ることにした。



週明け。

会社に出勤した静香は、涼介のチームの一員として働くつもりだった。

しかし本当にそれでよいのか、静香は考えた。

休暇のあいだ、歌って踊る暮らしを楽しんだ静香は、

千絵からもらった物件のチラシを見つめた。

見栄を張り、自分を飾っていたＯＬ生活に違和感を感じた静香は

涼介を放置し、社員証を戻すと、千絵たちの元へと走っていった。



後日。

静香は千絵と共に、ダンス教室をしていた・・・。







ダンスはあまり得意ではない。

もし、催眠術で上手になるのならかかりたいぐらいだ。

リズム感がないわけではないのだが、

動きの一つ一つを頭で理解しないと踊れないのだ。

だから、中学校の体育の授業にダンスが導入された際には、

細かい動きを教えるために、まず自分が覚えることに必死になった。

今のように動画サイトがたくさんあれば、

少しはその苦しみも軽減されたに違いない。







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