カテゴリ:古代文明
中生代末のクレータ痕 今から6500万年前、メキシコのユカタン半島北部に,直径180kmに及ぶチクシュルーブ・クレータが形成された。 衝撃石英等の多数の事実で証拠立てられてきたため,恐竜大絶滅の仮説がどうなろうと,地球史の大事件であったことは疑いない。 チクシュルーブ・クレータは,先にイリジュームの多い放出物が発見され、続いて衝撃石英がメキシコ湾内各地で見出された。 太平洋海底の泥からガラス状物質の広い分布が見つかり,カリブ海でテクタイト・ガラスが,北米各地で同時期の津波被害の分布等が発見された。 その中心がカリブ海のどこかにあるはずと推定されることで,逆に陥没構造が推定された。 推定された陥没構造の位置は,70年代後半から80年代前半にかけての石油探査のための重力構造推定と,いくつかの探鉱ボーリングから,1990年にユカタン北部のチクシュルーブ村を中心とした範囲に,その環状域の広大さと共に確認された。 小惑星物質が塊で発見されたわけではないが,衝撃石英も見つかり,ボーリングで見つかった衝撃溶融物がテクタイト・ガラスに同じであること等がわかり,1992年の年代測定により,正確に6500万年前を指すと特定された。 これが中生代末の地層に現れるイリジウム高濃度異常をもたらした原因の第一級の最有力候補と考えられている.そして,恐竜の絶滅も,このクレータの発生と共にあることも疑いない。 時期的にチクシュルーブ・クレータと同時と考えられているのは,ロシアにあるウクライナとの国境近くに位置するカメンスク・クレータとグセフ・クレータである。 直径25kmのカメンスク・クレータに存在する地層は、古生代二畳紀から中生代三畳紀の石灰岩や頁岩である。 クレータの陥没域を新生代暁新世の堆積物が250mほどの厚さで覆う.確かに中生代末の時期である.周辺縁より400m高くせりあがった中心丘がある.陥没域内には衝突礫や10m径ほどの巨大礫が詰まっている。 3.5kmの直径を持つグセフ・クレータは,やや楕円形をした礫岩が詰まった400mくらいの陥没域である。 これはカメンスク・クレータの北縁から1kmくらいのところにあり,同じ物質があって同じ時期であることから,二つの小惑星が衝突したか,あるいは,細長い小惑星が砕けて二つに分かれたものであると推測されている。 以上二つのクレータは,年代が正しければ,チクシュルーブ・クレータをもたらした小惑星の「仲間」と考えることができる。 このように,同時期に多数に分かれた小惑星が地上に衝突することは,木星に衝突した「シューメイカーレビ9」でも観察できる事実である. 6500万年前より少し前,700万年前から7400万年前までに,衝突による大型クレータがいくつか発生している。 70百万年前よりは新しいと考えられているのは,直径12kmのブラジルのバルヘオ・ドームがある。 円形のドーム構造と断裂系と衝突礫,中心丘が特徴的であり,500m程度の盛り上がりが推定されている。 アルジェリア中央にある直径6kmのティンビダー・クレータは侵食が大きく,同心円的環状部が複数,少なくとも3つ見られる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.03.14 07:02:07
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