|
テーマ:法律(493)
カテゴリ:法律
判例タイムズ6月号を読んでいたら,離婚後に父親側が再婚をしてしまいさらに子供が生まれた場合の養育費の話が載っていた。再婚と養育費の論点については色々あるのだが,テーマにもなっていなかった公正証書の話なんかも見ていきたい。
事案はこうだ(札幌高裁H30.1.30判例タイムズ1459号110頁)。 父親Xと母Yは色々あって離婚した。子供はAの1人。 父Xと母Yは,養育費について公正証書を作成し,4万円の養育費を支払うことにした。ちなみに,算定表というので計算すると,実際の相場は1万5000円だから,2万5000円くらい高い養育費になる。 のちのち,父Xは再婚し,再婚相手の連れ子2人を養子にしたのだ。ただでさえ相場より高い養育費を払っているうえに,子供も増えたので,元妻Yに養育費を下げてくれ,としたのが今回の事案。 これについて裁判例の傾向を見ていても,裁判所は父親側が再婚して新しく子供ができた場合だとか,養子をとった場合,元妻に支払う養育費を下げてもいい,としている。新しい子どもたちも生きていかねばならいからだ。 札幌高裁もそうして,養育費を再度計算して下げてもいいとした。 ただ,ひっかかるのが,「もともと相場より2万5000円多く払う合意があったのだから,父親は相場より高く支払う意思があったのだろう。」として,相場は1万円くらいのところ,「一切の事情を考慮」というブラックボックスを経て,ちょっと高めの2万円を支払うべし,とした。 個人的に,「算定表の相場より高めの養育費を支払う合意があったから,再度養育費の計算をするときも高めにする」という理屈がいまひとつよくわからない。 この事案だけかと思って軽く調べた。東京高裁H28.7.8判タ1437号も,算定表相場より高めの養育費を定めた父親について,再婚相手に子どもができた場合,やはり元妻への支払いは相場よりも高めにするという理屈を使っていた。 どうなんかなと。 理屈の上で,「当事者には相場よりも高めの養育費を支払う合意があった」ということにはなるのかなと。仮に,夫側が算定表を知っていて,それでも高めの養育費を支払う公正証書を作ったというのならばともかく,いちいち算定表で相場を調べない人も相当多そうだ。 前提が欠けているような気がしないでもない。 ところで,省略した,「再婚相手に子どもができた場合,元妻に養育費をいくら払うべきか」も結構面白いテーマだと思う。 しかし,色々な裁判例を見ていたが,統一した計算をしていないのでよくわからんのだ。とにかくも,減るということは間違いがないのだけど,「具体的にいくらになるか」は即答ができない。 ただ,暇があったので,札幌高裁の計算方法でExcel計算シートなど作った。 左のシートに年収と子どもの数を入れると、右のシートで計算し、左のシート下で答えを出す仕組み。ほかの裁判例の数値を入力してみても,ほかの裁判例と大きな差は出なかったから,今後は法律相談で使ってみるとしよう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.06.13 17:47:41
コメント(0) | コメントを書く
[法律] カテゴリの最新記事
|