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2019.06.29
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テーマ:法律(498)
カテゴリ:法律
現代日本では,アパート等を借りるときほぼ必ず保証人を求められる。
危険なのが,この手の保証は根保証で上限が決まっていないし,賃貸借契約更新の際,自動的に保証も継続していく点。つまり,支払う金額も,期間についても上限がないから,過酷なことになりがちだという点だ。
判例タイムズ7月号を読んでいたら,この手の事案に使える事案が載っていたので紹介したい。

事案は横浜地裁H31.1.30判例タイムズ191頁。
要するに,被告が賃料3万円強の建物について保証したところ,肝心の賃借人が数年にわたって賃料を滞納し,250万円近い請求を受けたという事案である。
保証人側の主張はおおざっぱにまとめると,「大家側で数年も家賃を滞納させないで追い出せば良かったのに,これほど多額にして請求するのはひどい」という主張だ。

これについて,横浜地裁は大筋で保証人側の主張を認めている。
理屈としては,2通りの法的構成を示したのだ。

第1は,信義則上の義務を根拠とするやり方。
その義務というのは,この手の継続的契約については当事者の信頼関係が基礎になっていることから,賃貸人側には不当に保証人の支払い義務が拡大しないようにする信義則上の義務だ。
あまりにも賃借人の滞納が目に余るのに,大家の方で明渡請求をせず,漫然と滞納金額を増やしている場合には,保証人からの一方的な意思表示で解除ができる,とした(具体的な要件は長くなるので省略)。

第2は,権利濫用を根拠とするやり方。
仮に保証人側から解除の申出がなかったとしても,あまりにも滞納をため込んだ賃貸人からの請求は信義則に反するという考え方。

わざわざ裁判所が2とおりも保証人に有利な法的構成を判決文の中で示すというのが,中立であるべき裁判所としてはどうかと思うが,それほど目に余ったということか。
ちなみに,この保証人は70歳の年金暮らし,保証してから12年ほどたっているという,結構かわいそうな事案だった。
最終的に,横浜地裁としては保証人側が賃貸人に対し,「賃借人とは長年連絡が取れないから,早く追い出してほしい」と述べた時点で解除を認め,支払う金額は約40万円という判断にした。もとの請求額が250万だから8割カットくらいだな。

もともと,源流をさかのぼれば第1の信義則を根拠とした解除の方のアプローチは大審院だとかあるみたい。で,より要件の緩やかな解除すらいらない,という第2のやり方は高裁で数件あるみたい。

実際に弁護士をやっているとこういう法律相談は年に何回かはあるのだ。たぶん,素人が思っている以上に家賃を滞納している人は多い。
今後,この手の依頼を受けたら,今回の横浜地裁の主張をやって,うまくやろうと思う。
あと、保証人になった結果、大家があまりに高額な請求してきたら、「どうせ負けるよ」と思わず、諦めずに弁護士に依頼をしてもいいかもしれない。


こんなところでつまずかない! 不動産事件21のメソッド [ 東京弁護士会 親和全期会 ]





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最終更新日  2019.06.29 20:43:28
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