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カテゴリ:読書
シャーロック・ホームズシリーズの最終巻である『シャーロック・ホームズの事件簿』を読んだ。感想を書く。
シャーロック・ホームズの事件簿 【新版】【電子書籍】[ アーサー・コナン・ドイル ] まず、タイトルからして突っ込みがある。なんや、このそっけないタイトルは? また、この一個前の短編集のタイトルが『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』になっていて、あまり最終巻らしくない。 色々と思うのが、コナン・ドイルはホームズシリーズをやめたかったんだなぁ、ということだ。 たとえば、著者は前書きで、「盛りを過ぎた歌手が何度もさよなら公演を繰り返すようなことはやりたくない」と宣言している。のみならず、ホームズが引退したことを作中で何度か強調し、物語もホームズの引退後にワトソンが発表したのだ、という形式のものもある。 さて、ではそれほどにやめたかったホームズシリーズの作品の質はどうだろう。 見ていくと、本作には12本の短編が掲載されている。読んでいくと、たしかにホームズというか、著者の盛りは過ぎているのかもしれないと思わせる作品なんかもある。 なんだかんだ、ドイルはホームズを主役とした54もの短編と6本の長編を発表しているからネタ切れもありうるだろうが、『3人のガリデブ』なんかは過去作の『赤毛連盟』と同工異曲だ。 いや、『3人のガリデブ』はトリックこそ使い古したものだけど、ラストの乱闘シーン、ワトソンに銃弾を撃ち込んだ犯人にホームズが激怒するという、2人の絆を思わせる貴重なシーンがあるからそこは評価できる。 一方で、『這う男』みたいな科学的考えてどうなんだ、という作品もある。また、『ライオンのたてがみ』は事件ではなくて事故だったたいう形の話だが、「なぜ地元警察がこの手の海の事故を見破れないのか?」みたいなものもある。 欠点をあげつらってもつまらないので、良かった点を見ていく。 ホームズシリーズは基本的にワトソンの一人称で描かれているが、今回はホームズ視点の一人称作品が2つある。『ライオンのたてがみ』と『白面の男』た。 これを読むと、ホームズの思考過程がよくわかってくる。ホームズ語録に「あり得ないものを排除して、最後に残ったものは、いかにもあり得なさそうでも真実だ」もいうのがあるが、『白面の男』ではまさしく3つの仮説を立て、1つづつ消していって真実にたどり着いている。 これはずいぶんと興味深い。探偵はなかなか結論を言わぬものだが、たしかに消去法で考えていくと、聞き手の混乱を招くから最後まで話さない、というのもある意味で納得はできた。 また、著者は晩年はオカルトに傾倒していたらしいが、吸血鬼を扱った『サセックスの吸血鬼』だとか、実在の事件をモデルにした『ソア橋』みたく、新しい試みもかなりされているところである。 結局、なんだかんだ言いながら、僕はホームズものを全巻読んだことになる。 当初は「カビの生えた古典」くらいに思っていたが、まさか全巻読むことになろうとは。100年という時間、国を超えてまで読み継がれている作品の凄さという凄味を感じる。きっと100後も残るのだろう。そんな力を感じさせる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.06.30 03:02:56
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