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2019.07.07
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テーマ:神話創造(431)
カテゴリ:神話伝説
ギリシア・ローマ神話の集大成とでもいうべき、オウィディウスの『変身物語』読んだ。感想など書いていく。



変身物語(上) (岩波文庫) [ プブリウス・オウィディウス・ナソ ]

ギリシア神話関係の書籍を読んでいると、『変身物語』の名はたまに目にする。ギリシア神話では、変身という現象が比較的によくみられていて、代表的なところでは太陽神アポロンから逃げるために月桂樹になったタプネだったり、女神アテナと機織の技能を争また結果、負けて蜘蛛になったアラクネなんかだ。
前情報とタイトルから『変身物語』はこの手の変身をテーマにしたオムニバスだと思ってた。だもんで、「あんま心惹かれないから、別に読まなくてもいいか…。」と思い、この20年ほどの長きにわたり読んでこなかったが、これが間違いだった。暇のあった中学生とか高校生時代に、遅くても大学生くらいのときに読んでおけば良かったと。

まず、この『変身物語』だけどタイトル詐欺である。内容に則してタイトルをつけるならば、『ギリシア・ローマ神話大全集』とか、『ギリシア・ローマ神話集』とでもする方が適切だろう。
内容を見ても、冒頭から天地創造の話になる。あの、カオス(混沌)からガイア(大地)とウラヌス(天空)が生まれて、さらに神々が生まれるというアレだ。このあたり、変身というか、モノが変化して別のモノになってるよね…と思えなくもないが、普通に変身がさほどテーマになってない物語なんかも語られていくようになる。
つまり、本書は「変身」をテーマにしているが、変身は不可欠なテーマではなく、また個々の物語に変身を入れなきゃならないという縛りすらないのだ。確かに、変身を扱った物語は多いし、僕が数えたわけではないが、この作品内だけで200を超える変身の物語が収録されているらしい。ただ、『変身物語』というタイトルからギリシア・ローマ神話を連想することは難しそうだし、マーケティング的にもあんま良くないんじゃないかな、と思わないでもない。

ここから、内容に関する感想なのだけど、個人的には神々の話を中心としていた上巻より、ヘラクレスやアキレウスといった英雄たちが活躍してくる下巻の方が面白いと感じた。
このへん、完全に好みの問題で、中学生時代の僕は英雄たちの物語より、神々の物語を楽しんでいた。心境の変化は、僕が大人になって、血の通った英雄たちの苦悩や挑戦にこそ、自分や周りの人を重ねて読めるようになったからだと思うのだが。
その中で、特に良いな、と思ったのを見どころを3点ほど上げたい。

見どころの1つが、アキレウスの武具をめぐる、オデュッセウスもアイアスの話。
トロイア戦争自体はイリアスを読めということか、オデュッセウスとアイアスは自分の功績をそれぞれ演説し、自分こそがアキレウスの武具を受け継ぐべきだと論戦をするのだ。
僕はこの20年ほどオデュッセウスのファンをしているのだが、アイアスの演説を聞くと確かに、人間社会でよく見る、ずるいやり方で出世をする奴を連想し、初めてオデュッセウスのやり方に疑問を持った。
一方で、弁舌巧みなオデュッセウスは、演説の最中に涙ぐんで見せたり、効果的に間を作ったりしながら演説をするわけだ。直截的なアイアスに比べると、見事と言わざるを得ない。
ま、オデュッセウスが後から演説するわけで、先に演説したアイアスより有利なんだけどね。正直、オデュッセウスの、というかここは著者のオウィディウスの弁論術に感じ入る。自然科学と違い、この手の弁論術は現代でも充分に使えるだろう。もし、オデュッセウスが政治家やら弁護士やらせると、どうなったかな、と想像すると楽しい。

見どころの2つがピュタゴラスによる菜食主義のすすめ。
なんでも、万物は流転してるらしく、人の体は死後に土になったり、その土が草になって別の生き物になったりする。別の生き物を殺して食べるというのは、なんか魂を汚しちゃうから、食べちゃダメだという。
ただ、禁止の理由は食べることで自分の魂を汚さないためだから、畑を荒らすイノシシなんかを殺すのは良い、とのこと。今流行りのヴィーガンったやつか。
万物流転の考えは、東洋の輪廻転生にもつながるのかな、と思った。ただ、害獣を食べずに殺すだけなら可としているところは大きく異なるのかもしれない。

そして、見どころの3つにギリシア神話と離れた、ローマ固有の神話が収録されているところ。当然ではあるが、ローマ建国の父、ロムルスの話なんかはギリシア神話とは別の話になるから、あんまこの手の話を解説した書籍はない。
そして、神格化されたカエサルやアウグゥストゥスなんかも『変身物語』に収録されてる。
なんでも、カエサルが殺されたのは、アウグゥストゥスが人の子であってはまずいので、カエサルを死なせて神にしなきゃならなかったからだ、とか。
あと、アウグゥストゥスへのゴマすりが露骨で、「カエサルの最も偉大な功績は、アウグゥストゥスを子にしたことだ」と述べてみたり、「カエサルも偉大であることは間違いないが、子のアウグゥストゥスには及ばない。父のペレウスより子のアキレウスが、父のクロノスより子のゼウスが優れているように。」と。
ちなみに、史実を見ると、オウィディウスはこれほどまでにアウグゥストゥスに媚びているものの、追放刑にされているという。なんだか、悲しいものだ。



転身物語(上)【電子書籍】[ オウィディウス ]





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最終更新日  2019.07.07 14:28:52
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