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カテゴリ:ラノベ
創竜伝も6巻から第2部の海外編が始まったのだけど,6巻のアメリカ編に続き,7~9巻にかけて舞台は中国になる。田中芳樹は中国ひいきなところがあるが,このあたりは結構楽しんで書いているようである。
おおざっぱなあらすじだけど,竜堂兄弟は竜泉郷を目指して中国にやってきた。なんでも竜泉郷の場所は黄大人の兄である黄老が知っているというので,まずは政治犯として青海省で投獄されている黄老を助けに向かう,という形になる。 話は全然変わるんだけど竜泉郷って『らんま1/2』の呪泉郷と響きが似ているよね。らんまも創竜伝も1987年スタートなので単なるネタかぶりかもしれない。というか,創竜伝以外で竜泉郷という言葉を見ないので,作者の創作なのか元ネタがあるのだろうか・・・。 この巻の見所としては,黄老の破天荒な人物設定だろう。 初対面の竜堂兄弟の前で,黄忠の66代目の子孫を自称してみたり,皮肉屋で楽しい爺さんである。 かなり衒学的で思想的には全面的に賛成しかねるところもないではないが,これはこれである。 ネタバレすると黄老は14巻であっさり物語から退場してしまうのだけど,色々悲しい。 また,黄老よりも先に触れなければならなかったのが,小早川奈津子の登場である。 もともと敵が弱すぎて緊張感がなかった創竜伝なのだけど,小早川奈津子は本当にもったいないというか,物語をぶち壊してきているキャラだと思う。 もともとの出自を見れば,1巻のラスボスだった「鎌倉の御前」の娘で,竜種の血を体に入れているしか超人的な身体能力を発揮するという,スペックだけなら竜堂兄弟にも匹敵する女性である。ただ「身長は続とほぼ等しいが,体重は二倍以上」(新書版32頁)と記載されている肥満体で,55歳のオバチャンである。とどめに,明らかに頭が悪い。 たぶん,菊地秀行の小説にたまに登場するでぶの戸谷順子あたりをモデルにしたんじゃないかと思われるキャラなのだが,どうも好感が持てない。魅力に欠けるのだ。 せめて小早川奈津子は20代くらいと若く,右翼思想を持っていても頭は切れるというキャラにならなかったものか。言うならば,醜い薬師寺涼子といったところ。 正直,僕は著者の「薬師寺涼子の怪奇事件簿」を読んだとき,「えっ,このキャラ小早川奈津子を若く,美人にして右翼思想を左翼思想に変えただけで本質的には同じじゃん?」と思ったものである。 なお,薬師寺涼子については「ドラキュラもよけて通るドラよけお涼」という異名から『スレイヤーズ』の主人公リナの「ドラゴンもまたいで通るドラまたリナ」と名前が似てたり,その破天荒な性格からリナのコンパチではないかと諸説ある。両者とも「悪人に人権はない」とか言っちゃったりするからな。 新装版 薬師寺涼子の怪奇事件簿(1)魔天楼 (KCデラックス) [ 垣野内 成美 ] 創竜伝という世界の構造的な問題なのだけど,右翼的だったり政府よりな思想を持つ者はそろいもそろって人品は卑く,知能は低く,能力はないが傲慢というキャラになってしまっている。ここで「鎌倉の御前」は数少ない例外で,明確な悪人ではあったが大物感があったし,知能は高く,傲慢であるが能力があった。 こういう,魅力的な悪役というのがほしいんだよね。 あと,ランバート・クラークがいろいろあって牛頭人体のバケモノに変身した。 初見のときはあれだよ,「敵方にパワーアップイベントが来たのか!?」と思ったものだが・・・。 このあたりはまた感想を書いていくことにしよう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.10.28 10:20:36
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