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2019.11.17
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テーマ:法律(462)
カテゴリ:法律
給料を差し押える場合はその4分の3が差押禁止の債権になる(民事執行法152条1項,国税徴収法76条1項)。たとえば,給料が20万円だとすると,差し押えられるのは4分の1の5万円だけになるわけだ。
ところが,預金についてはその全額を差し押えられる関係上,たとえば給料日に差押えできた場合,口座に入金された給料全額が差し押えられることになる。これはどの教科書にも書いてあるのだが,学生の頃から疑問はあった。これにある程度答える形の裁判例が出てきたので,簡単に紹介したい。
事案は,民事執行ではなくて国税の話だけれど,差押禁止の範囲も民事執行法と国税徴収法とで同じなのだけど,ある程度参考にもなるだろう。


事案は,こうだ(大阪高裁令和元年9月26日)。
原告は税金滞納していた者であるが,ちゃんと働いてはおり,だいたい20万円くらいの給料を得ていた。
ここで,税務署は銀行に調査をかけて入出金履歴を見たところ,原告の勤務先を把握した上,給料日が毎月15日前後であることまでも理解していた。ただ,口座の残高は引き落としなんかのために,基本的にゼロ円である。
そこで,税務署は「15日から19日までの間」に差押えができるように段取りを組んだ。この結果,15日に20万が入り,そこから携帯料金の引き落としや払い戻しで残高が減っていたものの,17日には約10万円を回収したのだ。
これに対し原告は,給料差押えをすれば回収できないのに,あえて預金差押えをしたのは違法だとして,過剰に取り立てた分を返せとして①国家賠償を求と,②不当利得返還を請求したという事案である。

これについて大阪高裁は国賠は認めなかったが,不当利得は肯定した。理屈は,こうだ。
国賠について,まずは違法性を考えるのだ。
これについて,「実質的に差押えを禁止された給料等の債権を差し押えたものと同視することができる場合にあたると言うことができ,本件給与により形成された部分を超える部分のうち差押可能金額を越せる部分については,上記差押禁止の趣旨に反するものとして違法」とされてしまった。
しかし,故意過失については別だ。ブログ冒頭にも書いたとおり,「銀行口座に振り込まれた給料を差し押えることを禁止する規定もないので,これを差し押えると違法になるのか,またなるとしてもどのような場合に違法になるかについて,法律解釈や実務上の取り扱いも分かれていて,処分行政庁において差押えが違法になるかどうか予見し,または予見すべきであったことはいえない」として過失を否定した
こういうわけだから,まずは国賠は認められない。

一方で,不当利得については,「差押えが違法だから」という非常にあっさりした理由付けで原告の請求を認めている。
なんかもっと,損失と利得の因果関係とか,そういう話はカットであまりにも雑な気はするのだが・・・。
最終結果として,差押可能金額を超えた部分,本件だと2万5000円は不当利得だとししたのである。

色々と思うところはあるよ,この事案。
まず,国や税務署側の言い分として「給料を差し押えたらクビになっちゃうかもしれないから,預金差押えをしたのだ」という反論。これはまさしくそのとおりで,僕も喜び勇んで給料差押えをしたら,相手方がクビになったという悲しい事案を目にしたことがある。いや,もともとの勤務態度が悪かったらしく,因果関係があるか疑問ではあるのだが。
次に,調査すればするほど,結果的にマイナスになるのではないかという恐れである。
また,単純に高裁の判決文だけを読むと原告に同情してしまう面もあるが,大阪地裁の判決文を読むと,原告が複数回にわたって税務署の連絡を無視していたり,税務車が何度口座を差し押えても数百円しか回収できていないという悲しい事実が目に入り,税務署側の対応も分からなくもない。

問題は,これが最高裁でひっくり返るかどうかと言うところだと思う。国税の話とはいえ,射程は民事執行にも及びそう。
もっとも,弁護士の調査能力と税務署の調査能力にはかなりの差があるので,そこまで調べることはできなんだけどね。
たとえば,僕なんかは差押えの時期として,給料が入った直後を狙うのがセオリーだと思っている。この辺は,勘でやるしかないが,給料は15日や25日が多いので,月末を狙うとか,普通に僕はやってる。
この程度ならば,勘でやってるだけだし,だいたい回収はしきっているから問題はないと思うけれど。


クロスレファレンス民事実務講義第2版 [ 京野哲也 ]






最終更新日  2019.11.17 10:33:01
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