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2019.12.06
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カテゴリ:法律
田舎で弁護士やってると、刑事事件をやらないわけにはいけない。何人もの被疑者・被告人と話をしていく中で、色々と思うところもあったのだが、そんなおり『ケーキの切れない非行少年たち』という新書が話題になったので読んでみた。



ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書) [ 宮口 幸治 ]

タイトルの由来になってる『ケーキの切れない』というのは、児童精神科医である著者が少年院で、「ケーキを三等分してみて?」と課題を出すと、非行少年たちは上の図のような切り方をするというのから来ている。
こんなの、ちょっと考えれば、いや考えるまでもなく120度の角度をつけて切ればそれでいい話だ。しかし、非行少年たちにはそれができない。
もともと、刑務所に入る人たちは知能指数が低い傾向にある、ということは聞いたことがあった。
受刑者の2割は知的障害があるとか言う話だ。弁護士をやっていると,犯罪歴のある人と話すことは多いのだが,それは強く感じるところである。

心に刺さる指摘は数多いが,冒頭で著者が指摘する「見る力」,「聞く力」,「想像力」についての点。
著書によると,そもそも非行少年は「見る力」が低く,図形を見たとおり正確に書き写すということ自体ができないそうだ。もちろん,これは見る力に加えて書き写す力が必要だろうが,僕たちの見ている世界と彼らの見ている世界は違う可能性がある。
著者はこの点について,「歪んで見えている可能性がある」という指摘をしていたが,これは分からなくない。
僕自身の話に引き直して見るが,僕は「人の顔を覚える」というのが極端に苦手である。全然覚えられない。人間であること,男女の別などは認識できるものの,人の顔を見分けることができないのだ。こういった点で,僕なんかは非常に「見る力」が弱いのだと思う。きっと,普通の人とは見ている世界が違うのだろう。
「聞く力」でいえば,社交辞令を真に受けたりする人なんかそうだろう。交通事故現場で相手方が「できる限りの賠償はします」と言ったからといって,修理費用どころか新車の購入費用まで弁償すると言ったとか,そういう人がいたりする。

ところで,刑事弁護を熱心にやっている長老弁護士先生とこの本の感想を話し合ったことがある。
その長老弁護士も,「ケーキを切れない少年が30歳になったら突然ケーキを切れるようにはならないだろう。そういう意味で,刑事弁護をやる上で,この本は読んでおいてもいいかもしれないね」というようなことをおっしゃってた。
刑事弁護の9割くらいは自白ありの事件で情状を争う活動がメインになる。つまり,再犯可能性が低さを裁判所にアピールすることがかなり重要な仕事になってくる。
そうすると,なぜ犯罪をしてしまうのか,犯罪をしてしまう人にはどういう傾向があるのか,学ぶためにもこの本は読んだ方がいいだろうなと思うのだ。


ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書) [ 宮口 幸治 ]





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最終更新日  2019.12.06 15:56:01
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