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2020.01.06
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カテゴリ:ラノベ
18年もの間新刊が出ていなかった十二国記,ついに新刊である『白銀の墟 玄の月』が出た。全4巻とかなり長いのだが,ようやく読み終わったので感想を書いていこう。


白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 (新潮文庫) [ 小野 不由美 ]

これまでのあらすじだけど,泰国はひどく荒れていた。阿選という将軍がクーデーターを起こし,王である驍宗がは行方不明,泰麒も蓬莱に流されていったからだ。十二国記の世界観だと,王がいないと国は荒れてしまうのである。
物語的には,蓬莱から帰ってきた泰麒を主人公としつつ,泰国の立て直しを図るという内容になっている。

それにしても,長い・・・。全4巻というのはかなり苦しい。
僕が十二国記に出会ったのは高校生のころだったか。1作目,『月の影 影の海』もまた上下巻だったのだけど,陰鬱な状態が続く上巻はひどく読むのに苦労をさせられたような記憶がある。ただ,下巻で一気に面白くなるので新刊である『白銀の墟 玄の月』もそうなるのかなと期待はしたが,それでも4巻は長い。
時間がいくらでもある学生と違って,社会人になると自由に読書を楽しめる時間なんぞせいぜい1日1時間あるかないかだからね。1冊に3日程度かけるとして,半月は余裕で必要だ。

で,内容なのだけど何故こんなに長いのかと言えば,ミステリーじみた仕掛けがされているからだと思う。
もともと,泰国の情勢についてはよく分かっていないところが多かった。たとえば,第1にクーデターを行った阿選の動機は何なのか,第2に泰王の驍宗はどこに行ったのかという点。
さらにこの巻では,泰国の支配者になったはずの阿選が政治に感心を失ってしまっているようで,国政をないがしろにしていることが明かされるが。第3の謎として,なぜクーデターまで起こした阿選が政治をないがしろにしているのか,なんていうのもあるだろう。
作中,登場人物たちは延々とこれら3つの疑問について,議論をしはじめたりする。ああではないか,こうではないかと。
例えば,驍宗の行方について,もう死んでいるのではないか。いや,名乗り出ると殺されるので,どこかに身を潜めているのではないか。いやいや,重傷を負って動けないのではないか。こんな話をかなりやっている。
自分用の備忘録的な意味もあって,次の次の段落ではっきりネタバレをしてしまうので,未読の方は次の段落で引き返した方がいいかも。

さて,色々な謎なのだけど,「もっと短くしてくれんかなぁ」というのはどうしてもある。
様々な謎はあるにせよ,普通に上下巻どころか1冊で終わりそうなところもないではない。
ただ,もったいぶって謎についてキャラクターが議論を繰り広げるシーンを読むことで,読者はより一層謎について考え込むことはできるだろう。また,謎が明かされたときの快感は非常に大きくなると思う。たとえば,第1作『月の影 影の海』なんかは上下巻なのだけど,上巻は読んでいて精神的につらい。主人公は延々と苦しい目にあい続ける。現代日本から十二国記の,謎の世界に飛ばされ,誰からも理解されず,信じた人には裏切られ続ける。このドン底を見たからこそ,下巻で物語が収束していくところの快感は大きくなるのだ。
このあたりは,昨今はやりの「異世界転生もの」と対極にあると思う。異世界転生ものだと,主人公はたいていチート能力というか,人並み外れた能力を持っていて,たいした努力をしなくても誰からも好かれ,誰からもチヤホヤされる。だが,十二国記の世界はそうではない。主人公たちはドン底まで落ちるし,簡単にはチヤホヤされることはないのだ。
しかし,繰り返しになるが,全4巻は長い。正直言って,物語が大きく動き始める3巻から読んでもそんなもんだという思いもあるかな。逆に言えば,陰惨で長い全4巻を出せるあたりが小野不由美の信頼と実績なのかもしれない。

そろそろネタバラしに入るけれど,第1に阿選がクーデターを起こしたのは,まとめづらいが驍宗に対する嫉妬とか羨望とか,そんな負の感情である。そもそも,「阿選」というのは字であって本名は朴高。一方で,驍宗も朴綜。天は続けて同姓の者を王にはしないというから,阿選は驍宗の次に王になることがどうしてもできない。そういうこともあって,クーデターをするのだ。
第2に驍宗の行方だけれど,落盤に巻き込まれて日の届かない穴の中にずっといた。これも何度もミスリードがあり,驍宗っぽい,重傷を負った武人が村で匿われたりとか,色々あった。
第3の,クーデター後の阿選が国政をないがしろにしていたのは,いつ驍宗が帰ってくるかわからんとか,その手の事情によるのだ。
このように箇条書きにしてしまうと,一瞬で終わるのだが,前半で謎を広げ,3巻ころから明かされる。
ちなみに,十二国記は巻末に史書を引用したような記載で締めくくるのだが,全4巻の物語を数行で終わらせていて,なんか史書のあっさりした記述の裏には,色々あるものだという気持ちにさせられる。

その他,ミステリ仕掛け以外にも,見どころは色々ある。
泰麒は黒麒麟であり,慈悲深い性質の麒麟とはかけ離れているように描写されている。策謀も巡らせたりもするし,暴力行為も可能である。嘘だってバンバンとつくし,他人を陥れたりもする。
泰麒はさまざまな策を実行するのだけど,そのうちの大きなものとしては「ツノを切られ,麒麟としての力を失っているフリ」をやっていたところか。結構,びっくりさせられるシーンではあった。

面白かったかどうか,と言われれば面白いのだろう。
ただ,長い。時間のある学生向けだし,社会人的には年末年始にでも読むしかないよ。


白銀の墟 玄の月 第三巻 十二国記 (新潮文庫) [ 小野 不由美 ]





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最終更新日  2020.01.06 18:06:49
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