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2020.01.30
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テーマ:法律(493)
カテゴリ:法律
セクハラの成立には故意過失が必要なのだろう。なんとなくそう思っていたけれど,そうでもないという裁判例に遭遇した。
アカデミックハラスメント,略してアカハラも絡んでいて色々と,参考になりそうなので見ていきたい。

紹介するのは,東京高裁令和元年6月26日判例タイムズ1467号54頁。
問題になったのは,とある大学である。
原告の大学教授は,ある学会終了後,学生たちとの慰労会に出席したのだ。慰労会が終わった後,女子院生に声をかけ,「家まで送っていく」とか言って,女子院生の家の最寄り駅まで行ったのだ。で,駅近くのファミレスで飲食後,「もう終電ないから帰れない。家に入れて欲しい」など言って女子院生の家に入れて貰い,一晩泊まったのだ。
女子院生が拒否したため一線は越えなかったが,それでも「落葉の宮も3回夕霧を拒んだのですよ」と迫ったり,ブラウスのボタンをはずしたり,胸を触ったりしてる。なお,原告の教授はベットで眠り,女子院生はキッチンで一睡もせず一晩を過ごしたのだ。
このあとも,色々教授からメールを送ったのが,セクハラだったりアカハラだとして,大学は懲戒処分として教授を降格させたのだが,教授側がこれを不服として地位確認と未払い賃金を求めたのがこの事件。

これで,高裁が面白いのが,
「セクシャル・ハラスメントに該当するかどうかという点の判断においては,行為者の主観的要件(故意・過失)は考慮に入れるべきではない」
​と判断しているところ。
そうしたうえで,故意・過失の有無なんかは,懲戒処分をするかどうかの裁量に影響を与えるだけであるとし,降格は相当だとして原告教授を敗訴させた。

一瞬,「え,そうだっけ?」と思ったが,よく考えてみたら,これは不法行為の次元ではなく,労働法の次元で,懲戒処分ができるかどうか,という問題なのである。
タイムズの解説でも説明されていたけれど,セクハラというやつ,している側には故意・過失がない,つまり悪気がないというのがままある。
性犯罪の弁護をたまにやるのだが,被疑者・被告人には「同意があった。被害者も俺に好意があったはずだ。」という人がそれなりにいる。彼らの頭の中では,「拒否されなかったから,同意があった」と変換されているっぽい。

このあたりは非常に難しい問題で,性的な行為をする際,女性が本当に嫌がっていないのか,僕だって正確に事実認定できている自信はない。とりあえず拒否されてないから,嫌じゃないのだろう,くらいにはどうしてもなってしまう。
なので,労働法上の懲戒事由としてのセクハラの成否を考えるためには,行為者に故意・過失があろうがなかろうが,使用者としては注意し,指導する義務があるわけだな。
言われてみれば当たり前なのだろうが,どうしても故意・過失が要件のように考えていた。

ところで,興味深かったのが教授が「落葉の宮も夕霧を3回拒んだのですよ」と言って女子院生に迫ったというところ。
僕なんかは「雅だなぁ」とのんきに考えてしまったが,女子院生は「自分の研究対象である中古文学の分野,ひいては自分の学問をけがされた」と証言している。
この一事を見ても,僕には正確に女心が把握できていない,ということであり日頃の言動がセクハラにならんか,注意すべきなのだろうと思う。


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最終更新日  2020.01.30 11:54:17
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