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2020.02.26
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テーマ:法律(462)
カテゴリ:法律
弁護士を含めた法曹関係者は,文書作成のことを「起案」という。そこにはなんとなくのカッコ良さがただよう・・・ような気がする。
僕が「起案」という言葉を初めて使ったのは司法試験に合格し,司法修習が始まった頃だ。「起案」という言葉を口にするだけで,法律家になったような気分になったものだ。
ところが,この「起案」はたちまち嫌な言葉ランキング上位にランクインする。つらいからだ。きついからだ。苦しいからだ。
そんなこんなで『起案添削教室』を読んだので感想を書いていこう。


弁護士はこう表現する 裁判官はここを見る 起案添削教室 [ 柴崎哲夫 ]

内容的には牧田弁護士が,弁護士の感性から本文を執筆し,各章の終わりに柴崎裁判官がコラム的な解説を挟むという形式。いくら弁護士の目から見て良い起案でも,裁判官の目から見てどうかな,という多角的な視点から起案というものを学ぶことができる。
そんな本書の目次は以下の通り。

第1編 基礎知識編
 1章 なぜ文章作成術が必要なのか
 2章 文章作成の約束事
 3章 メールの文章術
第2編 実践編
 1章 裁判外の書面(内容証明や関係者宛て手紙の起案)
 2章 裁判上の書面(訴状,答弁書,仮処分申立書の起案)

どうだろう。極めて実践的であることが分かる。
第1編,2編を通して素晴らしいのは,まずはいったんダメな例を示した上,良い例を示してくれるところ。
社会に出るとよく「正解はない」という問題にぶち当たるのだが,起案もまさにそうだろう思う。人によって好みもあるだろ。ただ,不正解というのは往々にしてあるものだ。
また,司法試験の勉強中につくづく思ったけれど,成績優秀者の論文というのはあまり役に立たないのだ。特に何の感想も出てこない。
ところが,ダメな論文のダメな点を,どうしてダメなのか,そしてどうしたら良くなるかをやるというのは,ずいぶん勉強になった記憶がある。
結局,正解がない問題にも不正解というものは確実に存在するわけだから,不正解の事案を知っておくことこそが上達するための方法になるのかもしれない。

そんな本書の見どころといえば,弁護士と裁判官の目線からの説明があるところ。
この柴崎裁判官は決してイエスマンではないので,たまに牧田弁護士の書いている本文に否定的な見解を示したりもする。
たとえば,牧田弁護士は「1文を短くするように」と言うが,柴崎裁判官は公文書に限定してだが,「文章を短めにすればわかりやすさの点は相当クリアできると思われるが,格調の高さを維持しにくくなってしまう傾向があることもまた,否定できないのではないか」とちょっとした反対意見を唱える。
こういったところ,起案における画一的な正解のなさ,立場の違いが見えていて面白い。

具体的な文章術について色々な点で活用できるものが多いのだが,2つほど見ていく。
1つは,「接続助詞の’が’」は使わないというところ。接続助詞の「が」は否定の「しかし」の代用しても使われるが,そうではなく「一度謝罪に伺いたいのです,ご都合はいかがでしょうか」のように「留保・抑制」を表す場面でも使う。曖昧で,使い勝手がよいために多用すると,論理の流れが曖昧になるから,いっそ使うな,というのだ。なかなか,面白い指摘だと思う。
2つは,余計なことを書くな,という点。
結局,何が大事か把握し,何を書いて何を書かないかの判断が大事だよ,という話である。

なお,本書は学習のためにもいいが,牧田弁護士の文章は堅苦しくないし,ときおり読者の興味を引く話題を入れてみたりと,読み物としても面白い。
特に架空の事案についてはけっこう凝っていて,交通事故の当事者が「松田日乃」と「豊田昴」だったり,離婚事件の当事者が「白馬応治」と「白馬雪子」だったりする。
牧田弁護士の遊び心が見えてきて,ときおり笑いながら読んでしまった。


弁護士はこう表現する 裁判官はここを見る 起案添削教室 [ 柴崎哲夫 ]






最終更新日  2020.02.26 15:53:29
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