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2020.05.20
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テーマ:法律(460)
カテゴリ:法律
一時期はネットで目にすることが多かった「NHKから国民を守る党」(以下「N国」)であるが,最近は大きな選挙もないせいか,以前ほどネット記事を目にする機会は減ったように思う。
ただ,N国は判例雑誌の常連ともいえる存在である。NHKの受信料債権の時効期間に関する事例など,さまざまな裁判例を作ってきているが,スラップ訴訟がらみも多い。以前も紹介した事案があるが(過去日記,​東京地裁H29.7.19判決​),最新の時報にもN国のスラップが載っていたので,簡単に紹介していく。


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今回の,千葉の事案(千葉地裁松戸支部R1.9.19判例時報2437号78頁)は,こうだ。
N国に所属するニコ生主は立川市議選挙に立候補していたが,彼の動画などを見る限り,どうも立川市に居住実態がなかったらしい。それを,あるブロガーが批判するような記事を投稿したところ,ニコ生主がブロガーに対し,名誉毀損として200万円の請求をしたのだ。

ひどく特徴的なのは,N国の党首がYouTubeで「この裁判はそもそも勝って,ブロガー君からお金をもらいにいくためにやった裁判じゃなくて,いわゆるスラップ訴訟,スラップていうのは,裁判をして相手に経済的ダメージを与えるための裁判を言うんですよ」などと,訴外であるがスラップを自白するような発言している。
その他,求釈明に応じないなど訴訟追行の態度も非常に悪く,裁判所はスラップ訴訟だと認定した。
この点は,以前紹介した東京地裁の判決と同じである。なぜ,動画で墓穴を掘ってしまうのか・・・。

ただ,普通の裁判例と違うのは,ブロガー側からの反訴に対し,損害額として比較的高額の弁護士費用を認めた点だ。
内訳としては,以下の通りで,合計78万5600円。

  1. 本訴着手金  10万8000円(支払い済み)
  2. 本訴実費   4万2000円(支払い済み)
  3. 本訴報酬   34万5600円(支払い予定のもの
  4. 反訴着手金  10万8000円(支払い済み)
  5. 反訴実費    1万2000円(支払い済み)
  6. 反訴報酬    7万0000円(支払い予定のもの
  7. 慰謝料    10万0000円
基本的に,損害賠償請求する場合の弁護士費用というのは満額認められることは稀で,せいぜい1割といったところ。今回の事案だと,本訴のスラップ額が200万円で,反訴で認められた慰謝料が10万円だから,本訴分で20万円,反訴分で1万円の合計21万円程度が普通だろう。支払い済みのものだけでなく,支払い予定のものも損害としているあたりも興味深い。

ところで,以前の日記で紹介した東京地裁のケースだが,こちらも読み返してみれば,弁護費用の全額54万円が認容されていた。
ただ,事案と異なり,反訴という形ではなく,前訴が終わったあと,後訴として前訴にかかった弁護士費用を請求したというものであるが,やはり全額認容である。(なお,不当訴訟とされた前訴でN国が請求した金額は10万円と低額)

こうしてみると,今回の千葉地裁と以前の東京地裁の2件で,N国がらみの事件で2件とも弁護士費用全額が損害額として認められている。
いろいろ分析してみたいが,よくわからん。時報の,過去のスラップとして紹介されていた,某宗教団体がやった7億円のスラップ(東京地裁H13.6.29判タ1139号184頁)や,伊那太陽光スラップ事件(長野地裁伊那支部H27.10.28時報2291号84頁)はいずれも慰謝料のみ請求されている事案であった。
過失を超えて容易に故意まで認定できる事案だとか,違法性の強弱だとか,色々あるだろう。最近,SNSを見ているとスラップとしか思えない訴訟が増えているようなので,このあと裁判例の集積もあるだろう。

個人的な見解を言えば,スラップ訴訟の場合,反訴や後訴で損害賠償請求をする場合,かかった弁護士費用の全額を認めてやっていいのではないかと思う。
もともと,たとえば今回の千葉地裁の件だけど,普通に裁判所の従来の基準でやるとすれば,スラップで訴えられた時点で,弁護士費用相当額の全額の回収はできず,ある程度の損害が出てしまうわけだから。
なので,膨大な資金力をもつ者からすれば,スラップ訴訟をやり放題である。実際,N国はスラップであることを認める動画を投稿するというあたり,勝ち負けを度外視し,相手にダメージを与える手段を洗濯している。

なお,色々見ていたが,青森地裁弘前支部H20.3.27時報2002号126頁が,400万円近い弁護士費用を損害と認めている。なかなか,こんな事件はなかろうと思うのだが。

(参考→​東京地裁の過去日記​)


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最終更新日  2020.05.21 09:33:06
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