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カテゴリ:読書
定期的に,僕の中で古代ローマブームが来るのだけど,そんななかなんとなく手に取ってみた『奴隷のしつけ方』。
新書サイズのころも書店で見ていたと思うのだけど,自己啓発書とかビジネス書かと思い敬遠していたが,これは自己啓発書でもビジネス書でもなく,古代ローマ文化本だなぁ。 奴隷のしつけ方 (ちくま文庫 ふー53-1) [ マルクス・シドニウス・ファルクス ] 内容なのだけど,古代ローマの貴族,「マルクス・シドニウス・ファルクスが書いた」という設定のローマ時代の奴隷に対する文化だとか,小話を集めた書籍になっている。 言うならば,『魁!男塾』には民明書房とか太公望書林とか,架空の書籍を引用する形で嘘くさい歴史話にリアリティを与える,という技法がされていたが,まさに本書もそういう趣向になっている。 素直に,翻訳したというジェリー・トナーが執筆したというより,古代ローマの貴族が書いたとする方が箔がつくだろう。そういえば,最近は『忍者スレイヤー』なんかも架空の・・・・・・。 さて,内容なのだけど,古代ローマの貴族がどうやって奴隷を使っていたのかを解説している。 何がすごいかと言えば,奴隷に関する小話には,大カトーだとかセネカだとかの著作から,奴隷に関する記述が出典になっており,そうであるからリアリティに富んでいるというところ。 まるで,本当に古代ローマの貴族が執筆した書籍であるかのようだ。 一方で,「古代ローマ貴族の奴隷マネジメント術は現代の経営者にも役立つこと間違いなし!」とあるのはさすがに無理があるかな・・・。 奴隷にも報酬を与えた方が働かせやすいとか,まあ現代の労働者を扱うために役立つものがあるとはいえ,現代とはずいぶん違うので,なんともいえないだろう。 個人的には,奴隷に関する小話集として楽しんだ。 中でももっとも興味深いのが,キリスト教に関する記述である。 著者とされているマルクスもキリスト教が嫌いのようで,けっこうボロクソ言ってくれる。 「キリスト教徒は慈悲とか施しとかいうけれど,奴隷に対する扱いは我々と変わらない」とか,「キリスト教の教皇,カリストゥスも元は奴隷で人をだます悪党だ」だとか,けっこう酷い。 そういえば,塩野七生の『ローマ人の物語』なんかを読んでいると,「塩野先生はキリスト教がお嫌いなんだなぁ」と思うけれど,本書の著者もキリスト教があんまり好きじゃないのかも知れない。 まぁ,古代ローマ関係の文化や遺跡を破壊しまくったりとか,古代ローマの専門家としてはあんまキリスト教好きじゃないんだろうなぁ。 奴隷のしつけ方 (ちくま文庫 ふー53-1) [ マルクス・シドニウス・ファルクス ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.06.02 11:22:58
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