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2020.07.08
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カテゴリ:読書
百田尚樹といえば,毀誉褒貶が激しく,ベストセラーを連発している作家ではあるが同時に裁判沙汰になった事件もある方でTwitterでは有名人である。
かの文豪,アレクサンドル・デュマなんかも私生活は滅茶苦茶で裁判沙汰にはなっているわけなので,百田先生の評価は後世の歴史家に委ねるとして,『地上最強の男~世界ヘビー級チャンピオン列伝』の感想を書いていこう。


地上最強の男 世界ヘビー級チャンピオン列伝 [ 百田 尚樹 ]

僕が本書を手に取ったきっかけは,書店でタイトルを見てである。なんとも訴求力あるタイトルではないか。
僕も含めて,男として生まれたからには,誰だって一度は世界最強を夢見る。そうじゃない男なんかいない,と板垣恵介先生が刃牙の口を使って語っていますが,そのとおりである。これは手に取るしかないよね・・・。



(板垣恵介『グラップラー刃牙』秋田書店より)

さて,内容なのだけど,世界最強の男の代名詞,ボクシングヘビー級チャンピオンの事跡を紹介するというものだ。
時期的には初代ヘビー級チャンピオン,ジョン・L・サリバンからモハメド・アリまでのチャンピオンの紹介になる。著者自身も,現代では総合格闘技の発達により,「もはやボクシングヘビー級チャンピオンが最強ではない」ということだ。
この辺は,「いや,現代でもボクシングヘビー級チャンピオンが最強だ」という人もいるかも知れないが,そういうことにして話を進めていく。

ところで,本書は「チャンピオン列伝」と銘打っていながら,厳密には列伝形式(伝記を書き連ねたもの)にはなっていない。
編年体で,おおよそ時系列に沿って語られているし,全25章のうち,1章を使ってもらえるチャンピオンもいれば,第12章から15章の4章を与えられたジョー・ルイスみたいなのものいる。
しかし,注目すべきはモハメド・アリだろう。彼は第20章から25章まで,6章を通じて主人公としての立場にある。
ヘビー級チャンピオンの中にも,1度も防衛に成功していない者がいる反面,ジョー・ルイスのように25回もの防衛をし,11年間も王者であり続けた者もいるから軽重がでるのは当然なのだろうけれど。
特に,著者はリアルタイムでモハメド・アリの試合を見ていたようで,思い入れの深さもあるのだろう。

とてもチャンピオン全員の話をするわけにはいかないのだが,人種差別論について触れていきたい。
ボクシングヘビー級チャンピオンには黒人が非常に多い。しかし,初代の黒人チャンピオンが登場するまでは,カラーラインと呼ばれる人種差別的な,事実上は白人チャンピオンが強力な黒人挑戦者を拒否する制度のためなかなか実現をしなかった。
そして,黒人ボクサーはリングの上だけでなく,リング外も人種差別と偏見とも向き合わなければならなかった。向き合う,というのは戦った者もいるし,そうしなかった者もいる,ということだ。

著者もこの人種差別の問題には感心があるようで,終章でジャック・ジョンソン,ジョー・ルイス,モハメド・アリの3人についてこう述べている。

「筆者は敢えて断言する。この3人のチャンピオンこそが,アメリカにおける黒人の地位を変える存在であった,と。スポーツの一ジャンルに過ぎないボクシングのチャンピオンが,アメリカ社会を動かしたのだ。それは彼らが「地上最強の男」であったからだと,筆者は思う(本書498頁)

黒人として初代チャンピオンになったジャック・ジョンソンの白人に牙をむく人生は破天荒で憧れるものがある。一方で,黒人でありながらアメリカ代表としてナチス側とされるのボクサーと戦い,勝利したジョー・ルイスの人生は色々考えさせられる。
しかし,僕がこの3人の中で最高だと思うのは,モハメド・アリである。社会運動としては,個人的に白人社会に喧嘩をうったジャック・ジョンソンよりも上だろう。
そして,そんなアリを雄々しく描く百田尚樹について,ネット上ではレイシスト,差別主義者,極右という評価がついて回るが,本書に限定すれば,そんなことはなさそうである。
ただ,モハメド・アリのトラッシュトークはどうかな・・・。わりと対戦相手を侮辱しまくっているが,かつての亀田兄弟を思わせて,現代では最高のスポーツマンなのだが,現役の頃は結構嫌われていたろうな・・・。

色々と思うところもあるが欠点として,歴代のチャンピオンの事跡を1冊にまとめたせいで1人1人が薄い。どちらかといえば,淡々と事実を書き連ねるものである。それだけでも,体中の血が熱くなるが,もの足らないのである。満足できないのである。
チャンピオンの人生は波瀾万丈でどれだけ強いチャンピオンもいつか負けてリングを去る・・・というのは無常観にあふれており,事実を書き連ねるだけで非常に興味深いものだ。時間があれば,百田先生にはジョー・ルイスやモハメド・アリの伝記小説を1本書いてくれい,と思うところはある。

一方で,事実の提示であるが,『日本国紀』で引用がなかったというのに懲りたのか,出典をいちいち表記していくのであって,著者の見解はさほど多くはない。
八百長と言われているタイトルマッチの試合をどう見る,とかそんな感じがやけに多いが,その程度である。そういう意味では,取材内容をまとめたものに近く,百田節というか著者の個性や見解が書かれているのはまとめや終章あたりになる。そのへんは少し不満かもしれない。事実もいいが,もっと著者の見解や,好みを書いて欲しかったからだ。

最後に少しがっかりした話を。
格闘家といえばストイックに強さを求める者かと思えばそうでもないようだ。戦って負けるリスクをやるのが嫌で戦わないチャンピオンのなんと多いことか。もっと,こう,血に飢えるというか,範馬勇次郎のように水より,酸素より闘争を求めるというのはやはりフィクションなのだな,と・・・。
本当,刃牙で得た知識が修正されていくような気がする・・・。


地上最強の男 世界ヘビー級チャンピオン列伝 [ 百田 尚樹 ]






最終更新日  2020.07.08 18:16:35
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