210131 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

法律と漫画のブログ

PR

全60件 (60件中 1-10件目)

1 2 3 4 5 6 >

法律

2020.05.20
XML
テーマ:法律(454)
カテゴリ:法律
一時期はネットで目にすることが多かった「NHKから国民を守る党」(以下「N国」)であるが,最近は大きな選挙もないせいか,以前ほどネット記事を目にする機会は減ったように思う。
ただ,N国は判例雑誌の常連ともいえる存在である。NHKの受信料債権の時効期間に関する事例など,さまざまな裁判例を作ってきているが,スラップ訴訟がらみも多い。以前も紹介した事案があるが(過去日記,​東京地裁H29.7.19判決​),最新の時報にもN国のスラップが載っていたので,簡単に紹介していく。


NHKにようこそ!(2)【電子書籍】[ 滝本 竜彦 ]

今回の,千葉の事案(千葉地裁松戸支部R1.9.19判例時報2437号78頁)は,こうだ。
N国に所属するニコ生主は立川市議選挙に立候補していたが,彼の動画などを見る限り,どうも立川市に居住実態がなかったらしい。それを,あるブロガーが批判するような記事を投稿したところ,ニコ生主がブロガーに対し,名誉毀損として200万円の請求をしたのだ。

ひどく特徴的なのは,N国の党首がYouTubeで「この裁判はそもそも勝って,ブロガー君からお金をもらいにいくためにやった裁判じゃなくて,いわゆるスラップ訴訟,スラップていうのは,裁判をして相手に経済的ダメージを与えるための裁判を言うんですよ」などと,訴外であるがスラップを自白するような発言している。
その他,求釈明に応じないなど訴訟追行の態度も非常に悪く,裁判所はスラップ訴訟だと認定した。
この点は,以前紹介した東京地裁の判決と同じである。なぜ,動画で墓穴を掘ってしまうのか・・・。

ただ,普通の裁判例と違うのは,ブロガー側からの反訴に対し,損害額として比較的高額の弁護士費用を認めた点だ。
内訳としては,以下の通りで,合計78万5600円。

  1. 本訴着手金  10万8000円(支払い済み)
  2. 本訴実費   4万2000円(支払い済み)
  3. 本訴報酬   34万5600円(支払い予定のもの
  4. 反訴着手金  10万8000円(支払い済み)
  5. 反訴実費    1万2000円(支払い済み)
  6. 反訴報酬    7万0000円(支払い予定のもの
  7. 慰謝料    10万0000円
基本的に,損害賠償請求する場合の弁護士費用というのは満額認められることは稀で,せいぜい1割といったところ。今回の事案だと,本訴のスラップ額が200万円で,反訴で認められた慰謝料が10万円だから,本訴分で20万円,反訴分で1万円の合計21万円程度が普通だろう。支払い済みのものだけでなく,支払い予定のものも損害としているあたりも興味深い。

ところで,以前の日記で紹介した東京地裁のケースだが,こちらも読み返してみれば,弁護費用の全額54万円が認容されていた。
ただ,事案と異なり,反訴という形ではなく,前訴が終わったあと,後訴として前訴にかかった弁護士費用を請求したというものであるが,やはり全額認容である。(なお,不当訴訟とされた前訴でN国が請求した金額は10万円と低額)

こうしてみると,今回の千葉地裁と以前の東京地裁の2件で,N国がらみの事件で2件とも弁護士費用全額が損害額として認められている。
いろいろ分析してみたいが,よくわからん。時報の,過去のスラップとして紹介されていた,某宗教団体がやった7億円のスラップ(東京地裁H13.6.29判タ1139号184頁)や,伊那太陽光スラップ事件(長野地裁伊那支部H27.10.28時報2291号84頁)はいずれも慰謝料のみ請求されている事案であった。
過失を超えて容易に故意まで認定できる事案だとか,違法性の強弱だとか,色々あるだろう。最近,SNSを見ているとスラップとしか思えない訴訟が増えているようなので,このあと裁判例の集積もあるだろう。

個人的な見解を言えば,スラップ訴訟の場合,反訴や後訴で損害賠償請求をする場合,かかった弁護士費用の全額を認めてやっていいのではないかと思う。
もともと,たとえば今回の千葉地裁の件だけど,普通に裁判所の従来の基準でやるとすれば,スラップで訴えられた時点で,弁護士費用相当額の全額の回収はできず,ある程度の損害が出てしまうわけだから。
なので,膨大な資金力をもつ者からすれば,スラップ訴訟をやり放題である。実際,N国はスラップであることを認める動画を投稿するというあたり,勝ち負けを度外視し,相手にダメージを与える手段を洗濯している。

なお,色々見ていたが,青森地裁弘前支部H20.3.27時報2002号126頁が,400万円近い弁護士費用を損害と認めている。なかなか,こんな事件はなかろうと思うのだが。

(参考→​東京地裁の過去日記​)


NHKにようこそ!(2)【電子書籍】[ 滝本 竜彦 ]






最終更新日  2020.05.21 09:33:06
コメント(0) | コメントを書く


2020.04.28
テーマ:法律(454)
カテゴリ:法律
日本に住んでいると,「不倫をしたら慰謝料を支払う」というのは当然のことのように考えているが,これは比較法的にはちょっと珍しいようである。日本の学者にもけっこう反対説を唱えている人がいるようだ。
では,外国で不倫をした場合,日本の裁判所は慰謝料を支払う義務はあるのかという点について,一つの裁判例が出たのでちょっと見ていきたい。


【送料無料】 国際私法 有斐閣アルマ / 神前禎 【全集・双書】

事案はおおよそこんな感じ(東京高裁R1.9.25判例タイムズ1470号75頁)
原告女性は,夫である被告男性の海外赴任に同行する形で,平成25年にニューヨークへ引っ越したのだ。
ところが,その年のうちに夫である被告男性は,同僚である被告女性とニューヨークで不倫を始めてしまった。このニューヨークで婚姻関係が破たんしている。
最終的に関係者は全員日本に帰ってきており,被告らは日本でも不倫を継続したのである。
この問題について,日本の裁判所で原告女性が被告らに慰謝料を請求したのがこの事案になる。

何よりも大事なのが,準拠法を,つまり裁判所が日本法かニューヨーク法のどちらで裁判をするかという問題である。
日本法でやれば原告女性は勝訴できるが,ニューヨーク法でやれば原告女性は敗訴する。ニューヨーク法では不貞があったとしても,慰謝料を請求することができないからだ。
ちなみに,原審である横浜地裁H30.10.30は準拠法をニューヨーク法にして請求を棄却した。原典が第一法規で読めなかったが,日本に帰国後の不貞は,もう婚姻関係が破たんからと原告の請求を棄却しているようだ。
無情だが,なんとも理論的にはスッキリしているとは思う。

ところが,これを覆し,慰謝料請求を認めたのが東京高裁である。
考え方の順序として,この事案は不倫,つまり不法行為だから準拠法は法例17条により,不法行為の結果発生の土地の法が準拠法になる。
日本とニューヨークの両方で不倫をしているわけであるが,結果発生の土地が複数あるとき,「最も重大な結果が発生した土地」を結果発生地とする判断をした。そのうえで,ニューヨークでの生活は3年くらいの短いものであるとか,被告らの不貞はニューヨークから日本まで切れ目無く行われていたとか,日本での不貞はこれからも継続するとか言って,準拠法を日本にした。

・・・結論は分からないでもないが,理由付けがいまいちよくわからない。不貞がはじまった土地こそが重大な土地だとするのが自然のように思う。また,ニューヨークで婚姻関係が破たんしたとまでいえるし,日本での不貞はあくまで惰性というか,もともとあったのが続いているだけだ。
確かに,被告男性は不貞後に悪意の遺棄があったとかで,やってることはけっこうひどい。
判例タイムズの解説を読んでいても,類似の裁判例がないようだから比較のしようがないが,結論ありきで準拠法を日本法にしているような気がする。

なお,この東京高裁でもカバーできない問題はけっこう残っていると思う。
たとえば,この事案で被告らがニューヨークに定住すればダメだろう。また,海外で現地女性と不貞をするというのであると,これは完全無欠に慰謝料請求ができないことになる。
とはいえ,もともと日本のように不倫をした場合に慰謝料を支払う義務が発生する,という国の法が珍しいのであって,慰謝料請求ができないという結論は国際的にはおかしいことではないかもしれない。
なので,海外でワンナイトの不倫をすれば,かなりの事案で慰謝料を請求できないという事案はありえるのだろう。
一方で,日本国内で外国人と不倫をするのはまずい,そういうことになる。

ただ,海外での不貞が民事上,不法行為になるかどうかという話と,離婚原因となるかどうかは別の問題だろう。
どこの国だろうと,不貞はさすがに離婚事由だろうから。


ケース別 離婚協議・調停 条項作成マニュアル【電子書籍】[ 宇田川濱江 ]






最終更新日  2020.04.28 15:42:32
コメント(2) | コメントを書く
2020.04.02
テーマ:法律(454)
カテゴリ:法律
弁護士費用特約によって,簡裁では少額の物損事故の案件が増加したそうな。まぁ,そうだろうなぁと思う。ちょっとタイトルが「弁護士費用特約を活用した」とキャッチーだし,薄いので読んでみた。


弁護士費用特約を活用した 物損交通事故の実務 [ 狩倉博之 ]

まず,目次をおおざっぱに眺めるとこんな感じ。
わりとそっけないので,括弧内は僕の補足である。

第1章 総論
   (LAC制度の解説など)
第2章 物損事故解決のための基礎知識
   (請求権者,車両損害,着衣やペットなどその他損害)
第3章 物損事故解決の実務
   (立証資料,示談書作成)

タイトルに,「弁護士費用特約を活用した」とあるけれど,そのあたりの解説はさほどないかなぁ・・・。弁護士費用特約保険について色々な意見があるだろうが,これを使ってしまうと,弁護士は自分の取るべき報酬の金額を自分で決めるということができなくなる。わりと使うにしても,素直に着手金・成功報酬のやり方でやるか,事務作業の繁雑さを我慢してタイムチャージにするべきか,見極めがかなり大事になるのだ。
なので,「弁護士費用特約を活用して,高額の報酬を得る裏技」みたいなのが掲載されているのかと思えば,あまりそんなことはない。そういう意味で想定していたのと違った。
ただ,物件事故をどうやって解決するか,という点について特化して書かれているので,この点では良書というべきである。

だいたい,交通事故系の実務本を買うと,物件事故についての解説の分量は少ないように思う。メインは人身事故になってしまうだろうから,それはそれで仕方がないのだろうけど。
色々面白かった点はあるけれど,2つくらいに絞って感想を書こう。

1つは,第2章の基礎知識編の「請求権者」のコーナーである。
車というのはローンで購入することが多く,所有権留保の状態であることが多い。そんな所有権留保の状態で事故にあった場合,損害賠償請求をすることができるのは誰になるのか,という話である。
本書によると,東京地裁交通部の運用だと,全損の場合は所有権留保者(売主)だが,例外もあるとか,分損なら買主でいい,など解説されている。
普通の感覚だと,「車を運転していた人が請求権者なんじゃないの?」と考えてしまいがちなんだけど,親名義の車に乗っている状態で事故に遭うだとかあって,僕なんかもけっこう困った経験がある。
もっと早い内に読んでおくべきだったね,と思う。

2つに,車両損害以外の記述が手厚い,ということである。
全塗装か部分塗装か,とか評価損なんてたいていの本にも書かれている。だが,本書はそれにとどまらず,車両が建物に突っ込んだ場合の建物損害,店舗が休業に追い込まれた際の休業損害,トラックの積荷損害などについて裁判例なんかを丁寧に紹介してくれているのが嬉しい。
ペット損害なんか低額になるのが相場なのだけれど,競馬の競走馬が死亡した場合に逸失利益で780万円が認められている事案なんか興味深い。

話が全然変わるんだけど,学生の頃読んでいた漫画で,1億だったか2億だったかの価値のある「競争馬の精子」を巡って殺し合いが起きるというのがあった気がする。
人命よりも,馬の精子の方が価値があるという悲しい現実を思い知ったのだけど,あれば何だったか,いまいち思い出せない・・・。


弁護士費用特約を活用した 物損交通事故の実務 [ 狩倉博之 ]






最終更新日  2020.04.02 12:34:21
コメント(0) | コメントを書く
2020.03.12
テーマ:法律(454)
カテゴリ:法律
「当職は、保全・執行事件が大好きです」という、ヘルシングに登場する少佐みたいなはしがきから始まるのがこの、『失敗事例でわかる! 民事保全・執行のゴールデンルール30』である。
こんな、保全・執行が好きなんて、これはよほど変わった方ではないかな、と思う。僕なんて保全・執行は大嫌いだもん。多分、たいていの弁護士は嫌いだよ…。



失敗事例でわかる! 民事保全・執行のゴールデンルール30 [ 野村創 ]

そもそもなんで保全・執行が嫌いな弁護士が多いのだろう?
僕の場合は端的に経験不足というのがあるかもしれない。保全・執行なんて年に1件あるかないかだもの。たぶん、経験不足は僕以外の弁護士のほとんどがそうだと思う。
保全は必要があればやるしかないけど、執行は努力で避けることができる。例えば、執行の前提には債務名義、つまり判決を取らなきゃならないのだけど、たいていの事件では和解で終わらせてしまうからなぁ…。
なので、いつまでたっても保全・執行には苦手意識がある。

本書の特徴はサブタイトルに「失敗事例でわかる!」とあるとおり、失敗事例をつけてくれるところ。
例によって目次を書き出すとこんな感じになる。

第1章 保全事件の申立てにまつわる失敗
第2章 不動産の仮差押え、競売事件にまつわる失敗
第3章 債権等の仮差押え、執行事件にまつわる失敗
第4章 仮処分、明渡執行事件にまつわる失敗

怒涛の失敗ラッシュで、1人の弁護士として読んでて辛くなる…。
冒頭失敗事例の1で、全面勝訴したものの被告の破産で判決が紙屑になった事案、クライアントからのクレームに対し弁護士が心の中で、「取れるとか言ってない。勝てると言っただけだ」とつぶやくシーン(12ページ)なんかは笑いとともに、激しい共感をさせられる…。
また、失敗事例22の添付命令が飛んでしまうという事案は、背筋がヒヤリとする。

僕の個人的な経験だと、不動産の保全・執行はほぼ経験がないので、この部分は非常に興味深く読めた。
座右に置いておいて、保全・執行事件が来たときに該当部分を軽く読み返す感じにしようかな、と思う。もちろん、保全・執行が嫌いな弁護士としては、なるべくお世話になりたくはないのだけれど…。

一方で、著者も「架空の事例だから…」とはしがきで断っているが、「これを失敗例といのは酷だよ」というものや、「こんな失敗例、あるか?」というのもある。
例えば、失敗例19の、債権差押えの割付の失敗例、「単純割付はするな」という形になってるけれど、これを失敗というのは言い過ぎではないか…。決して、僕がこの失敗をしたから私情でケチをつけるわけではない…。そうだとも、僕もこれで悲しい失敗をしたけれど、諦めずに2度目の執行で全額回収したという経験がある。
同様に後半の仮処分の失敗は、ほぼ仮処分を怠って漫然と訴訟やったケースが多くて、それはダメだろ、という気持ちになる。そうは言っても、失敗例で学ぶ体裁になってるから仕方はないんだけれど。

ところで、事例が30も掲載されているのだけれど、意外にも養育費の差押え事案は1つも載っていない。
養育費の差押えは第三者からの情報提供というシステムができて、民事執行法の改正で大きく変わるところだ。
これから僕は養育費の回収には力を入れたいと思ってるんで、執行の勉強は続けていきたいかなぁ。



失敗事例でわかる! 民事保全・執行のゴールデンルール30 [ 野村創 ]






最終更新日  2020.03.12 23:39:14
コメント(0) | コメントを書く
2020.03.06
テーマ:法律(454)
カテゴリ:法律
鉄道のロクに発達していない田舎で弁護士をやっていると,たまにみるのが配達業者だったりトラック運転手が交通事故を起こした際,会社が賠償金を払ってくれないという悲しい事案がある。
会社的には保険料が上がるのを嫌がって保険を使うのも嫌だし,力関係として従業員より圧倒的に上だから,事故の相手への賠償金は従業員に持たせるのだ。


交通事故事件処理マニュアル補訂版 [ 永塚良知 ]

かねてから,こういうことが許されるのかな,と思っていたが,これについて2月25日発売の判例タイムズ3月号で論文が載っていた。これはすごいなぁ,と思っていた矢先,2月28日に最高裁判決が出た。
タイミングがすごいなぁ,と思うがこの点について感想など書いていく。

まず,最高裁令和2年2月28日判決はだいたいこんな事案だ(​最高裁リンク​)。
原告の従業員はトラック運転手だったが,業務中に交通事故を起こしてしまった。けっこう重たい人身事故で,賠償額は2500万円を超える。これを従業員が支払ったので,従業員は会社側にこの2500万円を払ってくれと請求したのがこの事案である。
なお,被告の会社側はけっこう特殊で,資本金300億円以上をいうマンモス会社であって,「自家保険政策」というシステムを使っていた。これは損害保険に加入せず,その都度自己資金で支払うというシステムだ。
個人的には衝撃を受けたシステムなのだけど,保険というのはそもそも「大数の法則」という統計みたいなシステムを使っているわけで,超巨大企業になると保険に入らなくても巨額の賠償金も支払うことができるというわけだな。
たぶん,支払う保険料よりも自己資金で積立てておく方が安くすむのだろう。だいたい,保険料には賠償に回る分プラス保険会社の維持費もあるわけで,全部自己資金でできるんならその維持費の分がいらないからな。

僕は常々,この手の事案について,従業員の請求は当然に認められるべきじゃないのか,と考えていた。
だって,会社側には使用者責任があって,会社は事故の被害者には賠償義務はあるのだ。先に従業員が支払ったからといって,この義務が消えるのはおかしい。
普通に考えると,誰だってミスはするのだから,経営者自身が荷物を運んだところで,1万回に1回くらいは事故も起こすと仮定しよう。ここで,100人雇えば運べる荷物は100倍になるけど,どうしたって事故の確率も100倍になるから,100回に1回は事故が起きてしまうだろう。
ここで,会社は100倍の仕事ができるという利益だけをえて,人が増える場合のミスを全く負わないというのはあまりにもおかしい。

ところが,これには反対説もあった。
民法715条1項を見ると,被用者が他人に損害を与えた場合,使用者も損害賠償責任を負うという規定がある。これについて,3項をみると,使用者から被用者への求償はできる,と定められているのだが,逆に被用者から使用者への求償に関する規定はない。なので,こういった逆求償はできないんじゃないか,という見解もあったのだ。実際,原審は逆求償はできないという結論を導いている。
ここで出てきたのが最高裁である。今度は逆に「損害の公平な分担」というマジックワードを使いつつ,逆求償を可能としたのだ。
なお,いくら求償できるかという点については判断をせず,差し戻した。

個人的に,面白かったのは本文よりもむしろ裁判官の補足意見である。
菅野博之,草野耕一裁判官はこの事案について,「運送会社とドライバーの関係である場合,ドライバー側の負担は僅少になる場合が多く,零とすべき事案もあり得る」と言っている。
こうしないと,ドライバー側は会社が守ってくれないから,恐ろしく不利なのである。
同じく,三浦守裁判官も,「日常的に運転しなければならないドライバーが事故を完全に回避するのは困難なのに,自ら保険にも入れないまま巨額の賠償義務を負担しなければならないのは不合理だ」としている。
この補足意見もある程度高裁を拘束するだろうから,従業員の負担割合は小さくなりそうだ。

ところでこの最高裁判例が出たのが2月28日だったが,このわずか3日前,25日発売の判例タイムズ3月号に会社と従業員の間の求償・逆求償の論文が掲載されていた。
この論文,100以上の裁判例を丁寧に一覧表にして深い分析をしていたのだけど,この最高裁判決を掲載していないということでわずか3日ほどで価値は暴落したと言える。いや,これほど深い研究をしたのだから,論者はこの分野の最先端の知見をもっていることは間違いないのだ。この流れで最高裁判決の解説もしてもらいたいものだ。


こんなところでつまずかない! 交通事故事件21のメソッド [ 東京弁護士会 親和全期会 ]






最終更新日  2020.03.06 18:53:43
コメント(0) | コメントを書く
2020.02.26
テーマ:法律(454)
カテゴリ:法律
弁護士を含めた法曹関係者は,文書作成のことを「起案」という。そこにはなんとなくのカッコ良さがただよう・・・ような気がする。
僕が「起案」という言葉を初めて使ったのは司法試験に合格し,司法修習が始まった頃だ。「起案」という言葉を口にするだけで,法律家になったような気分になったものだ。
ところが,この「起案」はたちまち嫌な言葉ランキング上位にランクインする。つらいからだ。きついからだ。苦しいからだ。
そんなこんなで『起案添削教室』を読んだので感想を書いていこう。


弁護士はこう表現する 裁判官はここを見る 起案添削教室 [ 柴崎哲夫 ]

内容的には牧田弁護士が,弁護士の感性から本文を執筆し,各章の終わりに柴崎裁判官がコラム的な解説を挟むという形式。いくら弁護士の目から見て良い起案でも,裁判官の目から見てどうかな,という多角的な視点から起案というものを学ぶことができる。
そんな本書の目次は以下の通り。

第1編 基礎知識編
 1章 なぜ文章作成術が必要なのか
 2章 文章作成の約束事
 3章 メールの文章術
第2編 実践編
 1章 裁判外の書面(内容証明や関係者宛て手紙の起案)
 2章 裁判上の書面(訴状,答弁書,仮処分申立書の起案)

どうだろう。極めて実践的であることが分かる。
第1編,2編を通して素晴らしいのは,まずはいったんダメな例を示した上,良い例を示してくれるところ。
社会に出るとよく「正解はない」という問題にぶち当たるのだが,起案もまさにそうだろう思う。人によって好みもあるだろ。ただ,不正解というのは往々にしてあるものだ。
また,司法試験の勉強中につくづく思ったけれど,成績優秀者の論文というのはあまり役に立たないのだ。特に何の感想も出てこない。
ところが,ダメな論文のダメな点を,どうしてダメなのか,そしてどうしたら良くなるかをやるというのは,ずいぶん勉強になった記憶がある。
結局,正解がない問題にも不正解というものは確実に存在するわけだから,不正解の事案を知っておくことこそが上達するための方法になるのかもしれない。

そんな本書の見どころといえば,弁護士と裁判官の目線からの説明があるところ。
この柴崎裁判官は決してイエスマンではないので,たまに牧田弁護士の書いている本文に否定的な見解を示したりもする。
たとえば,牧田弁護士は「1文を短くするように」と言うが,柴崎裁判官は公文書に限定してだが,「文章を短めにすればわかりやすさの点は相当クリアできると思われるが,格調の高さを維持しにくくなってしまう傾向があることもまた,否定できないのではないか」とちょっとした反対意見を唱える。
こういったところ,起案における画一的な正解のなさ,立場の違いが見えていて面白い。

具体的な文章術について色々な点で活用できるものが多いのだが,2つほど見ていく。
1つは,「接続助詞の’が’」は使わないというところ。接続助詞の「が」は否定の「しかし」の代用しても使われるが,そうではなく「一度謝罪に伺いたいのです,ご都合はいかがでしょうか」のように「留保・抑制」を表す場面でも使う。曖昧で,使い勝手がよいために多用すると,論理の流れが曖昧になるから,いっそ使うな,というのだ。なかなか,面白い指摘だと思う。
2つは,余計なことを書くな,という点。
結局,何が大事か把握し,何を書いて何を書かないかの判断が大事だよ,という話である。

なお,本書は学習のためにもいいが,牧田弁護士の文章は堅苦しくないし,ときおり読者の興味を引く話題を入れてみたりと,読み物としても面白い。
特に架空の事案についてはけっこう凝っていて,交通事故の当事者が「松田日乃」と「豊田昴」だったり,離婚事件の当事者が「白馬応治」と「白馬雪子」だったりする。
牧田弁護士の遊び心が見えてきて,ときおり笑いながら読んでしまった。


弁護士はこう表現する 裁判官はここを見る 起案添削教室 [ 柴崎哲夫 ]






最終更新日  2020.02.26 15:53:29
コメント(0) | コメントを書く
2020.02.19
テーマ:法律(454)
カテゴリ:法律
僕が弁護士になったころは超高難度だったネットトラブル、発信者情報開示の法的手続だけど昨今はわりと普通の弁護士が普通にやる程度の事件になってきたように思う。
そんなおり、新刊で『インターネット権利侵害〜削除請求・発信者情報開示請求後の法的対応Q&A』が出た。ざっと読んでみたので感想を書いていく。



インターネット権利侵害 削除請求・発信者情報開示請求“後”の法的対応Q&A [ 深澤 諭史 ]


まず、本書だけどメインとなるのはタイトルの後段にある「発信者情報開示請求後の法的対応」にある。
つまり、ネット上の名誉毀損なんかをしている者を突き止めた後、どういう対応をするべきか、という内容になっている。つまり、慰謝料などの金銭請求のやり方、相場などの解説ということになる。
そうすると、ターゲット層としては発信者情報開示をする能力があるということが、本書を読む上で最低限必要なスキルということになる。
かと思えば、「法的措置を取ります」と内容証明を送ってから提訴するまでの間隔はどうするべきか、初手でいくらくらいの請求をすべきか、と交渉術の範疇に含まれるような解説もあったりする。まあ、交渉をやる上では裁判例の傾向は知っておく必要があるので、これは丁寧に説明してもいいとは思うけど。この手の交渉術は本で読むというより、事件処理の経験うちに自然に覚えるのだろうが、活字になっていると思うところもある。

著者が重要なポイントとして繰り返し解説する、慰謝料の相場や発信者情報開示にかかった弁護士費用が請求できるかという点については、裁判例をいくつか紹介するということになっている。
個人的には裁判例をざっと一覧表にしてまとめて欲しいとは思うところ。ただ、著者も「交通事故みたく大量の事例が集まるわけでもなく、赤い本みたいな相場を作るのは難しい」というようなことを述べているので難しいとは思うのだけど。

なお、この手の研究は進んでないのでネット検索したときに上の方に出てくるのを「脅威度」と、発信者情報開示後の対応がまずくて対応をした弁護士とともに炎上することを「共同炎上」と造語を作ってみたりしている。
そのうち業界的に定着するかもしれないし、そうでないかもしれない。特に共同炎上は……特殊すぎて僕も例を1つしか知らない。

まとめに入るが、本書は最低限、発信者情報開示請求の手続きができる中級者以上向けということになるから、全くこの手の事案をしたことのない弁護士はあまり対象にしてないのだろう。そこは理解した上で読むべきだろう。
僕はたまに発信者情報開示から慰謝料請求をするのだが、年に数件くらいしかやらないので経験を積むことが難しく、またほとんどを訴訟外で終わらせてしまうから最新の裁判所の傾向を知れたことは役に立ったかなと。
一方で全くネット上の名誉毀損について扱ったことがないという方は、この本じゃなくて別の書籍を、オススメする。
200頁くらいと薄いので、とりあえず読んでみてもいいかも。



インターネット権利侵害 削除請求・発信者情報開示請求“後”の法的対応Q&A [ 深澤 諭史 ]






最終更新日  2020.02.20 21:04:23
コメント(0) | コメントを書く
2020.02.08
カテゴリ:法律
法律の専門書を読むのも大変なので,たまにはライトに新書でも読んでみようかと手に取ったのが『裁判官失格』である。色々と思うことがあるので,つらつらと感想など書いていきたい。


裁判官失格 法と正義の間(はざま)で揺れ動く葛藤 (SB新書) [ 高橋 隆一 ]

そもそも論だけど,この『裁判官失格』という本のタイトル。これはもしやすると,2012年に出た『検事失格』を意識しているのもしれない。
この『検事失格』の方は不当な取り調べをしてしまった元検事の自伝という形になっており,かなりのベストセラーになったんじゃないかな。僕も読んだし,当時の弁護士会でちょっと話題になったから。


ただ,本書はどうしても『検事失格』より多少はクオリティが下がるんじゃないかな・・・。
ちょっと『検事失格』と比較しながら見ていこうか。


まず,本書の目次を見てるとこうなっている。

  • 第1章 法廷はドラマに溢れている
  • 第2章 裁判官だって,最後まで迷っている
  • 第3章 1人でも受け入れてくれるなら説諭をする,たとえ裏切られても
  • 第4章 裁判官の胸の内
  • 第5章 裁判官こぼれ話


一方で,『検事失格』はこうだ。


検事失格【電子書籍】[ 市川 寛 ]

  • 第1章 検事への志
  • 第2章 「検事」への改造
  • 第3章 挫折
  • 第4章 束の間の復活
  • 第5章 大罪
  • 第6章 「暴言検事」の死
  • 第7章 償い


どうだろうか。
目次を眺めているだけで,1人の若者が検事になるという夢を持ち(第1章),検事になったものの激務のために挫折し(第2~3章),健康を取り戻すも(第4章),取調中に自白を強要する暴言をして問題になり退職する(第5~6章),といった流れがイメージできるだろう。そして,著者は7章で償いも果たし,法曹として立ち直るのだ。そのため,大きな1つのスジに沿って構成が立てられており,章の並びそれ自体に意味がある。
これと比較すると,『裁判官失格』の方は単なる雑談をまとめたものになっており,別段に章の並びに意味はない。1章の次に3章を読んでもいいし,逆から読んでいってもいい。
そもそも,『裁判官失格』の著者は普通に裁判官を勤め上げた後,公証人に再就職し,現在は弁護士もしているそうなので,普通に裁判官をしていたようだ。
最終経歴が家庭裁判所の少年部部長裁判官で,所長までいってはいないようだけど。

さて,内容に入っていこう。ただ,基本的に雑談を集めたもので特に大きなテーマみたいなものはない。民事も刑事も少年事件も,ごった煮のように集められている。
色々あるけれど,たとえば「死刑にすべき事案だったけど,検察官が無期求刑だから無期懲役にした」(16頁以下)だとか,「自分が詐欺で実刑判決を下したXという男の一言がきっかけで,麻原彰晃がオウム真理教を作ったに違いない」(58頁)など,書いている。
特にどうかな,と思ったのが「私自身はたとえ責任能力がなく罪に問うことはできなくても,精神病院に入院させて一生出さないなどの措置が必要なのではないかと思っています」(60頁),だとか遺産分割なんかについては「そもそも裁判所に来る時点で醜い」(136頁)とか見出しをいれている。
そう感じるのは自由だし,たとえば酒の席なんかでそう口にしてもいいとは思う。ただ,書籍として出版しなくても良いではないか。国民の裁判官に対する信頼を損ねるのではないか,と思うところはある。

楽天ブックス​​
裁判官失格 法と正義の間(はざま)で揺れ動く葛藤 (SB新書) [ 高橋 隆一 ]






最終更新日  2020.02.08 12:38:18
コメント(0) | コメントを書く
2020.01.30
テーマ:法律(454)
カテゴリ:法律
セクハラの成立には故意過失が必要なのだろう。なんとなくそう思っていたけれど,そうでもないという裁判例に遭遇した。
アカデミックハラスメント,略してアカハラも絡んでいて色々と,参考になりそうなので見ていきたい。

紹介するのは,東京高裁令和元年6月26日判例タイムズ1467号54頁。
問題になったのは,とある大学である。
原告の大学教授は,ある学会終了後,学生たちとの慰労会に出席したのだ。慰労会が終わった後,女子院生に声をかけ,「家まで送っていく」とか言って,女子院生の家の最寄り駅まで行ったのだ。で,駅近くのファミレスで飲食後,「もう終電ないから帰れない。家に入れて欲しい」など言って女子院生の家に入れて貰い,一晩泊まったのだ。
女子院生が拒否したため一線は越えなかったが,それでも「落葉の宮も3回夕霧を拒んだのですよ」と迫ったり,ブラウスのボタンをはずしたり,胸を触ったりしてる。なお,原告の教授はベットで眠り,女子院生はキッチンで一睡もせず一晩を過ごしたのだ。
このあとも,色々教授からメールを送ったのが,セクハラだったりアカハラだとして,大学は懲戒処分として教授を降格させたのだが,教授側がこれを不服として地位確認と未払い賃金を求めたのがこの事件。

これで,高裁が面白いのが,
「セクシャル・ハラスメントに該当するかどうかという点の判断においては,行為者の主観的要件(故意・過失)は考慮に入れるべきではない」
​と判断しているところ。
そうしたうえで,故意・過失の有無なんかは,懲戒処分をするかどうかの裁量に影響を与えるだけであるとし,降格は相当だとして原告教授を敗訴させた。

一瞬,「え,そうだっけ?」と思ったが,よく考えてみたら,これは不法行為の次元ではなく,労働法の次元で,懲戒処分ができるかどうか,という問題なのである。
タイムズの解説でも説明されていたけれど,セクハラというやつ,している側には故意・過失がない,つまり悪気がないというのがままある。
性犯罪の弁護をたまにやるのだが,被疑者・被告人には「同意があった。被害者も俺に好意があったはずだ。」という人がそれなりにいる。彼らの頭の中では,「拒否されなかったから,同意があった」と変換されているっぽい。

このあたりは非常に難しい問題で,性的な行為をする際,女性が本当に嫌がっていないのか,僕だって正確に事実認定できている自信はない。とりあえず拒否されてないから,嫌じゃないのだろう,くらいにはどうしてもなってしまう。
なので,労働法上の懲戒事由としてのセクハラの成否を考えるためには,行為者に故意・過失があろうがなかろうが,使用者としては注意し,指導する義務があるわけだな。
言われてみれば当たり前なのだろうが,どうしても故意・過失が要件のように考えていた。

ところで,興味深かったのが教授が「落葉の宮も夕霧を3回拒んだのですよ」と言って女子院生に迫ったというところ。
僕なんかは「雅だなぁ」とのんきに考えてしまったが,女子院生は「自分の研究対象である中古文学の分野,ひいては自分の学問をけがされた」と証言している。
この一事を見ても,僕には正確に女心が把握できていない,ということであり日頃の言動がセクハラにならんか,注意すべきなのだろうと思う。


源氏物語 あさきゆめみし(1)【電子書籍】[ 大和和紀 ]






最終更新日  2020.01.30 11:54:17
コメント(2) | コメントを書く
2019.12.19
テーマ:法律(454)
カテゴリ:法律
Twitterやってると、保守速報が、「大阪維新に潰されるかも」等と緊急声明を出したとのニュースが入ってきた。
色々とまとめサイトなどにも記事があるけど、単に2ちゃんの書き込みをまとめてるだけで、あんま本筋に踏み込んだ記事がなかった。せっかく法律家なんぞやってるので、俺が軽く解説してみようと思う。
なお、俺は保守速報についてはろくに知らないので、その点で間違いあるかもしれない。コメ欄で指摘してくれたら、訂正します。


まずは、問題になってるのはこの保守速報の2019年12月17日の記事。画像という形で引用しよう。


【維新にブログが潰されるかもしれません】という見出しで書かれているが、どうやら大阪市ヘイト条例とやらの規定により、通知が保守速報に届いたとのことである。
これを受けて、保守速報は「ブログが潰されるかもしれません」としつつ、支援を求めている。具体的に、今はどういう状況で、大阪市は保守速報をどうしたいのか。
まとめサイトを見てても、その辺がよくわからない。

ヒントになるのが通知書のに「条例第5条第3項本文の規定により」とあるところ。
さっそく、大阪市ヘイト条例とやらを検索してみよう。昨今のネット文化により、条例やら法律なんぞは簡単に検索できるようになってる。およそ条例には著作権なんぞなしい、皆んなに知らしめなきゃならんからね。

内容なのだけど、大阪市ヘイト条例、正式には「大阪市ヘイトスピーチの対処に関する条例」というそうだが、構造自体は非常に単純である。たったの12条しかないから、そこらの法律家なら10分もあれば大まかな内容を掴むことができる。

そこで、5条を見るとこうだ。まずは1項本文。
「市長は次に掲げる表現活動がヘイトスピーチに該当すると認めるときは、事案の内容に即して当該表現活動に係る内容の拡散を防止するために必要な措置をとるとともに、当該表現活動がヘイトスピーチに該当する旨、表現内容の概要及びその拡散を防止するためにとった措置並びに当該表現活動を行った者の氏名又は名称を公表するものとする」

長々と引用したが、第一にヘイトスピーチの拡散を防止する措置を取ることができるし、第二にヘイトスピーチを行った者の名前を公表できる、ということになる。
拡散防止というといまいちよくわからんが、大阪市の方で「これはヘイトスピーチやで、デマやで」と発表することもあるのかもしれない。
が、たぶん問題になるのはヘイトスピーチを行った者の名前の公表というやつだろう。

この氏名の公表というの、行政法的には比較的新しいやり方で問題もあるとされるが効果は大きいだろうと言われてる。
今回のケースであれば、たとえば大阪市が、「保守速報はヘイトスピーチしてるサイトやで」と公表する、つまり悪質サイトだとお墨付きを与えることになるだろう。いや、それを超えてたとえば、「◯田×太郎は保守速報というヘイトサイトを運営してるやで」と個人の氏名まで公表するのかもしれない。

この氏名公表なんかは、された方は大ダメージだということで、条例5条3項で「公表の前に反論の機会を与えるよ」とされているのだ。
つまり、保守速報は現時点で大阪市から「ヘイトスピーチをやってるサイトだ」というふうに考えられていて、また大阪市は氏名なり名称公表の必要まであり、と考えているようだ。

さて、これから保守速報はどうしたものかな…。
もし、単に「保守速報はヘイトサイトやで」と大阪市が公表してヘイトのお墨付きを与えるくらいならそんなものかもしれない。絶対に避けたいのは、運営してる者の氏名の公表だろう。
ネットは匿名だと思ってる人も多いが実際はそうではなく、弁護士に依頼するなりして正規の手続きを取れば容易に発信者情報開示がなされたりする。特に保守速報は過去に裁判沙汰になって賠償金支払いまで命じられてるから、発信者の特定は容易だろう。
大阪市の方としても、メールじゃなくて紙の通知書を送りつけているのだから、当然に保守速報管理者の住所氏名は特定しているのだろう。
もし、保守速報の管理者の氏名が特定されたとき、それでもヘイト表現活動はできるものだろうか。やっぱりやめちゃうのか。
なお、氏名公表といっても、思い切り顔を晒してヘイト表現をしてる活動家も珍しくはない。その辺に対象できん以上、不十分なところはあるのだろうけどね。



行政法概説2〔第6版〕 [ 宇賀 克也 ]






最終更新日  2019.12.19 22:39:02
コメント(0) | コメントを書く

全60件 (60件中 1-10件目)

1 2 3 4 5 6 >


Copyright (c) 1997-2020 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.