ヤフオクで売買契約が成立する時期はいつ?~ドラフト会議に思うこと
気がつけば法律のブログなのにかなり長い間サボっていた。たまに時報は読んでいたんだけどね。とりあえず復帰第1号なので,簡単な裁判例紹介から。[新品] 保証未開始 Apple Watch Series 3 GPSモデル 38mm MTF02J/A [ブラックスポーツバンド] アップルウォッチ 4549995043402今回紹介する裁判例は,ヤフオクで売買契約の成立する時期が争われた事案である(横浜地裁R4.6.17判例時報2540号43頁)。概要は,おおよそ以下の通り。被告の売手は,ヤフオクに高級時計を出品した。事情はよく分からんが,売手は最高値を入れた者と,2番目の高値を入れた者の落札を取り消した結果,原告となる買手が高級時計を9万2000円で落札した。買手によれば,この時計は転売すれば20万くらいの価値があり,買手ははこれを転売するつもりだったらしい。ところが,被告・売手は「この価格では売れません。常識的な価格があると思います。終了時間を間違えました。当方のミスです(ママ)」と連絡してきたのだ。さらに被告・売手は原告・買手に「非常に悪い落札者です」など評価をつけた。これに怒った原告・買手が,①高級時計の転売利益相当額と,②非常に悪い出品者などとされたことへの慰謝料を請求したという事案である。最大のポイントは,売買契約の成立時期である。もし,買手の落札とともに売買契約が成立していたのならば,売手は買手に時計を引き渡す義務があり,これができないのならば損害賠償をしなければならない。この裁判,簡裁から控訴されて地裁にあがったケースなのだが,面白いことに簡裁では売買契約の成立時期について,地裁と簡裁は異なる判断をしていた。簡裁は,要するに落札されたあと,ヤフオクでは買手と売手の間で送料だとか,引き渡しの方法が協議される場合があるという点を重視し,最高落札者は交渉権を得るだけだ,という判断したのである。言うならば,プロ野球のドラフト会議の方式だろうか。一応,こういう考え方もないではないだろう。一方で,横浜地裁はそうしなかった。まず,そもそも論なのだが,規約を見る限り,ヤフーオークションでは売買契約成立の時期について定められていない,というのである。そうすると個別具体的な判断になるのだけれど,本件ではもともと送料は全国一律520円,発送時期は支払から1~2日後,決済方法が事前に決められていたことから,本件では落札後に交渉の余地がなかったとして,遅くとも,原告・買手が繰上で落札者になり,買手がこれを受け入れた時点で売買契約が成立する,と判断した。割と面白いと言えば面白い事案である。個人的には,「こんなもん,申込みと承諾の合致する時期,今回なら落札時点だろう」と考えていたけれど,プロ野球のドラフト会議の方式のように,最高落札者が単に交渉権を得るだけ,という考え方だってあり得るわけだ。実際,あるネットオークションなんかでは落札した後,値下げ交渉を始める者までいるというもあると聞いたこともある。そういう意味で,民法の原理原則に立ち返って考える面白い事例だと思う。学部生に議論させるには最適だろう。さらにこの事件,代理人の名前がないから本人訴訟っぽい。訴額は20万円以下だもん,仕方ないね。それでいて,錯誤の抗弁,重過失の再抗弁など主張整理がしっかりされている。もちろん,これは裁判所が頑張った可能性もあるんだけどね。なお,「非常に悪い落札者です」は簡裁でも地裁でも不法行為と認定されているので割愛した。悪い出品者だとか落札者になると,オークションもやりにくくなるから,名誉毀損的にもそんなもんだよね。距離計 ガーミン epix Sapphire エピックス サファイア (0100258215) AMOLEDディスプレイ採用 ゴルフ 距離測定器 時計 GPS ナビ GARMIN