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たかたに社会保険労務士事務所

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平成16年1月施行改正労働基準法の概要

先般、労働基準法の一部を改正する法律が国会を通過し成立いたしました。
 この度の改正の代表的なものとして【1】雇用期間の延長(原則3年へ延長)【2】解雇基準の法制化 があります。後者の「解雇基準の法制化」は、結局のところ、最高裁判例で判事された解雇基準を準用する形となると思われます。つまり整理解雇で言えば(1)整理解雇の必要性(2)整理解雇回避の努力義務(3)労働者への説得・協議義務(4)整理解雇基準の客観的合理性を問われ、また単なる解雇であれば、客観的に合理的であり、かつ社会通念上相当であると認められる場合に限られます。また、これらの基準を満たさない解雇については、労働基準監督署は助言又は指導(従来は30日前に解雇予告していれば、監督署はそれ以上の行政勧告はできませんでした)することができるようになったことにも注意を要します。

改正労働基準法のあらまし

平成15年7月4日に、
1.労働者ひとりひとりが主体的に多様な働き方を選択できる可能性の拡大

2.働き方に応じた適正な労働条件が確保され、紛争解決にも資すること
 を目的として、労働契約や労働時間など働き方に係るるーるを整備する  「労働基準法の一部を改正する法律」(平成15年法律第104号)が交付され ました。
 
本通知書は、当該ロどう基準法についての概要を説明したものであり、さらに詳しい改正内容については、関係する命令等が定められた後に改めてお知らせする予定です。

一.有期労働契約に関する改正

1.契約期間の上限の延長
(1)有期労働契約(期間の定めのある労働契約)について、一定の事業の完了に必要な期間を定めるものの他は、原則として契約期間の上限を3年(現在は1年)とすることになりました。(→※1)

(2)ただし、次の場合には、契約期間の上限を5年とすることになりました。
【1】 専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」といいます)であって、高度のものとして厚生ロどう大臣が定める基準(→※2)に該当するものを有する者が、そのような専門的知識等を必要とする業務に就く場合

【2】 満60歳以上の者が労働契約を締結する場合。

※1 有期労働契約についての暫定措置
   有期労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限ります)を締結した労働者(上記(2)【1】又は【2】を除く)は、労働契約の期間の初日から1年を経過した日以降においては、使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができることになりました。
 (この措置は、政府が、この法律の施行後3年を経過した後に、その施行の状況を勘案しつつ検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるまでの間の暫定措置です。)

※2 厚生労働大臣が定める基準は、今後、改正法の施行までに、告示で定めます。

2.有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する基準
 
 厚生労働大臣は、有期労働契約の締結時や期間の満了時におけるトラブルを防止するため、使用者が講ずるべき措置について、「有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する基準」(→※)を定めることになりました。
 また、労働基準監督署長は、この基準に関して、使用者に対して必要な助言や指導を行うことができることになりました。

※「有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する基準」は、雇止めに係る事前通知に関することなど、今後、改正法の施行までに告示で定めることになりました。


二.解雇に関する改正

1.解雇
 近年、解雇をめぐるトラブルが増大しており、その防止・解決には、解雇に関する基本的なルールを明確にすることが必要となっています。そこで、最高裁の判決で確立している者の、これまで労使当事者間に十分に周知されていなかった「解雇権濫用の法理」(→※)が法律、つまり労働基準法に明記されました。
 すなわち、第18条の2として、
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」
との規定が新設されました。

※「解雇権濫用の法理」とは、昭和50年の最高裁判決において示されたものです。この判決では、「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になる」と判事されています。

2.解雇理由の明示
 解雇をめぐるトラブルを未然に防止し、その迅速な解決を図るために、これまでの退職時証明に加えて、労働者は、解雇の予告をされた日から退職の暇での間においても、解雇の理由についての証明書を請求できることになりました。
 ただし、使用者は、解雇の予告がされた日以後に労働者がその解雇以外の事由によって退職した場合は、この証明書を交付する義務はありません。

3.就業規則への「解雇の事由」の記載
 労使当事者間において、解雇についての事前の予測可能性を高めるため、就業規則に、「退職に関する事項」として「解雇の事由」を記載することが必要となりました。
 注意:既に作成している就業規則に、「退職に関する事項として「解雇の事由」を記載していない場合には、「解雇の事由」を記載した上で、改めて労働基準監督署へ届け出なければなりません。

3.裁量労働制に関する改正
○ 裁量労働制とは
 労働者を対象とする業務に就かせ、労働者に時間配分や仕事の仕方を委ねる場合、労使で予め定めた時間働いたものと看做す制度(みなし労働時間制)です。
 裁量労働には、次の2種類があります。
1.専門業務型裁量労働時間制・・・デザイナー、システムエンジニア等、専門的な業務に就く者が対象。
2.企画業務型裁量労働時間制・・・事業運営の企画、立案、調査及び分析の業務を行うホワイトカラー労働者が対象。

4.専門業務型裁量労働制
 専門業務型裁量労働時間制を導入しようとする場合には、労使協定で定めることころにより使用者が次の措置を講ずることを、労使協定で定めなければならないことになりました。
【1】対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた労働者の健康・福祉を確保するための措置
【2】苦情の処理に関する措置
注意:既に専門業務型裁量労働時間制を導入している事業場においては、改めて労働基準監督署に届け出なければなりません。

5.企画業務型裁量労働制
 企画業務型裁量労働制については、導入・運用の要件・手続きが以下のように改正されました。
【1】企画業務型裁量労働制の対象事業場について、本社等に限定しないように改正されました。(→※)
【2】労使委員会の決議について、委員の5分の4以上の多数によるものとすることになりました。
【3】労使委員会の労働者代表委員について、あらためて事業場の労働者の信任を得ることとする要件を廃止することとなりました。
【4】労使委員会の設置届を廃止することになりました。
【5】使用者の行政官庁への定期報告事項は、対象労働者の労働時間の状況に応じた健康・福祉確保措置の実施状況に限ることになりました。
※ 対象事業場を本社等に限定しないことになったことに伴い、今後、改正法の施行までに、告示で対象業務等の明確化を図る予定です。


三.施行期日
 この法律は、公布の日(平成15年7月4日)から起算して6ヶ月を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。
注意:関係省令及び告示は、施行期日に先立って定める予定となっています。


以上 広島労働局 労働基準部 監督課資料より


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