2009/07/14(火)17:51
第四話 共鳴・・・
午後8時、私達が水戸を訪れた際に必ず行くいつもの場所へと移動した
店の名はUNO 落ち着いた雰囲気も料理の旨さも申し分なく、
感じの良い接客にも心が癒される。
ここはいつも大将が予約してくれ、決まって同じテーブルに案内される
店の一番居心地の良い場所、そこが僕たちのバトルステージ・・・
「お疲れっしたぁ~」
二つの生ビールと一つのウーロン茶のグラスが奏でる音がゴングとなる
店の中の特等席にて素っ裸のアラフォーオッサン二人がガチンコ勝負
ここには生徒も父兄も存在しない
身に纏うものなど必要であるはずもない
ありのままの自分をお互いにぶつけあい、ど突き合うのみ・・・
技を受け、吸収したり跳ね返したり
技を披露し、受け流されたり反撃されたり
それらが全て私の血となり肉となり、魂までもが再生されていく
また、ガチンコを傍らで淡々と聞くカッシーまでもが成長していく
私がなぜカッシーを連れてくるのか、大将は何も言わなくても理解している
私の意図を遥かに超えるような事をしてくれ、彼を導いてくれる。
午後11時頃だったろうか・・・
大将の携帯が鳴る
今までお互いマッパの状態であったのだが、
彼は再び何かを身に纏い、顔つきまでもが変化していった
塾の総大将に戻った瞬間であった。
聴こえてくる内容から電話の相手は小6ライバルのお母様だろう
数分間、私もカッシーも大将とお母様との電話でのやり取りを聞いていた
なぜだかわからないが、私は涙が溢れそうになっていた
眼球にも表面張力があることを知り、一滴でもこぼすまいとしていた
アルコールのせいもあるのかもしれないが
大将と父兄様との強い繋がりに僕の中の何かが反応していた・・・
ふふ・・・
いつもやられっぱなしだな・・・
しかし、僕の一つ一つの細胞は外部からの凄まじい力によって
活発に動きだしていた
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つづく