第10集

情報提供室

このページは糖尿病である私の体験から得た医療に対する教訓と、現代医学が持つ
問題点を摘出すると共に、新しい医療情報を適切に提供するこを主旨としております。

情報 第10集(No91~No100) 目次

No91: 高齢化時代を健康で若々しく過す!?
No92: 院内感染対策に完全は有り得ない!?
No93: 高齢者・身障者に優しい調剤を目指して!?
No94: 過疎地域の医師不足解消へ地元出身者を!?
No95: 混合診療は誰のために有効な診療か!?
No96: インフルエンザ予防接種は早目に対策を!?
No97: ケアマネージャー更新制研修義務化!!
No98: 過疎地域の医師不足解消へ地元出身者を!!
No99: 大事にしてほしい患者の視点 !!
No100: 生活習慣病対策 企業の取り組みに期待 !!





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2004/10/28(木)No91:高齢化時代を健康で若々しく過す!?

 10年後には国民の約4人に1人が65歳以上になる“超高齢化”時代を前に、年を取ることによる衰えに抵抗しようという医療行為『アンチエイジング(抗加齢)』が注目を集めております。健康に生涯をおくり、寿命をまっとうすることを目指した研究が進められており。現代版“不老不死”の試みとは何か。

 肌の美容治療を受ける女性の中心は、今や60代70代になりました。しわやしみなど皮膚の老化現象を“治療”する美容皮膚科では、美肌の維持や若返りを期待して足を運ぶ女性の三分の一は、60歳以上だという。最高齢は85歳の女性。昔と今では同じ80歳でも大違い。高齢者そのものが変わりつつある」のが現状です。

 アンチエイジングの治療対象は美容分野だけではない。「加齢による体の衰えや発病は遅らせることができる」という発想。遺伝子の構造から推測される人間の生命学的寿命は、およそ125年とされ、このうち約百年を元気に過ごすことを理想としております。

 首都圏を中心に、総合的なアンチエイジング医療を行う病院が増えており。クリニックではヒト成長ホルモンや副腎皮質ホルモンなど年齢とともに枯渇するホルモンを皮下に注入する、ホルモン補充療法などを実践。骨や筋力の減少、不安感、しわやたるみなどに効果があるといわれます。

 こうした「予防治療」に保険はきかず、1カ月10万円程度と治療費は高額だが、40~70代の患者を中心に希望者が多いという。「少子高齢社会で抗加齢治療はますます重要になり。寝たきりで医療費を払うか、若さと健康を維持するためにお金を使うかの選択」です。

 同様の考え方は東洋医学では古くから継承されています。「病気になってから薬を投与するのではなく、未然に生薬で治療する東洋医学の考え方が、今改めて注目されています。但し、健康食品については、インチキなものも含め情報が氾濫しているのが現状」と見極めも大切さが指摘されております。

 アンチエイジングの正しい知識を広めるために、来年6月には抗加齢の専門医・指導師の最初の認定試験を実施されます。「老化の要因には活性酸素により体が“錆びる”フリーラジカル説が有力。ビタミンなど特定の抗酸化物質の服用で防ぐ
ことは可能」。そして、「高齢化と老化は別のものとの考え方もあります。

 「高齢者はいても老人のいない時代がくる可能性は十分にある」。アンチエイジングの研究は、個人の健康だけではなく、医療費の削減や長期的な労働力の確保な
ど少子高齢化社会の大きな光明となることを目指しております。
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2004/11/04(木)No92:院内感染対策に完全は有り得ない!?

人は多くの雑菌に囲まれて生きております。体内にも雑多な菌が住み付いております。緑膿菌もどこにでもおります、そんな常在菌の一つです。それ自体の病原性は低いが、最近、薬剤に耐性を持つものが現れ、患者が手術直後など弱った状態にある場合は、特に要注意と指摘されております。

こんなことは分かり切っていたはずなのに、京都大学付属病院で、入院患者が長期間にわたって多剤耐性緑膿菌(MDRP)に感染し、二人が七月と八月に相次いで死亡していたことが明らかになっております。大阪大病院でも六月、入院患者九人が感染し、一人が亡くなっています。

日本を代表する最先端の医療機関で、なぜ、こんな事故が続くのか。原因と背景を徹底的に究明しなければならないと関係機関では懸命です。京大病院の調査によると、MDRPの感染事故は二〇〇一年以降にまでさかのぼり、これまでに十一人の患者から同一の遺伝子を持つ菌が検出された。うち九人から感染による発熱などの症状が出ている。 更に、死亡した二人を含む八人は、同じ病棟に入院しており。このことから院内感染の疑いが強いと言われております。

阪大病院では、感染者の多くは心臓手術中に食道内で心臓の動きをモニターする機器が使われており、この機器が共通の感染源とみられており。 感染源が究明されれば感染経路の解明が可能になり、再発防止の手立ても講じられます。MDRPは今年に初めて死亡が確認された新興の多剤耐性菌であり。拡大を防ぐためにも、医療機関の初期対応と情報の共有は重要な意味を持っております。

京大病院は、公表が遅れた理由として感染経路の調査に手間どったこと、家族の同意が必要だったことを挙げていますが。しかし、今頃になって調査チームを立ち上げるというのは、怠慢の訴追を免れることは出来ないと思います。院内感染の問題は北大病院で肺結核に罹っていた医師が外来診療で、多くの患者に感染させていた事例がありますので、予防防止は絶対的な使命だと思います。

日本でも、大きな病院には院内感染対策委員会が設けられるようになりました。とはいえ、各科の担当者が会議をするだけの形式的なものが依然として多い。感染症を併発した患者の治療や抗生物質の使い方の指導で、権限を行使できる専門医のいるところも少ない。病院挙げてという真剣味が、まだまだ足りないように思えてなりません。感染予防対策には、お金と人手と地道な努力が欠かせないが。今の診療報酬体系の中では、確かにやりくりの難しい問題ばかりです。しかし、そんな状況から抜け出さない限り、医療の信頼はいつまでたっても取り戻せません。
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2004/11/11(木)No93:高齢者・身障者に優しい調剤を目指して!?

調剤薬局で高齢者や障害者、外国人など向けのサービスに優しい試みを取り入れる動きが相次いでいる。ホロン(広島市)は高齢者や視覚障害者向けに開発された「スピーチオ」というSPコード(2次元コード)専用読み取り装置を導入した。この装置は、紙に印刷した同コードを読み取らせるだけで、あらかじめ記録してある情報を音声で聞くことができる。

愛知県薬剤師会傘下の薬局は、視覚障害者向けのシールを使用、薬袋にはりつけ、
視覚障害者などが服用方法を間違えないようにしている。シールは同薬剤師会が考案。直径4cmの円形で、「朝」「食間」「とん服」など7種類がある。シールの中央にはそれぞれ異なる凸型の記号をつけているため、目の見えない人でも触れればすぐわかる。

クラフト(東京都)は調剤薬局に携帯助聴器を置き始めた。耳が遠い患者に服薬指導する際、無償で貸し出すほか、販売も行っている。難聴者などに対するサービスの一環として今夏導入した。助聴器の名称は「ボイスメッセ」。使い方は、ボタンを押して携帯電話のように耳に当てるだけ。内蔵した超薄型スピーカーが相手の声の低音域を増幅するため、難聴者でも聞き取りやすいという。

フォーラル(東京都)は、一部の調剤薬局に介助犬と一緒に入れる店舗であることを示すシールをはりつけた。特定非営利活動法人の日本介助犬アカデミー(東京都)が配布したもので、シールの下部には「介助犬同伴可」。シールの入手に送料がか掛るがシール代は無料だ。

トミザワ薬局(仙台市)は、社内に手話研究会や英語研究会を設置している。手話研究会では、手話を通じて聴覚障害者とコミュニケーションを図れるよう、指文字を学習。これまでに五十音の指文字のほか、簡単なあいさつや病状の表し方などの手話を学んだ。

タカラ薬局(福岡市)は、今夏、外国人向けの調剤薬局を開設した。オランダ人の医師が同市に内科のクリニックを新規開業したのに伴い、近くに開局した。この医師はオランダ語のほか、英語、日本語、ドイツ語、中国語が話せる。

このため、同社の調剤薬局にもさまざまな国の人が訪れる。薬局には英語が話せる薬剤師を配置したほか、レセコンなどのシステムも英語バージョンに改良。薬情や薬歴、薬袋も英語で出力できるようにした。

患者との信頼を本当に大事にする薬局は、こうした弱者にも優しい。障害者や外国人などは通常、薬局の患者のなかでは少数派に属するだろう。だが、少数派だからといって、対応がお座なりになってはいけない。

高齢者が今後いっそう増加するということを踏まえれば、こうした弱者に優しい試みは一段とその必要性を増してくるといえるだろう。他社との競合が激しさを増すなか、こうした試みが信頼の向上、患者の囲い込みにつながるのかもしれない。
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2004/11/18(木)No94:過疎地域の医師不足解消へ地元出身者を!?

地域での医師不足解消を狙って、医学部入試で「地元枠」を設ける大学が増えていることが、文部科学省の調べで分かったそうです。05年度入試では7大学が実施予定で、さらに少なくとも4大学が06年度以降の導入を検討しており、同省も来年度から、僻地や離島での医療実習などをする大学病院に助成金を出し、側面支援する方針だそうです。

医学部入試の地元枠は97年度に札幌医大が導入した後、徐々に増えており、05年度には、国立で滋賀医大、信州大、佐賀大、公立で札幌医大、福島県立医大、和歌山県立医大、私立で岩手医大の計7校が実施するそうです。うち、信州大と佐賀大は05年度入試からの導入されます。

いずれも推薦入学枠で大半が定員の5~10%。応募資格は大学がある道県の高校生と卒業生で、選考は小論文や面接が中心。このほか、秋田大、弘前大など少なくとも4大学が06年度以降の入試で導入を検討中だそうです。

背景には医学生に地元出身者が少なく、地域医療の担い手が育ちにくい現状があり。秋田大では今年度の医学部生のうち県外出身者が約8割。卒業後の県内定着率は4割に満たないそうです。文科省によると全国42の国立の医学部・医科系大学で地元出身の入学者は平均27%に過ぎず、12大学は20%未満だそうです。

唯、地元枠を設けても確実に残ってもらえる保証はない。岩手医大は私立だが地元枠合格者は卒業までの学費のうち、国立大学の入学金と授業料に相当する額を負担すればいいことにし、差額の1人当たり約4000万円は県が負担しておりま。その代わり卒業後には県内の公立病院での勤務を義務付けております。県外に出れば、負担金を返還してもらう約束だそうです。

岩手県医療局は「何とか県内の医師を増やそうと大学に創設をお願いした。学生とも地元定着を文書で約束している」という。06年度から地元枠創設を検討中のある国立大学法人も、県内勤務を前提とした奨学金制度を、県と協議中だそうです。文科省の新しい助成制度は、離島や僻地などの医療機関での体験実習を導入したり、大学病院と地域の診療所との連携を担う医師の育成プログラムを実施したりする大学病院などが対象になっております。
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2004/11/25(木)No95:混合診療は誰のために有効な診療か!?

「過剰な規制はやめて、医師と患者の選択にまかせるべきだ」「そんなことをしたら安全か有効かはっきりしない治療が保険医療のなかに入りこむ」 小泉首相が、解禁の方向で年内に結論を出せと指示した混合診療をめぐり、規制改革・民間開放推進会議と厚生労働省が対立している。

混合診療とは、医療保険が使える保険診療と、利用できない保険外診療を組み合わせた診療で、原則として禁止されている。もし二つを併用すると、診療費の全額が保険なしで患者の負担になる。

しかし、厚労省は特定療養費制度を設けて例外的に混合診療を認めている。大学病院など特別に認めた医療機関が行う心臓移植や遺伝子診断などの「高度先進医療」などがそうだ。たとえば重い心臓病で移植が必要な場合、診察費や入院費などは保険で、移植手術の費用は自費で負担する。ほかに差額ベッドや予約診療なども認められている。

これに対し医療も自由な契約にゆだねるべきだと訴える推進会議は、混合診療の全面解禁を求めている。禁止されているいまは、患者も医師も多様な治療の選択ができないと批判している。

胃潰瘍(いかいよう)の原因であるピロリ菌の除去は、2回まで保険が適用されるが3回以上受けると1、2回目の分もさかのぼって自費になる。患者に負担を強いるこうした不合理な規制は改めるべきだというのだ。 解禁派が掲げる具体的な事例には耳を傾けるべき点が少なくない。しかし、全面解禁は時期尚早ではないか。

患者と医師の自由な契約には情報の開示と、患者が専門的な医療知識を持つことが前提になる。現状はカルテの開示さえおぼつかない。患者は病を抱えて判断力
が落ちている。結局は医者のいうとおりの治療法を選び、効果がはっきりしない医療や、必要以上に高い治療を受ける恐れが否定できないからだ。

さらに保険診療に自費診療を上乗せする制度が定着すると、同じ病気になってもお金のあるなしで、治療法も違ってくる。そのようなことを認めるのかどうかは、もっと議論が必要だろう。 まずは特定療養費制度の垣根を低くし、新しい治療法や技術を大幅に取り入れ、混合診療をもっと認めることだ。推進会議が不合理だと具体的に例示しているものから検討を急いではどうか。

医療現場では保険で認められていない抗がん剤を求める声が特に強い。日本で承認されていなくても、欧米で安全性が確認されていれば、混合診療を認めるような工夫をしてもらいたい。

そうして一定の成果が得られれば、すばやく保険診療に採り入れる仕組みにする必要がある。 混合診療の是非だけでなく、いまの保険診療のあり方に疑問を持っている患者や医師は少なくない。どのような医療行為がほんとうに保険にふさわしいの
か、その見直しも怠らないで欲しい。
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2004/12/02(木)No96:インフルエンザ予防接種は早目に対策を!?

今年もインフルエンザの季節がやってきた。予防接種を考えている人は、早めに済ませ、流行を乗り切りたい。国立感染症研究所感染症情報センターによると、今のところ、全国のインフルエンザの感染報告者数は例年より少なめだが、大阪、群馬、岡山などではすでに集団発生で学級閉鎖した例もあり、油断は禁物です。

推計約923万人が感染した昨シーズンは、中規模の流行とされ、高齢者を中心に約2400人がインフルエンザをきっかけに肺炎などを起こし、死亡したとみられている。インフルエンザには、A香港型、Aソ連型など複数のタイプがあるが、昨年の流行は約9割がA香港型。一昨年ごろから変異したウイルスが増えていたが、昨年は変異に対応するワクチン製造が間に合わなかった。今年は、変異にも対応、流行の傾向が同じであれば、予防接種の効果はより高まると期待されております。

厚生労働省によると昨年は当初、ワクチンが不足気味だったが、今年は昨年の1・4倍に当たる約2100万本分のワクチンが用意された。特に注意が必要なのは、重症化しやすい高齢者。東京都老人医療センターによると、65歳以上の高齢者は予防接種で発症を3、4割減らし、死亡の8割を防ぐことができると言う。

感染をきっかけに肺炎を併発する危険があるだけでなく、寝込むことで体の機能が低下し、自立生活をしていた人が寝たきりになってしまうこともあると注意を呼びかける。高齢者の介護にあたる人にも予防接種が勧められる。

子供も注意が必要です。毎年100~400人程度に、意識障害やけいれんなどの神経症状が出るインフルエンザ脳症が起きる。可能な対策はやはり予防接種だ。ただ、1歳未満の乳児では、予防効果がはっきりせず、感染しても、症状が比較的軽く、脳症の報告も少ないため、積極的には接種を勧めない医師も多い。

費用は、子どもや、高齢者を除く成人は全額自己負担で、医療機関により、1000円程度から5000円以上とばらつきがある。ワクチンの成分や品質に差はなく、値段の差は医師の技術料や診察料などを任意で加算しているためだ。65歳以上の高齢者と60~64歳で心臓や呼吸器などに持病がある人は、一部公費負担で接種を受けられる。自己負担額は自治体により異なる。

ワクチン接種の後、10~20%の人に、注射した部分が赤くなったり、痛んだりする副作用が出る。発熱、頭痛、寒気、体のだるさなどの全身症状も5~10%に出るが、いずれも2、3日で収まる。国立感染研によると、約2500万人に1人の割合で、ワクチンによる可能性を否定できない死亡事故が、過去に小児を中心に起きている。熱があったり、体調が悪い人は無理に打たない。ワクチンにはごく微量の卵の成分が含まれるので卵アレルギーが強い人は医師と相談しよう。

例年、感染者数が増加するのは12月下旬。予防接種は、13歳未満は1~4週間あけて2回、13歳以上は1回でも良い。効果が出るまでに通常2週間かかる。年齢や家族構成、副作用などを考えて、流行前に対策を立てたい。インフルエンザにかかったら、熱が下がっても1~2日は体内にウイルスが残っているので、感染を広げないため、2、3日は学校や職場を休もう。

尚、これはまだ未知の情報であるが、もしかしたら今冬は人から人に感染する、新種の新型インフルエンザの発生が専門化の間で問題になっております。インフルエンザの多くは渡り鳥が運んでおり土着している鶏やアヒルなどに感染します。今春に発生した鶏のインフルエンザ流行で大量に処分されたことは記憶に新しいと存知ます。

この鶏インフルエンザは人に感染しても、その人から他の人に感染しないと言うことからあまり社会不安を起こしませんでしたが、このインフレエンザがもし人から人に感染する事態がおこれば、これは防ぎようがなく予防ワクチンの開発には6ヶ月以上もかかるため、感染範囲は膨大で史上最大の被害が出る可能性もあると関係者は危惧しております。
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2004/12/09(木)No97:ケアマネージャー更新制研修義務化!!

厚生労働省は、介護保険のケアマネジャー(介護支援専門員)について、資格の更新制を導入する方針を決めた。専門職としての能力や知識を一定水準以上に保つのが狙いで、2005年の介護保険改革に盛り込み、2006年度からの実施を目指す。同省によると、医療・介護の専門職の公的資格で、質の担保を目的とした更新制の導入は初めて。

方針によると、ケアマネの有資格者に都道府県が交付する「登録証」を5年ごとの更新制とし、「更新時研修」の受講を条件とする。更新しないと資格が停止され、ケアマネの実務はできなくなる。研修を受講した段階で、資格停止は解除される。

現行制度では、ケアマネ試験合格後の35時間の実務研修以外、研修は義務付けられていない。同省では、資格更新の条件として、現行の「現任研修」基礎課程の一部を含めるかも検討している。

このほか、任意の研修として、実務経験5年程度のケアマネを対象にした「主任研修」を新設。修了者は「主任ケアマネ」として他のケアマネへの助言など指導的役割を担ってもらい、専門職としての質の底上げを図る。いずれも、具体的内容や実施体制などは今後検討する。

ケアマネは、介護保険の利用者がニーズに応じて適切なサービスを受けられるよう連絡調整する専門職。2000年の制度施行にあたり人員確保を優先した結果、玉石混交」(同省)といった状態が続き、利用者の状態を十分に把握せずに症状を悪化させたり、サービス給付が不適切で無駄があったりするなど、基本的業務が不十分なケースが数多く報告されている。

資格認定団体が認定する専門職については更新制を導入しているものもある。だが、医師免許など公的資格については、米国などの制度を参考に日本でも導入するべきだとの声が上がっているが、実現していない矛盾点も多く、ケアマネだけが厳しい規制枠に嵌め込むには問題もある。

水野谷全国介護支援専門員連絡協議会監事は「制度が毎年変わるので、定期的研修は必要。現在は義務でないので、ケアマネが自費で休暇を使って受講する例もある。義務化により、事業所が責任を持って研修を受けさせる環境が整う」と評価している。

◆ケアマネジャー(介護支援専門員)=保健・医療・福祉の分野で5年以上の実務経験のある人が、都道府県などが実施する試験に合格し、実務研修を受ければ資格を取得できる。有資格者は約30万人いるが、実際にケアマネとして働いているのは8万5000人程度と、多くの有資格者が実際に活動していないのが実状です。
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2004/12/16(木)No98:過疎地域の医師不足解消へ地元出身者を!!

地域での医師不足解消を狙って、医学部入試で「地元枠」を設ける大学が増えていることが、文部科学省の調べで分かった。05年度入試では7大学が実施予定で、さらに少なくとも4大学が06年度以降の導入を検討している。同省も来年度から、へき地や離島での医療実習などをする大学病院に助成金を出し、側面支援する方針だ。

医学部入試の地元枠は97年度に札幌医大が導入した後、徐々に増えており、05年度には、国立で滋賀医大、信州大、佐賀大、公立で札幌医大、福島県立医大、和歌山県立医大、私立で岩手医大の計7校が実施する。うち、信州大と佐賀大は05年度入試からの導入だ。

いずれも推薦入学枠で大半が定員の5~10%。応募資格は大学がある道県の高校生と卒業生で、選考は小論文や面接が中心。このほか、秋田大、弘前大など少なくとも4大学が06年度以降の入試で導入を検討中だ。

背景には医学生に地元出身者が少なく、地域医療の担い手が育ちにくい現状がある。秋田大では今年度の医学部生のうち県外出身者が約8割。卒業後の県内定着率は4割に満たない。 文科省によると、全国42の国立の医学部・医科系大学で地元出身の入学者は平均27%に過ぎず、12大学は20%未満だ。

ただ、地元枠を設けても確実に残ってもらえる保証はない。岩手医大は私立だが、
地元枠合格者は卒業までの学費のうち、国立大学の入学金と授業料に相当する額を負担すればいいことにし、差額の1人当たり約4000万円は県が負担している。その代わり、卒業後には県内の公立病院での勤務を義務付けている。県外に出れば、負担金を返還してもらう約束だ。

岩手県医療局は「何とか県内の医師を増やそうと、大学に創設をお願いした。学生とも地元定着を文書で約束している」という。06年度から地元枠創設を検討中のある国立大学法人も、県内勤務を前提とした奨学金制度を、県と協議中だ。

文科省の新しい助成制度は、離島やへき地などの医療機関での体験実習を導入したり、大学病院と地域の診療所との連携を担う医師の育成プログラムを実施したりする大学病院などが対象。来年度予算で、1大学当たり約7000万円、計30件程度の助成を概算要求した。
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2004/12/23(木)No99:大事にしてほしい患者の視点 !!

A氏は先日、膝の具合が悪くなったので、ある整形外科診療所で診てもらったところ、MRI検査が必要といわれ別の病院で撮ってもらうことになった。紹介先の病院は決まっているようで、都合のいい日時を聞かれただけで検査予約がすんだが、後で病院の場所を知って少し後悔した。診療所の立地上、紹介先の病院へは電車で行くことになると予想はしていたが、その病院が通勤ルートから外れた場所にあったからです。

「整形で掛ったことがある病院にはMRIがあったはず。せめて通勤ルートにある病院への紹介をお願いすればよかったかも…」。自問自答を繰り返しつつも、「これが高額医療機器の共同利用か」と、病診連携の実態に触れる初めての体験に、ちょっとわくわくもしておりました。

検査当日、診療所の指示通り予約時間より早めに病院に到着し、窓口に紹介状を差し出して、これまで取材した複数の病院から、「紹介患者が来院したときは既にカルテはできあがっている」と聞いていたこともあり、当然そうなっていると思っていました。

しかし期待通りにはいきませんでした。問診表に一から書くのは、一般初診患者と同じでいた。検査を終え、フィルムの入った大きな袋を手に病院を後にし、電車で向かった診療所でまた、診察の順番を待った。余談になるが、その病院では「ひざの画像を撮るだけだから」と検査衣はズボンだけしか貸与されず、ちぐはぐな格好のまま、ほかの患者の前を通る羽目になりました。

医療機関の機能分担、医療資源の効率的活用という医療連携のねらいやその必要性はわかっているつもりだが、今回は診療内容を除き、なんとなく腑(ふ)に落ちない病診連携体験でした。呼称は違っても、急性期病院をめざす病院ならほぼ間違いなく地域医療連携室があるものの、その機能はまちまちだということを肌で感じました。

こちらから積極的に言えばよかったのかも知れないが、紹介先選びに患者の意見を聞き取り入れようとする診療所なら、信頼感がさらに増したように思う。もし初診当日にMRI検査ができ、診断もつくという病院が見つかれば、特定療養費を払ってでも今後はそこへ行くかもしれない。治療目的での紹介だったら、さらにきめ細かい対応を求めていただろう。

急性期病院では、DPC拡大を視野に、疾患別の最適な在院日数の模索が進んでいる。同時に、これまで個々の病院完結型だったクリティカルパス(危機連携)は、
前方・後方連携のさらなる円滑化に向けたツールとしても進化し始めました。目医療関係者が注目しているのは、ほかの医療機関と共同利用する地域完結型の地域連携パスだと思います。

「これまでの医療機関中心の医療連携から、患者の視点に立った“連携医療”」。
言葉を並び替えただけで、その意味合いが大きく変わる日本語の奥深さもさることながら、医療関係者からこれまでの反省とも受け取れる言葉が出たこと事態驚きであり。今後、患者の納得・安心感を基盤にした真の「連携」の実現に期待したいです。
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2004/12/30(木)No100:生活習慣病対策 企業の取り組みに期待 !!

「2004健康推進シンポジウム」で、「生活習慣病対策は新たな方向へ進み始めた」。が討議されました。近年の健康増進ブームの中でよく見かけるタイトルですが、「健康づくりに取り組む優良企業とは」というサブタイトルが付いておりました。

主催は、社会保障分野でも先駆的な総合研究所と、大学病院や企業健保組合などの
団体が参画したHCCコンソーシアム、後援は厚生労働省と経済産業省。「優良企業」という言葉が関心を呼んだのか、新たな「企業力」を生活習慣病対策に見いだそうとする経営者で埋まっておりました。

健康増進と企業とのかかわりは、02年に施行された健康増進法の中でもその重要性がうたわれており。働き盛りの世代を生活習慣病の温床ととらえれば当たり前のことです。唯、こうした企業の健康増進の取り組みを本格的に後押しすることになったきっかけは、2004年8月に施行された「健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針」でしょう。医療費適正化を前面に出しながら、健保組合での生活習慣病対策の重要性を訴えた内容で、健康増進法とは異なり、狙いと必要性を明確に示したものです。

シンポジウムでは、演者の口々から指針についての話題が出る中、会場を見渡すと、指針のストレートさが財政赤字を抱える健保組合関係者に響いているように見えました。一方で演者として招かれた厚労省健康局の担当者が、これまで「保険局マター」として触れてこなかった医療費適正化の問題を強調していたのも印象深く、「健康づくり」はもはや言葉だけの施策ではないと感じました。

健康づくりは被保険者の問題であり。されど、医療費赤字は健保組合全体の問題でもある。個々人レベルではなかなか実行しにくい生活習慣病対策を「優良企業」という考え方に結び付け、プラスイメージの切り口で社会的なインセンティブ(誘因)を強めたのは企業ならではのうまいやり方だと思います。

シンポジウムで、医療費適正化のためだけでなく、これぞ「優良企業」と思わせる健康増進事業を展開している企業を見つけました。ただ、その取り組みは、まず企業からではなく、1人の産業医の働き掛けから始まっていおりました。

講演したのは、JR東海健康管理センター長の指原氏。その職に就いたとき、指原氏は社内で糖尿病管理にしぼった生活習慣病対策を始めた。産業医として社内の人事厚生部と話し合った末に、「HbA1cが8・0%以上である場合、8・0%未満に改善するまでは、その社員の深夜・超過勤務を禁止する」という社内規定を作り上げることに成功しました。

HbA1c7・0%以上では保健指導を義務付け、主治医に紹介状を発行することも心掛けました。経営管理層に掛け合い、健康の保持増進というモラルを規範に社内実務を行う重要性を説いており。その結果、社内のHbA1c8・0%以上の社員を3年間で3分の1以下に減らすことに成功しました。

始めた当初は労働組合の抵抗を受けながらだったそうですが、実際に効果が表れることで社内にはむしろ活気が出た。「必要なのは、周囲の理解だった」と指原氏は振り返る。健康づくりが優良企業の条件と結び付き始めたことで、そのインセンティブが追い風として吹き始めている。ここで紹介した企業のように、産業医を中心として生活習慣病対策に挑む企業が増えれば、国内の生活習慣病をめぐる現状は間違いなく改善に向かうでしょう。
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