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テーマ:史跡めぐり(508)
カテゴリ:城跡と史跡(千葉編)
江戸時代に滝沢馬琴が28年の歳月をかけて書き上げた長編小説「南総里見八犬伝」、その八犬伝にゆかりのある場所が千葉県南房総市にある富山(とみさん)です。
南総里見八犬伝は、「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」の8つの水晶玉と因縁を持つ八犬士たちが、里見氏再興のために活躍するという物語です。 富山の登山口には、その八犬士誕生の地とも言える「伏姫籠穴(ふせひめろうけつ)」があります。 伏姫籠穴入口。 南総里見八犬伝の記述通り、周囲は深い木々に囲まれています。 滝沢馬琴は、実際にここを訪れたことがないそうです。 それでも南総里見八犬伝の描写にぴったりなので、とても不思議な感じがします。 その木々の奥にあるのが、伏姫籠穴です。 いつ誰が何のためにこの穴を掘ったのか定かではないそうです。 里見氏初代里見義実の娘「伏姫」は、飼い犬の「八房」に滝田城から連れ出され、ここ富山に籠りました。 八房の気を受けて懐妊した伏姫は、それを恥じて自害しようとしました。 そしてこの時伏姫の体から空に飛んでいったのが、「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」の8つの水晶玉です。 この水晶玉を持つ八犬士たちが関東各地で誕生し、長い年月をかけて安房の里見義実の元に集まってきました。 そして八犬士が安房に集結した時、「関東大会戦」と呼ばれる大きな戦いが起こります。 この「関東大会戦」ですが、滸河(こが)公方足利成氏・扇谷上杉定正・山内上杉顕定が関東の諸将を集めて大連合軍を結成、里見義実がこの大連合軍と戦う話となっています。 南総里見八犬伝を読んだ時、「あれ?」と思ったのですが、よく似た話を聞いたことないでしょうか。 実際に戦国時代の関東で起こった「河越夜戦」がそのモデルです。 (史実の河越夜戦では、北条氏康が関東大連合軍と戦いました) 南総里見八犬伝の「関東大会戦」は時代設定が河越夜戦よりもずっと前ですが、八犬士の活躍によって里見義実の大勝利に終わりました。 (しかも合戦の舞台となったのは国府台でした) 滝沢馬琴は里見氏や北条氏の軍記物を読んでいて、河越夜戦や国府台合戦を題材にしたのでしょうか。 里見義実が関東大会戦に勝利した後、八犬士たちはゆかりのある富山に隠棲し、その後は神仏となって姿を消したとされています。 富山北峰と南峰の間にある「里見八犬士終焉の地」の碑 南総里見八犬伝はフィクションですが、登場人物などは実在の人物がモデルとなっています。 北条長氏(おそらく北条早雲)、常陸の左武(佐竹)など・・・ 歴史に「もしも」は禁物ですが、南総里見八犬伝では、史実と比べながら「もしも」を考えると面白いかも知れません。 現代語訳南総里見八犬伝(上) 現代語訳南総里見八犬伝(下) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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