|
カテゴリ:カテゴリ未分類
1月末に公表された日中両国の有識者による歴史共同研究委員会の報告書で、日本側は「日中戦争で中国の非戦闘員に多くの犠牲を強いた」と加害責任を明確にした▲しかし、中国からの強制連行と強制労働の被害者らが日本政府、企業などを相手に謝罪と賠償を求めた裁判をみると、釈然としない。県内炭鉱で働かされたり、移送先の浦上刑務支所で原爆死した中国人や遺族が訴え、昨年暮れ最高裁で敗訴が確定した例がそう▲裁判では強制連行・労働を事実とし県の関与も認定したが、個人の請求権は1972年の日中共同声明で放棄されたとして認めなかった。2007年4月の西松建設強制連行訴訟(最高裁で原告敗訴)の裁判長付言「被害救済に向けた関係者の努力が期待される」もなかった▲加害は認めながら踏み出さない司法に、本県支援者が憤慨したのは当然。犠牲者のため炭鉱跡に追悼碑を建立し、強制連行資料館設置を県に求めている。せめて県は真摯(しんし)に対応すべきだ▲なぜか。母国で兵役を拒否する代わりに長崎市内で昨年夏まで1年間、奉仕活動をした20歳のドイツ青年ゲオルグ・フライゼさんが「記憶の文化」と題し各地で話した内容を紹介したい▲「私たちは出来事をよく見て、善しあしを判断し、過ちの理解を通して繰り返さない確信が持てる。自身の戦争犯罪を置き去りにしたままで、長崎は平和の象徴となれるでしょうか」。(謙)
(2010年2月3日長崎新聞掲載) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.02.04 11:05:18
|