テーマ:今日聴いた音楽(76341)
カテゴリ:ヘッドホン
BS2でコーネリアス小山田圭吾の中目黒テレビというのをやっていた。Fit SongのPVでも見られるような,辻川幸一郎が手がける映像と演奏の完璧なシンクロぶりが受けているようだ。番組の作りも,世界ツアーの合間に小山田が何気なくマッチ箱を振っている場面からそのまま曲の冒頭にシームレスにつながったりする感じが,音楽ドキュメンタリーとしてはなかなか新鮮だった。 ![]() そのマッチ箱の音から思い出したのが,「立体音響(ホロフォニックス)」の技術で録音された音源。コーネリアスのアルバムファンタズマ冒頭の曲「MIC CHECK」でも使われていた録音技術だ(リンク先で試聴可能)。立体音響の歴史については,イギリスのロックバンドサイキックTVのファンサイト,23net.tvのこのページが詳しい。 ![]() 似た手法にバイノーラル録音があり,デンオン・オーディオ・チェックCDの#21などをヘッドフォンで聴くとスピーカーではなかなか得られない臨場感が味わえるが,立体音響で録られた音源にはそれ以上のリアルさがある。特に明確な上下移動の感覚は圧倒的だ。有名なバーチャル床屋でバリカンが後ろを動き回る感じは気味が悪いほど。ホロフォニックス開発者監修のCD「ALDEBARAN」(現在は廃盤)からの音源もYouTubeに挙げられていた:1,2,3。 この,音が頭の中を動き回るような感覚で思い出したのが,昔セガのテーマパークのジョイポリスで体験したお化け屋敷のアトラクション。お化けとして実際に着ぐるみなどが出てくるわけではなく,ただヘッドフォンをかけさせられてテーブルの前に座らされるだけなのだが,部屋を暗くされると実際の周囲の音とヘッドフォンからの音の区別が全くつかなくなってしまう。すぐ後ろに人が来て話している感覚があり,思わずヘッドフォンを取って確認してみると誰もいなかった,といったこともあった。このページによると似た様なアトラクションはまだやっているようなので,機会があればまた体験したい。 この立体音響という技術,23net.tvの解説を見ると神経生理学者Hugo Zuccarelliなる人物によって開発されたようだ。この人物の理論は耳自体が何らかの音を出しているという前提で進められているなど,疑い深い私などはどうしてもトンデモ臭を感じてしまう。彼は,立体音響は単に音に関する技術にとどまらず,様々なテクノロジーを改変しあらゆる側面に害を及ぼしかねない可能性を秘めている,として,その技術を公表していない。 Zuccarelliの話から,私は何となく村上春樹の長編世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドに出てくる老博士を思い出した。老博士は生物学から脳生理学・音響学・言語学・宗教学まで幅広く研究してきたが,骨から音が出ていることを発見してしまい,その研究の軍事転用を狙う組織から狙われているという設定。読んだ当時はなかなか独創的な発想だなあと思っていたが,長編が出たのは1985年であることを考えると,作者の頭にはZuccarelliのことがあったのかもしれない。Zuccarelliもアメリカ軍との関係がうわさされているようだし。 ただ,耳自体が何らかの音を出しているとはにわかには信じがたいが,科学的には耳音響放射というものも確認されているようなので,あながち全くのデタラメでもないのかもしれない。いずれにしてもマッチ箱のあのリアルな上下感は他にはないものだ。 ![]() 立体音響で録音された音源はこのせせらぎのような自然音(サンプルを聞くと寝る前のBGMによさそう)や,ピンク・フロイドのファイナル・カットなどのように効果音として使われていることが多く,音楽の録音としては少ない。バイノーラル録音だと,ピアノに座っているグールドの位置での音が聴けるグレン・グールド/バッハ:ゴールドベルク変奏曲(1955年)の再創造などがある。やはりヘッドフォンのほうが効果が得やすいという事情があるため一般受けしないのだろうが,もっと色々な音源を聞いてみたいものだ。ヤススキィなるインディーズアーティストのオーディオホログラムなどではおもしろい音が聞けそう。 ヘッドホン:新製品情報 進化したiPodを徹底チェック! 「楽天トラベルお客さまの声」2007年1年間分の集計結果から選ばれた人気の宿 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年05月26日 19時08分47秒
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