テーマ:今日聴いた音楽(76951)
カテゴリ:戯言
最近ニコニコ動画に懐かしいゲームのBGMやプレイ動画が数多く挙げられていることを知った。「ドラゴンスピリット」に,「アウトラン」「アフターバーナー」「スペースハリアー」などのアーケードゲームから,「カエルの為に鐘は鳴る」などのゲームボーイ,「サラダの国のトマト姫」などのファミコン,果てはPC-8801の「デゼニランド」まで幅広い。RPGの中で個人的に一番好きだったPCエンジンの「天使の詩」まであって驚いた。私の見たい動画に「おっさんホイホイ」タグが付いていることが多いのが気になるが(笑)。 いくつか見ていたら,たまたま「MIDIアニメ」と名づけられた一連の動画を見つけた(YouTubeにも転載されているようだ)。「アニメ」と言っても一般的なアニメーションではなく,MIDIファイルをMAMプレイヤーという海外製のグラフィカルなMIDIプレイヤーを使って再生した動画で,去年末あたりから作られているようだ。MAMプレイヤーの再生画面は一般的なMIDIシーケンサのそれと似ており,再生にあわせて音の高低が上下で表示され,リアルタイムで画面右に向かって流れていく。いわば音楽にあわせて楽譜の該当部分が表示されていく感じだ。 ![]() 普通のMIDIファイルはもともと見た目の美しさを考慮して作られているわけではないので,MAMプレイヤーで再生しても,パソコンに演奏させているという実感がわく程度でそれほどおもしろくはない。しかしMIDIアニメでは,再生されるMIDIファイルの視覚的なおもしろさが追求されている。そのクオリティは驚くほど高く,例えばレトロゲームメドレーでは,MIDIファイルの構造によってグラディウスの横スクロールの画面そのものが再現される。 画像が音楽とは無関係に表示されているだけなら,素人にしては良くできたアレンジに荒いドット絵が貼り付けられたものに過ぎない。しかしMIDIアニメでは,これを描いているドットの1つ1つが楽譜の音符の1つ1つであり,それが音楽そのものを作り出しているのだ。これがいかに難しいことかは,MIDIシーケンサを少しでもいじってみれば良く分かる。1つ1つがつながって全体で絵になるように音符を配置して再生しても,見た目の美しさとは裏腹に,音楽とはとても呼べない不協和音の連続が鳴るだけだろう。 ![]() 音楽を演奏するための単なる「記号」であった楽譜に,何らかの意味を持たせようという試みは,これが初めてというわけではない。例えば遺伝子音楽は,遺伝子の塩基配列を音符に変換して音楽を作ろうとするものだ。また楽譜に音符や記号で世界地図を描いている人もいる。しかしたいてい音楽としては,自動作曲ソフトで作られたような抽象的なものになってしまうことが多い。その点,MIDIアニメを見ていて改めて驚かされるのが,単にゲームミュージックのアレンジとしても魅力的な仕上がりになっていること。超濃縮マリオメドレーや星のカービィメドレー,FF4メドレーなどでは,おなじみのBGMにオリジナリティ溢れるアレンジがなされている。 ![]() 楽譜で文字や絵を描きながら同時に音楽としても成立させるというのはプロでも至難の技だと思われるので,クオリティの高いMIDIアニメを作ることができる人は少ない。その筆頭が初代職人だが,「クロノトリガーメドレー」によれば彼は引退してしまったようだ。しかしこのMIDIアニメは,絵が音楽そのものを作り出しているという点において,絵と音が単にシンクロしているだけの他の動画とは根本的に異なる革新性がある。DTMならではの新しい芸術の形と言えるかもしれない。あるいは,音楽の構造そのものの美しさを追求しているという点ではバッハに通じるところがある。「なんだ、ただの神か」というニコニコ動画のコメントもうなずける(笑)。このMIDIアニメにはMAMプレイヤーの製作者も驚いており(おそらくこのように使われることは想定していなかったのだろう),サイトに解説記事を載せている。MIDIアニメに触発されてソフトをダウンロードする人も急増しているとのことなので,彼が言うようにさらにもっと新しい何かが生まれてくるかもしれない。初代に続く職人も次々と出てきているようだし,今後どう発展していくのか楽しみ。 【楽天市場】人気「DTM・レコーディング・PA機器」の売れ筋ランキング コンプリートDTMガイド・ブック by 藤本健 リット-ミュ-ジック 【楽天トラベル】ANA楽パック(航空券+宿泊)国内旅行も自由自在に組み合わせ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年06月03日 19時29分10秒
コメント(0) | コメントを書く
[戯言] カテゴリの最新記事
|
|