テーマ:北京オリンピック!!(505)
カテゴリ:テレビ番組・映画
今年は高校野球に加えてオリンピック中継があるので,いつもよりさらにテレビの前で時間を浪費してしまっている。今日も何気なくBS1でトライアスロン男子の中継を見始めたが,予想外に楽しめたので結局きっちり最後まで見てしまった。 オリンピック中継が楽しめる理由はいくつかある。まずはノンフィクションのストーリーをリアルタイムで体験できること。考えてみればマラソン中継など,人間がひたすら走っているだけで,絵的には極めて地味だ。そんな画面を何時間も見続けてしまうのは,解説者やアナウンサーがそこに様々な「ストーリー」を挿入してくるからだろう。オリンピックに向けてそれぞれが経験してきた苦労や挫折,スポーツどころではない母国の大変な政治背景,選考にもれた選手たちの思いなどなど,そういったストーリーによって,表面的には地味な絵が映画のクライマックスのような感動を作り出す。また,日本人選手の活躍を見るとにわかにナショナリズムが刺激されて何かうれしくなるというのもある。私がトライアスロンを見始めたのも,前日の女子で井出選手が5位に入賞していたので,男子はメダルも期待できるのではないかというのがあった。 加えて,普段はなかなか見る機会のない珍しい競技が見られるというのもある。トライアスロンも,私には3つの競技を組み合わせた最も過酷な競技という程度の認識しかなく,水泳,自転車,マラソンから成るという基本的なことさえよく知らなかった。Wikipediaによると,最初のトライアスロンは1974年に行われたようだが,1977年にはオリンピックの4倍以上の距離がある「アイアンマン・レース」というものも生まれたらしい。これは,1977年にハワイ海兵隊員たちの酒の席で「マラソン、遠泳、サイクルロードレースのどれが最も過酷か」という話になり,比較できないからまとめてやってみたのが起源だという(それで結論が出たのかは疑問だが・・・)。 そういったイメージから,ひたすら体力勝負で限界まで突き進む感じだと思っていたが,意外にもレース中にかなり冷静な駆け引きがなされていることに驚いた。最も印象的だったのが自転車の場面。水泳ではそれほど差がつかなかったため続く自転車でも大きな集団が形成されたまま,腹の探りあいのようなレース展開となった。一人抜け出してはまた集団に吸収されるということが何度か続き,一時日本の山本選手が先頭に立つこともあった。しかしついにその集団から3人の選手が抜け出る。メキシコのセラーノ選手,ルクセンブルグのボッケル選手,ベルギーのゼブロック選手で,いずれもトライアスロンの大会で上位に来ることは少ない選手だという。 それぞれが1位を目指してお互いを抜き去ろうと突っ走るのかと思っていたら,3人でかたまりになり,走りながらお互いに何かコミュニケーションをとっているように見える。解説者によると,自転車レースは先頭を走っている選手が最も体力を消耗するらしい。3人でお互いに競い合っていても,いずれ有力な選手たちに追いつかれてしまう。そこで,一旦グループを作り,ローテーションを組んで先頭を交代しながら走ったほうがお互いの利益になる。3人で競争するのはその後でよい。ただ,にわかに生まれたこの3人のチーム内では自転車の実力に差があった。自転車の得意な選手が長時間先頭を走ったほうがチームとして速く進めるため,誰がどの程度先頭になるかという時間配分などを3人で確認しているのではないかという。 本来はお互い敵同士であり,国もバラバラでほぼ初対面と思われる選手たちの間に,結局は自分のためとは言え自然発生的にこのような協力関係が生まれてくるのがおもしろかった。アナウンサーが言うように,「このまま突っ走って3人で金・銀・銅取ろうぜ」などと言葉を交わしていたのかもしれない。実際,後にこのグループから脱落してしまったセラーノ選手を除く2人は,マラソンに移る直前にハイタッチをしてお互いの健闘を称え合っていた。このような場面は他の競技ではまずあるまい。「何か良い場面を見せられた気がする」というアナウンサーの言葉があったが,確かに映画などで敵同士の友情を見た時のような,妙な感動があった。 この3人の即席チームが他を引き離そうと速度を上げていたとき,有力選手を含む残りの集団はそれを静観し,慌てて差を縮めようとすることはなかった。彼らには,無名に近いこの3人にある程度引き離されても次のマラソンで逆転できるはずだから,それまでは体力を温存しておこうという冷静な判断があったという。実際のところ,続くマラソンでボッケル,ゼブロックの両選手はほどなく集団に飲み込まれてしまう。マラソンでも水泳の時のような大集団でのレースが長く続いたが,ゴール目前のスプリント勝負で,ドイツのフロデノ選手が驚異的なスパートを見せ大方の予想に反し金メダルを獲得した。残念ながら日本の山本選手は30位,田山選手は48位に終わったが,体力の限界に挑むだけではないトライアスロンならではの魅力が存分に感じられた,良いゲームだったと思う。こういったおもしろい場面を見ることのできるオリンピック中継だが,一日中やっているのでニュースなどの時間がずれたりするのは困るが・・・ ![]() ![]() ![]() 北京オリンピック 栄光への道 ソフトボール日本代表:DVD(2009年01月28日発売) ドリームチーム ~バルセロナ五輪 1992~:結成から金メダル獲得までの軌跡 趣味・実用・スポーツのDVD 電楽萬堂 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年12月20日 13時13分56秒
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