テーマ:大河ドラマ『篤姫』(422)
カテゴリ:テレビ番組・映画
![]() NHKの大河ドラマ「篤姫」が人気のようだ(私はドラマ自体が苦手なのでたまに見る程度だが)。薩長の側から語られることの多い幕末を,徳川のしかも大奥の視点で見るというおもしろさに加え,宮崎あおいの嫌味のない演技が人気の秘密だろう。派手なチャンバラは少なく室内でのやりとりが中心だが,その分光の使い方に凝っていたりして,映像としてもなかなか楽しめる。30%に迫る視聴率の高さも話題だが,歴代の大河ドラマの視聴率と比べると抜きん出て高いというわけでもないようだ(88年の「武田信玄」などは49.2%,ほぼ2人に1人が見ていたとは・・・)。 最終回も近く,前回には江戸城の無血開城が決まった。ドラマでは,篤姫から受け取った島津斉彬からの書状が西郷隆盛の心を動かし,攻撃を思いとどまらせたことになっている。このあたりの篤姫の役割については,こちらのページでも当時の資料をもとに詳細に分析されているが,やはりある程度誇張もあるのだろう。ただ,いずれにしても,江戸から明治に移り変わるこの重要な時期に民衆を巻き込んだ大きな内乱が回避されたというのは大きい。 この無血開城とは対照的なのが,江戸時代の初期,豊臣家終焉の際に大坂城下で繰り広げられた凄惨な市街戦,大坂夏の陣だ。先日再放送された「その時歴史が動いた」では,その様子を生々しく描写した「大坂夏の陣図屏風」をもとに,その経緯が紹介されていた。幕末の徳川家と同じく,かつては天下を手中に収めていた豊臣家も,家康が幕府を開いて10年のこの時期にはその勢力範囲は大阪のみとなっていた。豊臣勢力の一掃を狙う徳川方に対して豊臣方はあくまで抵抗,意地の張り合いにより平和的解決の機会を何度も逸し,結局落城まで民衆の悲劇が続くことになった。この時代と,外国勢力の脅威が現実のものとなっていた幕末を比べるのは無理があるのかもしれないが,堀が埋め立てられ裸同然となっていた大坂城に最後まで篭城し被害を拡大させたのは豊臣方の大きな失策だろう。 為政者の1つの判断ミスが多くの人間の運命に大きな影響を与えるという構図は,未曾有の金融危機を迎えている現在にも当てはまるのでは。しかもこの大変な時期に,国のトップが2度も任期途中で政権を投げ出し,発足したばかりの今の政権も早くも「麻生降し」がささやかれているのだから,何とも心もとない。2年に渡る選挙戦で鍛え上げられていくアメリカ大統領をうらやましく思ってしまう。もっとも,その選挙戦で2度も選ばれているブッシュ氏はイラク戦争の根拠を巡って糾弾されていたりするが・・・。 ![]() 宮尾登美子著 天璋院篤姫(上)新装版:NHK大河ドラマ「篤姫」原作 鈴木由紀子著 最後の大奥天璋院篤姫と和宮 その時歴史が動いた(20):さらば淀殿、お初の決断 ほか お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年12月07日 18時23分24秒
コメント(0) | コメントを書く
[テレビ番組・映画] カテゴリの最新記事
|
|