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2008年12月17日
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カテゴリ:テレビ番組・映画


テレビのニュースでは,未曾有の大不況に伴う非正規労働者の悲惨な状況が連日トップで取り上げられている。この間のNHKスペシャルも「非正規労働者を守れるか」だった(今日深夜に再放送があるようだ)。もはや目新しくなくなってしまった,ある非正規労働者への密着映像で番組が始まったときには,正直早くも見る気はなくなりつつあった。他人事ではなく身につまされるが,それだけに目を背けたくなる現状が淡々と語られる。番組が識者たちによる結論の出そうにない討論に移ると,私はテレビ欄で他の裏番組を探し始めていた。

しかしその時目に留まったのは,番組で紹介されたオランダの雇用事情だった。パート労働者比率は35・5%と先進国一だが,オランダは日本のような状況には陥っていない。それは,非正規労働者にも正規労働者と同水準の賃金が保障され,手厚い社会保障と職業訓練がなされているからだ。

興味深かったのは,それが実現されてきた過程。オランダも昔からそうだったわけではなく,かつては現在の日本と同様,正規と非正規との間の格差が問題になっていたという。国際競争力を維持したい企業側と正規なみの対応を求める非正規労働者側は対立していた。しかしやがて国民の間で,非正規労働者の訴えはもっともであり,正規労働者の賃金がある程度減ってもしかたない,という合意がなされていったという。結果,オランダの消費税は現在20%近いらしい(ただし生活必需品は6%と日本と同水準に保たれている)。

古くから充実した社会保障制度を持つオランダの例をそのまま日本に当てはめることはできないし,こちらのブログでも下のほうで書かれているが,労働条件の公平さに対する国民意識の違いはかなり大きいだろう。また,金融危機前に変革を成し遂げることができたオランダに比べ,日本のハードルはかなり高い。ただ,オランダの成功例が重要なヒントを与えてくれていることは間違いないし,何より,似たような状況を克服できている国の存在は,単純に頼もしい。日々深刻になる一方の現状ばかりを見ているとつい「どうしようもない」という無力感に襲われてしまうが,メディアもこのあたりの希望の持てる取り組みをもっと伝えてほしい気もする。

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最終更新日  2008年12月18日 00時12分51秒
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