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テーマ:パソコンを楽しむ♪(3730)
カテゴリ:オーディオ
全く同じソースを全く同じ環境で聴いているのに,昨日の昼よりも今日のこの時間(たいてい夜)に聴いたほうがなぜか「良い音」に聴こえる,といったことをよく経験する。ごくわずかな環境の変化がオーディオ機器に何らかの影響を与え,音が物理的に変化しているという可能性もないことはないのだろうが,オーディオ機器を日々特性が変わってしまうほど繊細で敏感なものとして捉えてしまうと個人的には何かと面倒なので(笑),私はそんな時はたいてい自分の耳のせいにしている。NHKの解体新ショーやテレビ朝日の近未来×予測テレビ ジキル&ハイドなど,最近テレビで耳の錯覚の話がよく取り上げられているが,実際に経験してみると自分の耳のそういったいいかげんさを改めて感じる。 ![]() このページの右側の「A」を再生すると断続的な信号音が聞こえるだけだが,信号音の間の無音部に雑音「B」を加えると,「C」のように信号音がつながって聞こえてしまう。実際には雑音だけが鳴っているにもかかわらず,その部分を信号音が雑音でかき消されたものとして認識してしまい,鳴ってもいない音を脳が勝手に補完していることになる。このページは「NTTコミュニケーション科学基礎研究所」によるサイト,「イリュージョンフォーラム」にあるが,他にも元のページの「両耳ポップアウト」や,その下のメニューの「空耳」や「トリック音楽」のページでは,聴覚のいいかげんさを体験できるサンプルが数多く用意されていて楽しめる。 ![]() そういった耳の錯覚のなかでも個人的に興味深いのが,「マガーク効果」と呼ばれる,聴覚に対する視覚の影響。「イリュージョンフォーラム」のものは私の環境では再生できなかったので,YouTubeにあった日本テレビ「世界一受けたい授業」での実験で体験してみた。実際には「バ」と発音されているにもかかわらず,目で見える口の動きは「ガ」になっているため,耳で聞こえる音も「ガ」(や「ダ」)になってしまう。頭では「バ」という音だとわかった後も口の動きにつられて「ガ」と聞こえてしまうので,視覚が聴覚にかなり強力に作用していることがわかる。以前にも書いたが,脳が「良い音」と感じるためには視覚も重要なのかもしれない。 というわけで,理想的なBGV(Background Video)は何か考えてみる。まず,オーディオの目的は生の音にできるだけ近づけることだ,という立場であれば,ライブ公演のDVDやテレビ放送など,実際に演奏されている様子をリアルタイムで流すのが一番よさそうだ。ただ,本当の意味でコンサートホールの客席に座っているような臨場感が味わえる映像となると意外と少ないのでは。たいてい何台ものカメラが切り替えられ,客席からは見ることのできない楽器のアップや演奏者たちの細かい表情まで映されることがほとんどだろう。 また,個人的には,そういったライブDVDの映像はたいていすぐに退屈に思えてしまう。例えばギターがある程度弾ける人であれば,演奏の様子を見ることでギタリストの超絶技巧に感動し,それが聴覚にプラスに働くこともあるだろう。しかしアコギ習得を3日であきらめた(笑)私のような人間にはそういった作用が少なく,実際の演奏の様子は,音楽そのものが喚起する豊かなイメージに比べていかにも地味に感じることのほうが実は多い。 音楽を聞いて自分も演奏したくなったりしない人には,むしろ喚起されるその「イメージ」を強化する方向性の映像のほうがよりふさわしいのかもしれない。例えば音楽とは直接関係のない南国の風景をハイビジョン撮影したリラクセーションDVDの映像などをクラシックやエレクトロニカのバックに流してみると,音楽の持つリラックス効果が強まるように感じる。スカパーのエコミュージックTVやNHKの名曲アルバムなどの映像も使える。特に昔からある「名曲アルバム」は,意外と回によって異なる絵作りがなされていたりして楽しめる。 それから,その音楽に合った字幕が出てくるのも「名曲アルバム」の特色だろう。字幕の内容はその作曲家の経歴や作曲時のエピソードなどだが,CDを聴きながらそのライナーノーツを読むことが好きな私にはありがたい。ただ,ライナーノーツやネットのレビューを読みながら聴いている時もそうだが,そういった字幕を読んでいると,それに集中するあまり肝心の音楽への意識が薄まるといったことも経験する。つまり,あくまで音楽のBGVとして見ている映像が,その字幕の情報量のためにそちらに意識の中心がずれてしまい,逆に音楽のほうがその映像に付けられたBGMになってしまうことがある。 これは,字幕の内容と音楽の展開が細かいところまで一致していないために起こる。これを避けるためには,音楽の各部分に字幕の内容をいちいちシンクロさせる必要があり,かなり手間がかかるのだろう。その貴重な例が,BSの名曲探偵アマデウスでドラマ部分の後に流れる演奏部分の字幕。ドラマ部分での玉川大学 野本由紀夫氏らによる解説の復習を兼ねて,曲の展開に合わせて構造的な解説がリアルタイムで挿入されるので,視聴者はあくまで音楽を楽しみながら曲の理解を深めることができる。 ![]() その楽曲のために個別に作成されるミュージック・ビデオには,当然ながら聴き手のイメージを膨らませるよう意図されたものも多い。このあたりのテクノ,エレクトロニカ系アーティストのPVの中には音と映像を丁寧にシンクロさせているものもあって気持ちいい。ただ,テレビやYouTube,ミュージックDVDの音源は,やはり音質的に今ひとつ。そこで,映像のみを使い,音はLilithなどでASIO出力させたくなるが,映像が音楽とうまくシンクロしていればいるほど,音楽とぴったり合わせて再生させることが難しくなってくる。 一方,音楽と映像をシンクロさせるという意味で手軽に試すことができるのが,再生ソフトの視覚効果機能。Lilithにはないが,Windows Media PlayerやiTunes,Winampなどではお馴染みの機能だ。以前は簡易スペクトラムアナライザに毛の生えた程度という印象だったが,最近のものはなかなか侮れない。WinampのMilkdropが出てきた時はその滑らかさにかなり驚いたものだが,iTunes8の新しいビジュアライザにはさらに驚かされた。 ![]() 奥行きのある空間の中を有機的に動き回るキメ細かい光のダンスには,時にストーリーさえ感じられ,これがあらかじめ組まれたプログラムによってその場で描画されているとはにわかには信じられない。昔,音楽に合わせて美しいグラフィックが表示される「メガデモ」というプログラムが盛んに作られていたことがあったが(「replay」によるシンプルなものなどが好きだった),もはやそのレベルのものが瞬間的に作られ続けているような感じだ。Rei Harakami - Wrest などはPVかと思うくらい見事にシンクロし気味が悪いほど。キーボードの「M」を押すことでパターンが変化する。 惜しむらくはiTunesなのでASIO出力できないことと,やはり音楽によっては合わないことだが,Milkdropなどと比べると目に「うるさい」パターンは少ないので,意外とクラシックなどにも合ったりする。 沢口俊之著 したたかな脳 ハイヴィジョンBGV V-music iPod touchオーナーズブック iTunes 8対応版 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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