『ナッシュ』っていうか『クナッシュ』?
ゾロ目で城攻めダイスゲーム!独語版:Knatsch/Abacus Spiele英語版:Knights/Rio Grande Games作:ミヒャエル・シャハト画:ハンス=ヤーフ・ブレームプレイ人数:2~6人対象年齢:8歳以上プレイ時間:20~40分 山札を適当に2つに分け、表を上にして置き、その公開されている2枚か、他プレイヤーのカードにダイス・アタックをしかけ、カードに書かれているお題以上の目を出せばゲットできます。 城4枚か、城3枚で王様を倒すか、城2枚&決闘(正確にはトーナメント)で3回勝利すれば、ゲームに勝利。 以上(笑)。細かいルールは他にもいくつかありますが、基本はそんなもん。たのしくあそぼ~て~ぶるげ~むでの紹介名古屋EJFでの紹介ボードゲームランドでの紹介●タイトルについて 現在日本では『ナッシュ』で流通していますが、実はドイツ語のスラングで「いざこざ、トラブル、不快なこと」という意味。頭のKは発音します。すなわち『クナッシュ』。であればこそ、ボックスアートの「べろべろばー」にも納得がいきます。 英語版では“Knights”つまり無難に『騎士たち』ですが、発音が似ているだけで関係ありません。ゲームデザイナーによるタチの悪い(笑)ジョークです。 英・独両タイトルを合成すると『不快な騎士』となり、これを絵と重ね合わせて出てくるものといえば……『モンティパイソン&ホーリーグレイル』。城の塔の上のフランス騎士と、アーサー王ご一行が罵りあいをするシーンが何度も出てきます。まあつまりはそういうゲームです(笑)。●カタログ・エディション 2000年に発売の『ナッシュ』ですが、アバクス社は2001~03年の間、毎年カタログに新カードを2枚ずつ載せていました。計6枚。そんなわけで、シャハト氏の許可を得て、ここで訳を公開します(禁無断転載)。▽セット1:新規の追加勝利条件:6が6個6を6個振ったプレイヤーは、その瞬間に勝利する。新規の特別デザイン・カード:カードダイス6このカードは「6が6個」の勝利条件を満たすために使用できる。▽セット2:新規の特別デザイン・カード:女王この特別にデザインされたカードは、新規の勝利条件「結婚」を満たすためだけに必要とされる。新規の追加勝利条件:結婚「庇護」と、新規の特別デザイン・カード「女王」の両方を獲得したプレイヤーは、その瞬間に勝利する。▽セット3:小さな道と大きな道:これらのカードを獲得したプレイヤーは(山札のカードを目標にする場合に限り)、獲得したいカードに描かれたダイス・セットだけではなく、これら小さな道/大きな道に描かれたストレートの出目によっても、目標のカードを獲得できる。「追加カードが6枚で、ボックスには5枚しか予備カードが入ってない。どうしよう?」とお嘆きのあなた。心配ありません。デッキに混ぜるのは4枚だけ。新規の勝利条件2枚は場に提示するだけですから、裏が同じ必要はありません。他のゲームのカードや、単に厚紙に貼ってもいいのです。 どうしても『ナッシュ』にこだわるなら、同じ作者/メーカーの『コロレット』を買いましょう。『ナッシュ』用のブランク・カードがオマケでついてくるのです!(註:初版は13枚でしたが、今では1枚しか付属しません)●ちっちゃくて別個のカード・セット 2002年にはエキスパンション・セット "Knatsch - die kleinen Sonderkarten" すなわち『ちっちゃくて別個のカード・セット』も発売されています。アダム・シュピーレから、まだ入手可能です。英訳はデンマークのブレット&ボードにあるので、参考にしてください。 準備: このエキスパンションのちっちゃなカードたちは、ニュータイプの特殊カードであり、ゲーム中に獲得できます。別個にこれらのカードだけをシャッフルして、テーブルの中央に、三番目の山札として置いておきます。特殊カードのルール: ゲームの基本ルールを適用しますが、以下を加えます。このエキスパンションのちっちゃなカードには特別な利点があり、獲得したプレイヤーは自分の手番にカードごとに1回だけ、その能力を使用できます。使用後、このちっちゃなカードは捨て札となり、対応する山札の下に敷いておきます。 自分の手番に獲得できるちっちゃなカードは1枚きりです。成功したなら、続けて他のカード獲得のためにダイスを振ることはできます。 「特殊カードの番人」は、ちっちゃな特殊カードを守ることもできます。 カタログ・エディションの追加カードと一緒に使用してもかまいません。カード:1.決闘での敗北!(画:決闘カードにバッテン):他のプレイヤーに対して使用。相手は決闘カードを1枚捨てなくてはならない。捨てられた決闘カードは、より枚数の大きな山札の下に敷くこと。2.決闘での幸運(画:馬頭の下にダイスのセット):決闘で、自分のダイスの目が振るわないとき、代わりにこのカードを使用できる。その場合、自分の決闘の出目は5が4つ&3となる。3.追加手番(画:大きな+1):自分の手番終了後、きちんと自分の手番をもう一度おこなうことができる。4.追加ダイス判定(画:ダイスを振る手と+1)×2枚:追加で1回ダイスをふることができる。5.特殊カードが行方不明!(画:特殊カードにバッテン):他のプレイヤーに対して使用。相手は特殊カード1枚(通常のもしくはちっちゃいの)を捨てなくてはならない。捨てられた決闘カードは、対応する大きさの山札の下に敷くこと。「特殊カードの番人」は、このカードに関しても効果を発揮する。6.特殊カード交換(画:特殊カードの下に両方向の矢印):他のプレイヤーに対して使用。相手から特殊カード1枚を取り(通常のでも、ちっちゃいのでもかまわない)、代わりに自分のを1枚(通常の、もしくはちっちゃいの)を渡す。交換用の特殊カードが内場合は、使用できない。「特殊カードの番人」は、このカードに関しても効果を発揮する。7.裏切り(画:特殊カードの山札):特殊カードの獲得をたやすくする。普通のでもちっちゃくても、特殊カードなら2が4つ&4に勝てば獲得できる。8.陰謀(画:国王):国王の追放を容易にしてゲームに勝ちやすくする。このカードがあれば、国王の追放には、4が4つ&1に勝てばよい。9.ダイスの幸運(画:ダイスを振る手と、大きな6の目にバッテン):このカードがあれば、6の目が出ても捨てることなく、振りなおすことができる。●時間短縮ルール 香港でゲームショップを経営しているアラン・クワン氏が考えたバリエーション。ティンブクトゥからリンクされ、いわばシャハト氏お墨つき。 以下のルールは、ゲームのペースを加速し、プレイ時間を短縮し、ゲーム自体をもっとエキサイティングにします。1.決闘では、主催者も3回しかダイスを振れなくなりますが、6は「はずれ」とは数えません。たとえば6の3個を決闘の目として出すことができますが、その場合4個のゾロ目には負けてしまいます。また6をキープする必要もなく、振り直してもかまいません。主催者が「決闘チャンピオン」を持っている場合、4回振れるようになり、さらに6を決闘の目として出すこともできます。(6を出せるのは4回振れることより強力に思えますから、このルールは、プレイヤーが決闘を主催することを奨励します。そうでなくては、他人に取られる可能性が充分ある決闘を、自分の行動を消費してまでおこなう価値がないからです。また「決闘チャンピオン」との強力な組み合わせも、決闘をより興味深くエキサイティングにしてくれます)。2.自分の手番ならいつでも、王の追放を試してみることができます。たとえば3つ目の城を獲得した直後など。失敗した場合、ペナルティを受けた後で、自分の手番を続けることもできます。各手番では、1度しか王の追放を試みることができません。(標準ルールでは、手番の最初に3つの城を保持している場合に限って王の追放を試みられるのですが、普通4つ目の城を獲得するほうがラクなので、誰も王を追放しようとはしないのです)。3.決闘カードを2つ獲得し、3つ城があるなら、王の追放を試みることができます。この場合、6は対決の出目として使用することも、振りなおすこともできます。したがって6を4個で、王に勝つこともできます。(このルールはゲーム時間を短縮するだけでなく、5~6人プレイにおいて「決闘カードが足りなくて勝利条件が満たせない」という事態を、あるていど解決してくれます)。●そんなこんなで 以上のすべてを投入して『ナッシュ』をやりまくってみましたが、やっぱり本当にエキサイティングになりますね。『カタログ・エディション』は勝利への道を増やし、『ちっちゃくて別個のカード・セット』はプレイヤー間に積極的なインターアクションをもたらし、『時短ルール』はプレイ中の士気を高めてくれます。みなさんもダイスをジャラジャラ振る魅力に取り憑かれてみてください。 では、Nice Dice!