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2004年12月26日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
誰しも、一度ならず押しつぶされそうになると思う。
読者やユーザーの期待、クライアントからの要望、そして何よりも、自分自身のなかのこだわり。

最後の部分があって初めて「単なるプロ」ではなく「プロ作家」になれると思っている。
そうでなければ、売文屋だ(政治家と政治屋の違いのようなもの)。
売文屋でも、ある意味よくはあるのだが、常に過去の自分より何らかの形で進歩していかなくては
最終的には市場から飽きられてしまう。

クライアントからの要望で、一番困るというか腹立たしいのは
「売れるものを作ってください」である。
その一言を、真面目に捉えすぎて、壊れたりドロップアウトしていった人間は数知れない。
そして、そうなった人々を「しょせん、実力がなかったんだ」と言い捨てるのも「違う」と思うわけである。
というか、ちょっと待て。俺たちは紙くずではない。

確かに部数が命の週間漫画誌に書いてるのなら、ある意味、最重要の要素である。
また、作家の独りよがりを押しつけても、相手は困るだけ。それでは「困ったアマチュア作家」だ。

(むろん真の意味で素晴らしい「アマチュア作家」はいるわけで、その代表がJ.R.R.トールキン)

とにかく読まれなければ、どんなに素晴らしいことを書いても、誰にも伝わらない。
エンターティナー精神のない作家は、作家としての意義はない(と、自分に対する戒めにしている)。
とはいえ……それにも、おのずと限界がある。

売る努力のある部分は、出版社やクライアントの宣伝等にあるわけで
その部分までは、残念ながら背負いきれない。つうか、背負わされると壊れるって。

作家がまず考えるべきことは「内容」であり、それ以外のなにものでもない。
そのために気をつけるべきなのは
「自分の知る限りこの世に存在していない」ものを作ること。
言い変えれば「出版するに足る」作品を常に書き続けること。
それは確実に、他の商品との「差別化」につながる。

つまりは「誰も見たことがないものを、エンターティナー精神にもとづいて書く」ということ
これを遵守するのが「プロ作家の責任」であると、強く思う。

そしてそれは、自分自身に対しても可能な限り厳しく適用しているし、身内にもしている。
おかげで、だいぶ身内に逃げられました。
「お前には人を育てる能力がない!」とかお叱りの言葉を受けたり、それはそれで厳粛に受け止め
自分も相手を叱る方法を、考え直したりしてます(昔に比べれば、やわらかくなったと最近では言われます)。

それでもやはり、プロ作家として守るべき最低の倫理があるわけで
それを踏み外された場合には、やはり叱りますね。怒ります。
きっとうちは、昔ながらの徒弟制度です。
その背後には、一人前の「プロ作家」になってほしいと思う気持ちがあります。

ぼくは、安心して背中を任せられる相手がほしい。
生き馬の目を抜くような業界だからこそ。
信頼できるパートナーがほしい。
そういう相手だったら、こちらも捨て身で作品に全力を投入できます。

内部での足の引っ張りのような、無用な政治はしたくない。
必要な外部への政治はしますがね。
つうわけで、また今度。





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最終更新日  2004年12月26日 23時25分55秒
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