2010/05/12(水)06:41
タイ政局 再び濃霧の中へ
5月3日のアビジット首相の和解推進に向けた5項目のロードマップの提案を受け、赤服デモ隊、タクシン氏は基本的に案の受け入れに同意と発表。
長かったデモは、これで一気に終結に向かうと期待と安堵が広がりました。
しかし残念ながら、その後、赤服デモ隊はデモ終結を実現するための付帯条件をあれやこれやとエスカレート。
昨日は、ステープ副首相が警察に出頭して、4月10日の武力衝突の刑事責任を追及されるまで占拠を止めないと発表しています。
4月10日の衝突で、デモ隊に大勢の死傷者が出たことはとても残念なことです。
しかし、5人以上の集会を禁止する非常事態宣言が発令中の中、政府の連日の警告や解散要求を無視して占拠を続け、一般市民に多大の迷惑と経済的損失を与えているのは赤服デモ隊。
軍が実弾を発砲したのも事実のようですが、デモ隊の一部がライフル、小銃、手榴弾、榴弾等で軍を攻撃し死傷者が出たので、自衛のために発砲した面もあります。
私は法律のことは詳しくわかりませんが、衝突の原因を作ったのはデモ隊のほうだと思います。
一方、デモ隊指導者達への逮捕状の取り消し請求が却下されたのですが、ステープ副首相が逮捕されても保釈金によって釈放された場合、自分達も同じように釈放されるべきだという含みがあるようです。
赤服デモ隊が首相の和解案の基本的受け入れを発表した際、テロ行為、不敬罪に対する恩赦の請求は一切行なわないと宣言しましたが、案の定、舌の根も乾かないうちに方針転換です。
政府と赤服デモ隊を見ていると、まるで時に体罰を与えてでも子供のしつけができない親と、優しいだけで弱気な親につけこんで際限なく駄々を繰り返すバカ息子のようです。
赤服デモ隊は、政府が強制排除という銃の引き金を引くことができないと見切り、言いたい放題、やりたい放題。
首相は、明日中にデモ隊が解散しない場合、11月14日に実施予定の総選挙の延期と強制排除をも匂わせていますが、私は女性子供も多数含むデモ隊への再度の発砲はできないと思います。
というか、やれるのなら、とっくにやっているでしょう。
一時の和平ムードで緊張の糸の切れた兵士達は、どこかリラックスムード。
夜9時半の老舗高級ホテル「ドゥシタニ」。
大通りをはさんだ対面が赤服デモ隊占拠地域のため、宿泊客がいません。ほとんど真っ暗です。
タイ政局は、再び濃霧の中へ迷いこんでしまいました。
明日の展開、読めません。
どんな出口が見つかるのか。
政府も赤服も、ギリギリの交渉、判断が続きます。
市民の肩に食い込んだ経済的損失という重りは、毎日毎日その重さを増しています。
でも、濃霧は一陣の風で一瞬のうちに取り払われることがあります。
そんな僥倖を願うしかありません。
注:デモ隊が占拠している地域に近つかなければ、バンコクに滞在していても特別な危険はありません。
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