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2008年12月06日
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テーマ:映画鑑賞(1112)
カテゴリ:邦画-1950年代
★★★★

鑑賞No:01660
製作:1959年
監督:橋本忍
出演:フランキー堺/新珠三千代

高知の漁村町で理髪店を営む清水豊松は、つつましいながらも妻の房江と一人息子の健一の3人で幸せに暮らしていた。だが世の中は戦争中で、ついに豊松にも召集令状が来てしまう。戦地に送られた豊松はある日、逮捕された米兵の処分役を命ぜられ、立ち木に縛られた米兵に向って突進し、銃剣を突き刺してしまう。戦争が終わり、高知に戻った豊松は再び幸せな生活に戻るが、それもつかの間、彼は戦犯として逮捕され、裁判で絞首刑を宣告される・・・・。

この作品は最近、中居正広・仲間由紀恵主演でリメイクされた同名映画のオリジナル版。元々は1958年にTVドラマで放映され大反響となった作品を、ドラマ同様フランキー堺主演で映画化したもの。前々から観たいと思っていた作品だったが、リメイクを機にやっと観ることができた。
名作と言われているこの作品だが、そういわれるだけのフランキー堺の名演が光る。ごく普通の理髪店のオヤジが、戦犯容疑で死刑を宣告されるが希望を失わず再審を求め努力する。ごく普通のオヤジの素顔、再審を求め努力している時の必死の顔、そして刑執行を迎えた放心状態の悲しげな顔、同じ人間かと思うほど、希望と絶望でこれだけ人間の表情は変わるものかと思わせる名演だった。
もちろん戦争や軍隊を知らない私だが、戦争中の、狂気が支配した環境下で、上官の命令=天皇陛下のお言葉と言われて決して逆らうことのできない虫けらの如し二等兵の行為に対して、死刑を宣告される虚しさ。「貝になりたい」というのはイマイチ分からないが、誰を恨んでいいか分からない虚しさから、人間不信・社会不信に陥った主人公の絶望的な心の声のようで涙なくしては観れない映画である。





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最終更新日  2008年12月06日 10時20分56秒
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