第2子-利梨の出産記録2004年9月27日(月) 長男一優の誕生は、妊娠中つわりがひどかったくらいで何事もなく、出産も4時間かからなかっただけあり、とても楽なお産であった。 ところが、利梨はお腹にいたときから何かと事が起き、こうして希望通りにお産が出来たことが本当にうれしい限りである。 事の起こりは、妊娠初期段階から始まる。妊娠が分かったあと、私は妊娠1ヶ月の頃、体にじんましんのようなものができ、薬を飲んでしまったことである。 韓国の薬は、日本のに比べるときついのか、不思議なくらいあっという間に治ってしまう。あまりにも心配になってきたため、産婦人科の先生に聞いてみると、「時期はよくないなあ~。おまけに皮膚系の薬はちょっときついからねえ。」と、追い討ちをかけるように言われてしまったのである。ところがそこまで人を不安がらせといて、すぐに「まっ、大丈夫でしょう。」となんとも楽天的なことを言い出した。 そんなため、妊娠中はそのことが気になって気になって仕方がなかった。 そして第2の事の起こりは妊娠5ヶ月のことである。 私は奥歯の詰め物が取れてきたため、安定期のうちに治しておこうと思い歯医者に行った。 これから先長くもつように金の詰め物をしたわけだが、詰める当日、その先生は金を私の喉に落としてしまったのだ。看護婦は「早く吐いて!」と言うが、寝そべっていたのですっぽり喉を通り抜けてしまって、もうどうしようもない。 「金呑んじゃった・・・・」と不安そうに先生の顔を見ると、先生も明らかにびっくりして動揺していた。 それでも私には「大丈夫!何日か経てば出てきますよ!」と・・・・。そしてここの看護婦が「大丈夫!出てきますよ。出てきたら次に来るとき持ってきてくださいね。と・・・・。 出てきたものをまた持ってきてだなんて!!!そんなことを言われてショックのためか、金を飲み込んでしまったためか、その日の夜、お腹に激痛が走った。あまりにもの痛さに病院に行こうかとためらったが、旦那のマッサージによってなんとかおさまった。 ところが、その2日後に再び同じ激痛が走り夜救急病院に行った。妊娠中なために特別な検査も出来ず、尿検査と血液検査だけをした。疑われていた尿結石でないことがわかったため、次なる原因は卵巣にある良性の腫瘍、卵巣のうしゅが原因らしいとのことだった。 間違っても「金」が原因とは考えにくいということだった。 そして出産間近になって、第3の事件だ。 旦那が来日したのは予定日より2週間前の9月24日(金)であった。今回も旦那がいる間に生まれて欲しいと思っていたので、親子3人で砂浜を散歩した。そして普段からしている妊娠体操も3倍に増やした。 それが原因となったのか、25日の夜から左腹がずきずきと痛み出した。明らかに陣痛とは異なり26日の朝になっても継続的に痛みがあるため、助産院に連絡してみた。先生は、赤ちゃんの頭はまだ上の方にあるのでお産にはほど遠いと言われたのだが、あまりにもずきずきと痛むため近くの総合病院で診てもらうことにした。 とは言ってもやはり出産間近のため特別な検査も出来ず、ここでも「卵巣のうしゅが赤ちゃんに押されて痛むという可能性が高い。」と言われた。おまけに「こんな大きな卵巣のうしゅがあるのは健康なお産とは言えない。助産院での出産は諦めなさい。赤ちゃんが下がってきたら卵巣のうしゅに当たって破れるかもしれないし、今の痛みもまた強くなるかもしれないのだから今すぐ入院しなさい。」と・・・。 最悪なパターンである。 とりあえず、痛みも我慢できる痛みだったので先生には「上の子がいるので入院は無理です」と言って家に帰ってきた。 病院でも「赤ちゃんはまだ上の方みたいだから、お産には1週間くらいかかるかもしれない」と言われたので、旦那とは「せっかく来てくれたけど、今回は家族での出産は無理みたいだね」と話していた。体操も散歩も中止してとにかく安静にしているのが精一杯だった。 そして次の朝(9月27日)、相変わらず左腹のずきずきした痛みが続いていたため、「やっぱり助産院での出産は無理かなあ。もう一回病院に検査だけでもしてもらおうかなあ」と考えてしまった。 私自身、前回同様助産院で新しい命を迎えたいという思いが強かったので、本当は病院に行くのをためらっていたのだ。 そして準備に取り掛かり、トイレに行くとなんと出血!! それがおしるしなのか、左腹の痛みと関係があるのか、不安は一気にエスカレート!! 母と旦那は「早く病院に行こう!」と私を促した。 それでも私はとりあえず助産院に電話してみた。助産院で診てもらってお産じゃなかったら病院に行こう!と・・・。 ところが先生と話しているうちに、左腹のずきずきした痛みがお腹全体に広がってきた。 私は先生にそれを伝えると「じゃあ、時間を計ってみて!」言われたのだが、前前日からの痛みで誰かにすがりたい思いもあり、もしお産じゃなかったらすぐ病院に行かなければならない、と考えると待っていられず、「とりあえず今すぐ行きます!」と口から出てしまった。 家から助産院には車で5分! すぐ超音波で見ると赤ちゃんの口がもごもごしているのが見えた。やっぱり赤ちゃん、まだ上にいるのかなあ、と思いながらとりあえず内診することになった。 ところが、さあ内診!といったところで、いきなりトイレに行きたくなった。先生はおしっこ?それとも大の方?と聞いてくるのだが、情けないながらどっちがしたいのか分からない。なぜか瞬間的にトイレに行きたいと思ったのだった。 段々強まる痛みに顔全体をゆがめながらトイレに向かうと「使用中!」。思わず床にうずくまって待つのだがなかなか出てきてくれない。仕方なく旦那に抱えてもらって2階に行くのだが大も小も出てこない!!!おまけにお腹の痛みもなくなってしまった。あまりにも楽になったので座っていると旦那と先生が「大丈夫?」と。「何も出ないけど、ちょっと座ってから出ます!」と答えると、いきなりパ‐ン!!!と破水してしまった。ようやくこれがお産だと分かると安心してしまった。 前日お産までは1週間かかるかなあ、って言われたばかりだったし半分諦めていたけど、旦那がいるときに新しい命を迎えられて本当に何よりだった。 お産自体は前回よりも余裕があったし、落ち着いてお産に望めた。前前日から2晩左腹の痛みのため、ぐっすりと眠れなくて、力まなきゃいけないときにうとうとしてしまって集中できなかったときもあったけど、旦那、一優、母、父、そして助産婦さん数人に見守られながら利梨の誕生をお祝いできたことを本当にうれしく思う。 出産前日に「今回は出産に立ち会えそうにもないね」と言っていた旦那。普段は何をするにも頼りない旦那だけど、片方の手は私の手をしっかり握ってくれ、もう片方の手で背中をずーっとマッサージしてくれた。不思議なことに陣痛がこのマッサージによってどんなに楽になることか。このときばかりは旦那がえらく頼りがいのある人に思えた。 一優は私が陣痛で苦しんでいる間、朝ごはんを食べてこなかったため、助産院でおにぎりを作ってもらい、横でくつろぎながら食べており、ときたま、私の手を握りしめて私を励ましてくれた。「突然出てきた物体!」に少しびっくりしていたようだが、特に否定するようなこともないので安心した。 それから、妊娠中の様々な困難を乗り越え、パパとママの願いどおりに生まれてきてくれた利梨ちゃん、本当にありがとう。
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