翻訳立国トラドキスタン

2007/01/03(水)13:29

情報量は数値化できるか(1)

情報量(17)

 情報量は数値化できるか(1)    量ということばで表すかぎりは、何らかのかたちで数字で表すことができるものでなければなりません。それができないのであれば、「量」という言い方を断念するのが潔い態度であろうと思います。  たとえば、学校の成績で5段階評価することを考えてみましょう。学力という目に見えず、秤で計ることができないものを数字で表現しています。  ただ、このやり方にはいささか問題があります。5と評価された者の学力が1と評価された者の5倍であるわけではありません。また、必ずしも数字を使わなくてもABCDEでもまったく同じことができます。  ここでもう一度、情報量の定義に戻ってみましょう。  情報量とは、ある情報を受け取ることによって、対象に対する不確かさ(エントロピー)がどの程度減少するかを示す量である。  見方を変えれば、ある情報子が与えられたときに、われわれがその情報子から思い浮かべることができるものが広い範囲にわたっているほど、その情報子の情報量は小さく、逆に思い浮かべることができるものがしぼりきれておれば、情報量は大きいことになります。 単に「豚」とあったのでは、生き物としての豚である可能性も、家畜としての豚である可能性も、さらには食肉としての豚である可能性もあります。仮にそれぞれをひとつの「領域」であると考えれば、単なる「豚」は3つの領域にまたがっていることになります。情報子ひとつを与えられただけで、この3つの領域のうちどれかひとつであることが確実にわかるもの(たとえば、「焼き豚」)があれば、その情報量は「豚」の3倍であることになり、「焼き」という形容子が「豚」の情報量を3倍の大きさにまで高めたことになります。  そうであれば、情報伝達の対象となるものの全体をいくつかの領域に分割し、それぞれの情報子がどれだけの領域にまたがって使われるかをみれば、その情報量を割り出すことができるはずです。

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