俺は今日も語る

2005/04/14(木)12:10

俺の健康診断

 俺の経歴には闇の部分がある。それはつい最近、一年前にできた。結核になってしまったことだ。 この闇の部分をどんなに忌み嫌っても、頑として無視しようとしても、絶対に意識せざるを得ないのだと、先日思い知らされた。 大学での健康診断は、まるで流れるように、やっつけ仕事的に終わる。普通の学生は、受付でカルテを渡され検診を受けていく。視力を測り、背丈を測り、体重計に乗って、聴診器を当てられて、写真サイズのレントゲンを撮影し、健康診断は終了する。だが俺の場合は違う。 まずもらうカルテからして違う。アルファベット二文字が「備考」の欄にある。その二文字が何を略したものかはわからないが、「この学生は結核に侵されました」を意味していることは明白だ。 視力、背丈、体重は普通に計る。一般学生との“差別化”はここから図られるのだ。 聴診器を当てる医師が話しかけてくる。難民を見るような目で、言葉を選びながら、「その後はどう?」と。俺が「順調です」と答えると、その医師は「今日はレントゲン撮らないから」と続けた。レントゲンを撮らないだって?なぜだ。普通の学生より、俺にとってレントゲン撮影は大切である。なぜなら、去年の健康診断のレントゲン撮影で“結核”が判明したのだ。だから、ほかの生徒には無用の長物でも、俺にとってレントゲンは“大事な助言者”なのだ。 さらに医師は続けた。「君は直接撮影を受けなくてはいけない。この健康診断とは別に、総合病院へ行って、レントゲンを撮るのだよ。」そう、つまり俺は特別にレントゲンを撮影しなくてはいけないのだ。そして昨日、俺は病院で撮影してきた。そのサイズは普通の健康診断で撮られるレントゲンの十倍はあった。 結核のことは嫌いである。健康診断ではこういう面倒なプロセスを経なくてはいけない。そして何よりも、俺を孤独にした。薬を飲んでいる期間は、安静を心がけなくてはいけなかったし、酒も控えさせられた。 でも、結核になって良かったこともある。いや、本当に。禁煙できたし、孤独の間はかなりの本を読んだし。あの読書量のおかげで、かなり知識が身についたと思う。結核になってなかったら、俺はなにも知らない学生だったと思う。 「健康診断で面倒なプロセスを経る」って言うのも、諸刃の剣で、「特別待遇をうけている」とも言えるしね。 でも、もう結核にはかかりたくないね(笑)

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