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カテゴリ:レッスン風景
「去る者、日々に疎し(うとし)」
行ってしまった人は、だんだん忘れられていくものだ というような意味のことわざですが 生徒さんの演奏で しばしば ある楽節(音楽のひとかたまりです)が 「まだ去っていない」のに忘れ去られて鳴っている という状態になることがあります。 『A楽節・B楽節・A楽節』 という三部形式の曲をレッスン中のXちゃん。 Aが4拍子で、ゆったりしているのに対し Bからは急に3拍子に変わって 右手は重音奏、左手の動きも速くなるため Bに入る直前のAの最後の部分がとんでもなく雑な音に。 つまり、次の難しい部分に気持ちが飛んでしまって Aの最後の音まで聴いていられないのです。 聴かないで鳴らしたフレーズは 「強さにムラ」「リズムが不安定」「外れる音」の三重苦でして 大変 悲しい音がします。 ここは一つ、Xちゃんに 「A楽節の気持ち」になってもらいたい。 私 「突然だけど、Xちゃん 今はあなたのレッスンの時間だけど Xちゃんの後も、次の生徒さんが来るよね?」 X 「うん。」 私 「その次の生徒さんが見えたとき 私が、そっちの生徒さんに気をとられて Xちゃんには 見向きもせずに 次の生徒さんを『こんにちは~』とお迎えしたら 結構、悲しくない?」 X 「…悲しい。」 私 「でしょう? A楽節がまだ終わっていないのに 気持ちを全部B楽節に向けてしまうのは A楽節に失礼よ、 ちゃんと最後までお見送りしてあげてね。」 X 「・・・うん。」 ちゃんと聴いてくれるようになりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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