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カテゴリ:トラばなし
今年の11月は、アンサンブル中心でオケはない・・予定でしたが、いきなり入ってきました。一ヶ月前。 《大阪工業大学管弦楽団 第3回定期演奏会》 日時:2017年11月23日(木・祝)17時開演(16時開場) 場所:ムーブ21(守口市生涯学習情報センター) 曲目:「魔笛」序曲/モーツァルト
指揮:国沢晴香 以前に奈良女子大学のエキストラにお誘いくださった方から、「直前になってエキストラ手配が不調なことがわかったらしい、当日だけでも良いから」という連絡があり、これは大変だろうな、と本当に「当日だけですが・・」ということでお受けしてしまいました。当初は二人?と言う話もあり、セットでトラ探しも合わせて依頼が(笑)。 演奏曲目別の詳細内容は、次のとおりです。 ・モーツァルト:「魔笛」序曲 (4回目) 2Pult中1Pult In 独弓、4弦、エクステ未使用 ・シューベルト:交響曲第7番「未完成」(8回目) 2Pult中1Pult In 独弓、4弦、エクステC下げ ・ベートーベン:交響曲第3番「英雄」(5回目) 2Pult中1Pult In 独弓、4弦、エクステC下げ 後述しますが、オケとしても余力は無かったようで、アンコールはありませんでした。対向配置だったこともあり、1プルトで並ぶとどっちがトップかわかりにくいですね。しかも今回は一人譜面台一本だったのでプルトの概念が薄くなって、尚更「ヘッド」な位置がまったりしていたように思います。 コントラバスパートのステージ配置は前2-後2(人)。私は前列木管寄りでした。 演奏会場は、ムーブ21(守口市生涯学習情報センター)という文化施設の上階にある、イベントホールです。モノレールや地下鉄の大日駅からすぐ近くで、駐車場も隣接のTimesが上限設定ありで比較的リーズナブルな価格設定でした。駅前(上?)にはイオンモールもあり、便利なところです。大阪工大を運営している学校法人は立派なホール(常翔ホール、OITホール)を持っているのですが、まだ学内でのプレゼンスを上げている最中、ということもありそちらのホールはまだ使っていないようです。早くこれらのホールで公演が出来るようになるといいですね。 こちらムーブ21のホールは多目的な最近のホールに共通した、客席せり出し、床せり上げで、フロアレイアウトが自由に出来るもの。そこをひな壇状にアレンジしての配置。 弦セクションは、9-7-7-5-4の対向配置というピリオド演奏のようなサイズでしたが、コントラバス4本中5弦が2本とエクステンダー1本でC下げまで出来ることから、往年のロシアオケがお好み、というマエストロに合わせ、おもいっきり下げていくこととしました。 なにせ現役団員が9人、というオーケストラを運営できるかどうかギリギリな人数。弦楽器も各楽器一人ずつですので、普段の練習やエキストラ奏者探しも大変だったことと思います。 コントラバスメンバーは、団員の方1名と樹フィルメンバーの若いMさん(5弦)、そして私と私からお願いした同じく八幡オケで5弦を弾いてくれているI嬢。私以外は(多分)20代という、年齢的には超GAP感あるメンバーでした。でも演奏し出すとそんな気持ちは全くなく同じ音楽に向かっていけるのが、オーケストラのすばらしいところです。 指揮は工大オケOGの国沢さんが、全曲を担当されました。仕事の合間を縫って指揮の準備だけで無く、エキストラの差配パート調整、現役学生さんへの運営指導等、まさにオケを引っ張って行っているエネルギッシュな方でした。楽器がトランペットということもあり、以前お世話になった吹奏楽団(KBS)のさやか団長がまぶたに重なって、ちょっと胸に迫るものがありました。 それもあって、一所懸命に指揮台で格闘している姿にほだされ、色々出過ぎたアドバイスまでしてしまって、顰蹙買ってしまったかもしれません。。他のエキストラの皆様の前で、お恥ずかしい限りです(><) 演奏曲目は、ウィーン古典派からロマン派入り口までの大作曲家をたどった、王道プログラム。学生オーケストラで良く取り上げられる曲ですが、何度やっても弾き飽きず、また課題を突きつけられる名曲ばかりです。コントラバスも、どれも難所を持った充実したパートを担当している曲ばかりです。 1曲目の「魔笛」序曲は天才モーツァルト最晩年の作品だけあって、非常にデリケートな扱いが必要なのですが、その上で溌剌とした生命力を見せないといけない曲。弦楽器は特に右手のコントロール(弓捌き)が難しい曲の一つです。 演奏的には序奏のテンポ設定と主部へのつなぎが難しいところですが、序奏はかなり速めのテンポ設定もあり指揮の分割もなく、すっと主部に入っていく感じでした。指揮は色々悩んだみたいでしたが、本番上手くいきました。この手の曲は演奏経験豊富な弦楽器エキストラ陣により、安定した仕上がりとなりました。楽譜は久しぶりにブライトコプフの旧版を使用しました。この譜面を見ると演奏がロマンティック側に倒れてしまうのが不思議です。譜づら、って大事だなと思ってしまいます。 2曲目はシューベルトの「未完成」。交響曲としての番号も8番だったり7番だったりとするのと合わせ、演奏スタイルも色々なものが出てきている曲です。今回は昔ながらの古い版を使っていることから、例の「ヘアピン」はディミヌエンドで演奏する、安心感ある優しい解釈のものでした。この曲は1楽章冒頭の「地の底からやってくるような」コントラCisまで下がる低弦の旋律、そして同じく1楽章展開部に入ったところの「地の底まで降りていく」コントラCなど、4弦のコントラバス(最低音がE)ではまことに歯がゆい場所がある曲で、今回は4人中下を弾けるのが3人という強力なC線対応が効果を発揮しました。チェロパートの皆さんもバスとのバランスを意識しながら音量を調節してくれる大人の対応で、本番は「バス大きめ」のかなり良い感じのサウンドが出来上がりました。 ここ数回の「未完成」の中では、ここの部分の個人的満足度はかなり高かったです。 メインはベートーベンの記念碑的作品交響曲第3番「英雄」 「第九」作曲前のベートーベンは、最もお気に入りの自作交響曲は、この「エロイカ」だったとか。 「運命」の凝縮されたパワーも素晴らしいものがありますが、私も実は「英雄」の雄大さ、伸びやかさと揺るぎない構築性が大好きで、お話しを即答でお受けしたのも、たぶんこの曲が演奏できるから、だったからだと思います。 1月の「西陣お弁当オーケストラ」さんで久しぶりに演奏(=エクステンダーを使って低音拡張した演奏)したのに続き、今回もエクステンダーで音を下に拡張しての演奏です。 前回はとにかく下げるのに懸命(なにせ2本でしたから)でしたが、今回は後ろに2本5弦が控えていることもあり、「ここぞ」というところに絞って下げることが出来たことから、かなり余裕を持っての演奏が出来たように思います。この曲の特徴であるフガート部(2楽章の中間部、4楽章の中間部と後半)は弦楽アンサンブルの難所でもあるところですが、ここはリハーサルでも繰り返しての練習をお願いしたことから、本番は大きな崩れもなく無事通過することが出来ました。 今回のメンバーです。20代3人とおっさん1名。 それやこれやで、かなりの時間をリハーサルで費やしたこと、エキストラが中心のオーケストラで学生の皆さんの余力も無かったことから、アンコールはありませんでした。 お客様は団員のお知り合いの方が中心でしょうか、数十名の方がお越しくださっていました。 そういえば宣伝もチラシの挟み込み等は無かったようで、学生さん達がよく使っているTwitterとLINE、そして口コミと学内の宣伝だけだったのではないでしょうか。エキストラの皆さんの熱いサポートと現役の皆さんの必死の演奏で出来は結構良かっただけに、宣伝も「来ていただけそうなお客様に届きやすいメディアで、適切なタイミングで情報をお伝えする」気持ちでやり方を考えれば、もっとお客様も集まるのではないでしょうか。今回のような演奏を続けていけば、もっと大きいホールで演奏しないといけなくなる日もきっとすぐに訪れると思います。 2日後に自オケの演奏会も控えていたことから、打ち上げは残念ながら参加せず、自オケバスパートの方と、現役学生さんのバス弾きさんと近所のイオン内で軽くお茶してお話ししてました。 何と大学入学時から初心者でコントラバスを演奏しはじめ、全く独学だそうです。。これはつらい。 ぜひ先生について、早く上達していってほしいものです。 生まれたばかりに近い若いオーケストラに触れ、そう言えばここのところずっとお世話になっているS医大オケさんも、学生時代にお邪魔した頃(第9回の演奏会でした)は10数名のメンバーで学校近くの施設で演奏会をしていたことを思いだし、そのオケが今や単科に近い大学で団員50名、普段の練習で全パートはもちろん、弦が8型くらいで学生さんで綺麗に揃ってしまう(もちろん実力も、そこらの市民オケに十分張り合えるくらい)ことを考えると、あと数十年すれば、工大オケもきっと大勢のメンバーを抱えた素晴らしいオケになることと思います。その頃には私はこの世にいるかどうかもわからない歳かも知れませんが、もし生きていれば、その様子を拝見したい! と切に思いました。
・川合 良一/秦野市民交響楽団(1992/10) ・堀 俊輔/東京グリーン交響楽団(1992/11) ■シューベルト:交響曲第7番「 未完成」(演奏旅行での演奏を除く) ・セルジョ ソッシ/桜美林オーケストラ(1991/12) ・上野 正博/ニューシティー・オーケストラ(1992/03) ・川越 守/エルムの鐘交響楽団(1994/12) ・関谷 弘志/駿河フィルハーモニー交響楽団(現:三島フィル)(1996/11) ・川本 貢司/東京グリーン交響楽団(1998/11) ・有馬 純昭/びわこフィルハーモニーオーケストラ(2009/04) ・長田 雅人/京都市民管弦楽団(2015/11) ■ ベートーベン:交響曲第3番「英雄」 ・上野 正博/ニューシティー・オーケストラ(1992/03) ・堤 俊作/富士フィルハーモニー管弦楽団(1996/07) ・(初) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.12.25 20:49:34
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