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カテゴリ:八幡市民オーケストラ
節目の50回記念演奏会を越えての最初の自オケ演奏会、天気も良く、久しぶりに団の5弦を使って低音全開の演奏を楽しむことが出来ました。
《八幡市民オーケストラ 第51回定期演奏会》日時2018年5月27日(日) 場所 八幡市文化センター大ホール 客演指揮 森口真司 ヴァイオリン独奏 玉井菜採 曲目 ムソルグスキー 交響詩「禿山の一夜」(原典版) チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 (ヴァイオリン独奏:玉井菜採) (ノーカット版) ラフマニノフ 交響的舞曲 演奏曲目別の私の演奏位置と使用弓、演奏回数は以下のとおりです。 ・ムソルグスキー:はげ山の一夜(原典版) (初) 3.5Pult中3.5Pult 一人弾き 独弓、5弦(団楽器) ・チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲(ノーカット版) (2回目) 3Pult中3Pult in 独弓、5弦(団楽器) ・ラフマニノフ:交響的舞曲(初) 3.5Pult中3.5Pult 一人弾き 独弓、5弦(団楽器) (アンコール) ・ハチャトリアン:「仮面舞踏会」組曲から「マズルカ」 ・ラフマニノフ:交響的舞曲 3楽章後半 3.5Pult中3.5Pult 一人弾き 独弓、5弦(団楽器) (参考:ソリストアンコール) ・バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番ホ長調 BWV1006から「ルール」 演奏会場はいつもの「八幡市文化センター大ホール」。第50回記念定期演奏会は、超大型の台風21号接近の中での大荒れの演奏会で、お客様も500人台となりました(あの天候の中、来てくださったこと自体大感謝なので、数のことなんかはとても言うことできません)が、今回は梅雨入り前の好天で、ソリストの玉井先生効果もあり、700人を越えるお客様にお越しいただきました。ホールの定員が1200名ですので、まだまだお客様に来ていただくことが可能です。がんばろう(笑)。 コントラバスのメンバーは、50回演奏会後イクメン産休に入られたT山氏以外は全員そのままスライド登板による、7名体制。ただ、ヴァイオリン協奏曲だけはどうしても数が多すぎる(といってもチェロも・・・・)ということで、前日ゲネに乗れないことが早くから判っていた方に降板をお願いし、6名での布陣でした。今回は1名減ですが、オーケストラのサイズも少し縮んだので、エキストラはお願いせず、オール団員でのステージを連続して実現できました。 ステージ配置は前列4人後列3人。前回の4管編成に比べると全体のサイズが小さくなった(14-12-10-9-7)ことからベースパート周辺もスペースが出来(笑)、特にVaパートが1プルト中に折り返してくれたおかげで、前列に4人が入れることになりました。これで後列も余裕がもて、上手からの管楽器奏者の移動動線も確保でき、久しぶりに余裕をもった空間で演奏が出来ました。 指揮は常任客演(?)の森口先生。2年に一度は八幡オケを振っていただいているし、長年のお付き合いのメンバーもいたりで、いわゆる「マエストロ」としてのやりとりとは少し違った独特の距離感と一体感があり、特に今回のような複雑な曲の時はほんと、助けていただける、という感じです。そういえば、マーラーの交響曲第9番や、ショスタコーヴィチの交響曲第10番、プロコフィエフの交響曲第5番なども森口先生でした。逆に私たちが、森口先生となるとちょっと背伸びして難しい曲にチャレンジしてしまうのかも(笑)。 1曲目は「禿げ山の一夜」原典版。意外なことに、よく聴く「リムスキー=コルサコフによる編曲版」でも演奏履歴が無く、これが初めてということになりました。楽譜も持っていたりするのですが、多分学生時代の後輩達の一回性オケのお手伝いとか、演奏会のカウントに入らないもので合奏に加わったのかも知れません。 この原典版、存在自体はアバドの演奏とかで知っていて「別モンの曲みたい」程度に思っていたのですが、楽譜をもらってビックリ。まぁ・・むちゃくちゃなオーケストレーション、というかパート譜です。 よく名曲解説に、「この曲は当初初演するオーケストラから演奏不能と拒否され」なんて曲があり、今じゃそういう曲も普通にアマチュアが演奏したりもする(というか、そもそもプロなので、弾けないというより「弾きたくない」の言い訳なような気もする)んですが、この曲は真剣に「演奏不能です」と声を大にして言いたかったです。 そもそもダイナミック指定が普通じゃない。fffからクレッシェンドとか、mfからディミヌエンドしてfとか。。八分音符一個でクレッシェンドとか・・ これはコントラバスだけで無く他の楽器も遍く似たような記法があったようで、さすがに森口先生が整理・訂正を全楽器にわたって指示する事態となりました。ただ、このむちゃくちゃさが原典版の良いところでもあるので、整理は最小限の範囲に留められています。とにかく強弱、音色を極端にして「異常さ」「ヘン(?)さ」を際立たせることを狙うとのことで、最近上手なオケにお邪魔してはビクビクしながら弾いていた私にとっては、ある意味「解放された」演奏が出来ました。勢い余ってGW前にピチカートする右手人差し指の爪を割ったのも、この曲でした。 2曲目はチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。ソリストはこちらもほぼ2年に一回のペースで客演してくださっている、玉井先生。京都生まれ、滋賀育ちというご縁はあるにせよ、東京芸大の教授も務めておられる日本のトップヴァイオリニストと共演できるのは、幸せ、としか言いようがありません。 曲も前後の近代曲や特異な曲に挟まれた中で唯一「まとも」(笑)な曲として、特に弦楽器メンバーからは、「この曲の練習になるとホッとするわー」という声もチラホラ。 しかしわかりやすい名曲だけに、アラも目立つ。縦のずれ、ピッチのずれも「恥ずかしい」演奏に直結します。両側のややこしい曲に挟まれて、練習時間もどうしても制約を受ける中、玉井先生とストラディバリウスの力に頼ってというかおすがりして何とかなった・・かな、という感じでした。 それにしてもこの難曲を大きなミスも無く、音程も当たり前に決まって行き・・凄いものです。 私が以前演奏した時(なんとN響コンマスの麻呂様と!)は、3楽章に「慣用的な」カットが入った演奏でしたが、今回はノーカット版による演奏。さらに3楽章では慣習的に遅く演奏している「人工ハーモニックス」によるソロ演奏部分(直後のオーボエの旋律からテンポが遅くなるので、それを先取りして遅くした感じになります)も、インテンポ、楽譜どおりでの演奏になりました。これはこれまでCDも含め聴いたことが無い新解釈、というか楽譜に忠実な演奏で、新鮮な印象を受けました。 本番は前日、当日午前のリハーサルよりもさらに表現の幅が広がり、気迫のこもった演奏(後で知ったことですが、プライベートなご事情があったとのこと)。カデンツァのある第1楽章が終わったところで、お客様からの控えめな「ブラヴォ」と拍手が起こるほどでした。楽章の途中ではありますが、さもありなん、という納得の拍手だったように思います。私はこういう反応をしていただけるの、好きです。オーケストラ側は合わせていくのに精一杯な感じで、とてもソロとオケとの対話とか、対比などに至らなかったなぁ、というのが感想です。もちろん彼我の力の差は歴然なのですが、それでもソリストと対峙する役割をになったからには、気圧されず、せめてテンポの動きくらいはカウントして呈示できる心の強さがほしいなぁ、と反省した次第です。 アンコールは、バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番から「ルール」。玉井先生のアンコールはこれまでもバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータからの曲が多く、共演を重ねるうちに全曲アルバムができないかしらん、と密かに期待してしまったり(笑)。けど、シャコンヌとかはアンコールという訳にはいかないですね。 3曲目はラフマニノフの「交響的舞曲」。 ラフマニノフの管弦楽の曲というと、交響曲第2番やピアノ協奏曲第2番が有名ですが、これはどちらもロシア時代の作品で、今回演奏した交響的舞曲は、その後のアメリカ移住後、最晩年の作品となります。演奏会で取り上げられる頻度も先の両2番に比べるとぐっと落ちますが、これらの次に演奏される曲のようです。ちょうど今年は東京や近隣のアマチュアオケ、また京大オケも取り上げるということで、少しブームのような様相を呈しています。また、吹奏楽では終楽章を中心とした編曲版がコンクールの自由曲で取り上げられるなど、意外とポピュラーなようです。曲も何度か聴いたことはあるのですが、大体1楽章のSaxが登場する甘いメロディーだけが(自分が過去吹いた楽器でもあり)印象に残って、2楽章以降はさっぱり記憶に残っていませんでした。もちろん私にとっては、初めての演奏機会。 1楽章は、第1主題からいきなり譜面に無い5弦領域(コントラC)を使った音型と、かっこいい打ち込み。アンケートで小学生と思われる方から「コントラバスのズン、という音がかっこいい」と書いてもらえて、ちょっとうれしかったりします。Saxは客演の方。とてもお上手で、クラシック奏法のSaxの太い音がホールを埋めていました。コントラバスはその前の木管楽器群のハーモニーから弦楽器とピアノ(客演)の旋律まで、1プルトを除いてお休みであり、美しい旋律を堪能することが出来ました。 それにしても、ピアノの転調のような強引な半音単位の転調の動きとか・・難しい。木管楽器も一人のピアニストが分散和音を両手で奏でるようなアンサンブルを求められ、かなり難儀していました。 2楽章は6/8拍子のワルツ。そろ~っと入ってくる辺りとかは痺れてしまいますが、そこをはっきり頭を示すのがバスの務め。テンポの揺れもお約束のものは無難に入っていった感じでしょうか。この楽章もチャイコフスキーと同じで、オケに「どこで入ったら良いのか怖い」という空気が支配するときがあり、かなりドキドキでした。 終楽章(3楽章)は、変拍子の上にヘミオラも入って、お手つきしやすいけどかっこいい楽章。以前演奏した「エル・サロン・メヒコ」(コープランド)もリズムがややこしくて、最後まで苦手感が残りました。この曲はそれよりはだいぶマシでしたが、それでもリハーサルで何個かお手つきしてしまい、周りに迷惑を掛けてしまいました。高弦やら木管はさらに音符が細かく、転調の難しさも相まってかなり大変そう。こりゃ難しい曲だ。。本番はテンポも少し速めとなり勢いのある演奏でしたが、やや滑ってしまったところもあり、カウントの大切さを再認識した次第です。 この曲の開始前、入場した後でオーボエ奏者から「チューニング用のチューナー持って入るの忘れたらしい!貸してあげて!!」といって、チューニング用に持ち込んでいたのを奪われてしまい、やや不安な中での演奏となりました。実際にはG線からE線まではZyex(ダダリオ)というシンセ弦なのでチューニングの安定度は極めて高く、ほとんど狂わないのですが、C線だけはヘリコア(これもダダリオ)というスチール弦を張っていることから、C線は温湿度で若干狂って来るのです。C線がZyexじゃないのは、品揃えとしてC線がラインアップされていない、という単純な事情から。やっぱりC線は若干ずれたようで、リハーサルの時よりはコントラCのパワーが落ちたような気がしました。ほんと、低い音の音程って難しい・・けどオケ全体のことを考えたらオーボエ優先なのは仕方ないことです。 アンコールはハチャトリアンの「仮面舞踏会」組曲(冒頭のワルツがフィギュアスケートでよく使われて有名)から「マズルカ」。以前に滋賀医大オケで2回ほど演奏しましたが、さすがに余裕の演奏でした。そして当日になってマエストロから「3楽章の練習番号90番からもう一回、もし拍手が続いてたらやるよ」との指示。2回目の3楽章ラストは(当然ながら)イケイケの演奏となりました。後で聞いたところによれば、八幡オケで2曲アンコール、というのは初めてではないか、とのこと。玉井先生のアンコールもあり、今回のお客様はラッキー(?)かな。さすがに2回目の演奏後は最後の銅鑼の爆発に間髪入れずの拍手で、大盛り上がりで締めくくることが出来ました。 それもあって終演は予定時間をオーバーしてしまい、撤収にはだいぶバタバタしてしまいました。天気も良くやや蒸し暑かったこともあって、楽器運搬メンバーは汗だくとなってしまいました。打ち上げのビールが二重でおいしくなるパターン(笑)。 その打ち上げはいつもの「豊川」。今回は特にトラブルも無くスタート。参加人数もいつもよりは少なめで、スペースも食事も若干余裕があったような。私は車ということもあり、ノンアルを持ち込んでの歓談。楽器弾いている間は喋れないし、パートのメンバー以外とはなかなか話す機会の少ないのがオーケストラなのですが、こういう機会でいろんなパートの方とゆっくり話が出来、楽しいですね。ずっとお世話になっている滋賀医大オケの出身者が今回の演奏会からまた一人加わってくれて、総勢4名。デビューをお祝いすると同時に、若手メンバーとしてこれから世代交代の核となって活躍して欲しいなー、と思う次第でありました。 次回八幡市民オケの定期公演は10月21日(日)、第52回定期演奏会となります。三河先生の指揮の下、曲はベートーベンの交響曲第8番、ドヴォルザークの「アメリカ組曲」、そしてバルトークの「管弦楽のための協奏曲」という、今回の交響的舞曲同様に難しい、これまたアメリカに亡命した作曲家の晩年の作品というプログラムです。その前に7月にも練習場の公民館でふれあいコンサートを行いますが、こちらは近隣の方中心と言うことでプロモーションなしでの小さな演奏会となります。過去の演奏経歴です。通算308ステージ目。 ■ムソルグスキー:はげ山の一夜 ・(初) ■チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ・磯部 省吾/篠崎 史紀/富士フィルハーモニー管弦楽団(2000/7)(カット版) ■ラフマニノフ:交響的舞曲 ・(初) 八幡市民オーケストラでの演奏履歴(通算34ステージ目)です。場所は、ファミリーコンサートは男山公民館。それ以外はすべて八幡市文化センター ・第28回定期演奏会 2006/10 (ファミリーコンサート) ・やわた市民音楽祭 2007/1 (ヴェルディ:レクイエム) ・第29回定期演奏会 2007/5 (ブラームス:交響曲第2番他) ・第30回定期演奏会 2007/11 (マーラー:交響曲第5番他) ・第31回定期演奏会 2008/5 (ショスタコーヴィチ:Vn協奏曲第1番他) ・やわた市民音楽祭 2010/1 (平野一郎:八幡縁起、ベートーヴェン:交響曲第9番) ・ファミリーコンサート 2010/7 ・第36回定期演奏会 2010/11 (ドヴォルザーク:交響曲第7番他) ・室内楽演奏会 2010/12(兵士の物語から) ・第37回定期演奏会 2011/5 (ブラームス:交響曲第4番他) ・ファミリーコンサート 2011/7 ・第38回定期演奏会 2011/10 (ブルックナー:ロマンティック他) ・八幡市文化協会設立10周年記念事業いきいきコンサート 2011/11 (魔弾の射手序曲他) ・第39回定期演奏会 2012/5 (マーラー:交響曲第9番他) ・ファミリーコンサート 2012/7 ・第40回定期演奏会 2012/10 (ドビュッシー:「海」他) ・室内楽演奏会 2012/11(プロコフィエフ:五重奏曲前半他) ・第41回定期演奏会 2013/5 (メンデルスゾーン:イタリア、「ローマの祭り」他) ・ファミリーコンサート 2013/7 ・第42回定期演奏会 2013/10 (シューマン:交響曲第2番他) ・室内楽演奏会 2013/12(Pirats of the Caribbian他) ・第43回定期演奏会 2014/5 (ショスタコーヴィチ:交響曲第10番他) ・ファミリーコンサート 2014/7 ・第44回定期演奏会 2014/10 (ブラームス:交響曲第3番他) ・室内楽演奏会 2014/12(プロコフィエフ:五重奏曲後半他) ・やわた市民音楽祭 2015/2 (チャイコフスキー:白鳥の湖から) ・第45回定期演奏会 2015/5 (チャイコフスキー:交響曲第6番他) ・ファミリーコンサート 2015/7 ・第46回定期演奏会 2015/10 (シベリウス:交響曲第5番他) ・やわた市民音楽祭 2016/1 (平野一郎:八幡大縁起) ・第49回定期演奏会 2017/5 (ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界から」他) ・第50回記念定期演奏会 2017/10 (R.シュトラウス:「英雄の生涯」他) ・親子コンサート&室内楽の集い2017 2017/11(J.シュトラウス:「美しく青きドナウ」他) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.06.06 19:00:04
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