西宮きらきら母交響楽団 第1回T-raum ダンスクリエーション(録画賛助:2021/5/20)
コロナの影響、というよりコロナ対策の行政混乱により、文化芸術イベントは右往左往しています。この演奏会も昨年延期となり、ようやく開催目前となったところで緊急事態宣言延長。再度一ヶ月の延期となりました。平日から平日への急なステージ振替えとなったため、私も本番は出られないままステージリハーサル+一部本番録画という形までの変則的な参加となりました。 これをカウントするのかどうか微妙なところではありますが、公式レコーディングということで、本番未登場ですが履歴としてカウントすることとしました。奇しくもこれが私にとって、オケピットデビューとなりました。《第1回T-raum ダンスクリエーション》振替公演についてのご案内2021年5月20日(木)→6月23日(水) 19:00開演兵庫県立芸術文化センター 大ホール振付 ユーリ・ン、瀬島五月、三崎彩、田村映水子指揮 田村ゆう子管弦楽 西宮きらきら母交響楽団チケット S席8,000円、A席6,000円、B席4,000円、C席2,000円++++++++++演目瀬島五月(バレエカンパニー・ウェスト・ジャパン代表)振付『運命』~交響曲第5番『運命』(ベートーヴェン)~パフォーマンス: 石本晴子、佐々木夢奈、飯田慧、瀬島五月、アンドリュー・エルフィンストン、片岡典子、藤本瑞紀、清田カレン、藤本華奈、吉田裕香、大久保彩香(バレエカンパニー・ウェスト・ジャパン)田村映水子(ドイツ在住)振付曲目未定(延期により、「フィガロの結婚」序曲から音楽変更のため)パフォーマンス:山本優里歌(ドイツ在住)三崎彩(オランダ在住)振付『夢境』~くるみ割り人形 より 行進曲(チャイコフスキー)&浄夜 より(シェーンベルク)~パフォーマンス:河野早百合、貴島佳子ユーリ・ン(香港シティ・コンテンポラリー・ダンス・カンパニー芸術監督)振付『a wake in my sleep』A Film By Yuri Ng and 1930 Collective~交響曲第5番 より 『アダージェット』(マーラー)~パフォーマンス:ユーリ・ン(香港から映像参加)Special appearance: Madame Cho, Noel, YanCasts: Red, Window, Bo, Kwan, Ethan, Oscar, YilongCreative Directors: Elysa Wendi and Yuri NgFilm Direction: Elysa WendiCinematography, Production design and Art Direction : Wong Liang YihEditor : Shing LeeStill Photography and Assistant Director : Chan Hau ChunGaffer: Wilson HuangCamera Assistant: Chui Chih YinProduction Assistant and Art department : RedMake up artist: Annie LaiPost Production Management: Pica Pica Media演奏曲目別の詳細内容は、次のとおりです。 ・ベートーベン:交響曲第5番「運命」Breitkopf(旧)版 (7回目) ・モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲 Breitkopf(旧)版(5回目) ・チャイコフスキー:バレエ「くるみ割り人形」から「行進曲」 (9回目) ・シェーンベルク:浄められた夜(前半部分) (初) ・マーラー:交響曲第5番第4楽章「アダージェット」(4回目) (すべて共通) 1Pult中1Pult Out 独弓、4弦、エクステは運命と浄夜で使用(low-C) 会場となった兵庫県立芸術文化会館(KOBELCOホール)は、5月GW明けの緊急事態宣言が延長となった地域のまっただ中になります。4月は完全閉鎖に近かったのですが、延長時にホールへの規制が緩められ、定員を絞った開催は可能になっています。そのため一部のアマチュアオーケストラは公演を実現出来ました。こちらの催しは本番を6月にスライドさせ、本来の公演日であった5/20をリハーサル日(リハーサルなので無観客)としての対応です。 ホールでのリハーサルは、バレエとの合わせおよび録画(レコーディング)が中心になります。ステージはバレエに譲って、オケはピット内に収まります。念願の人生初ピット演奏となりました。これが本公演でないのがとても残念です。 オーケストラはピットを想定した、弦楽器の薄い編成になります。このリハーサル時点で、上から(8-6-5-5-2人)くらい。暗くて、パンフレットもないので数はかなり誤差ありそうです。本番はコントラバスは4人の見込みとのことですが、私はあいにく本番当日仕事があり出られないことから、他の弦楽器編成は見届けられなさそうです。 管楽器は出番のある最大のものがチャイコフスキーということで、チューバはリハーサルにはいらっしゃいませんでした。本番はこの曲(行進曲)のためだけに来るのかな、とか気になってます。 並びとしてはオケピットということで、弦楽器を全部下手に寄せ、管楽器が上手。管楽器は前列が木管(1列目Fl/Ob、2列目Cl/Fg)、後列に金管(3列目にTp/Hn,Timp横にTrb)、弦楽器は外から1st-2nd-Va-Vcで、Cbは弦楽器の後ろに陣取る形です。 コントラバスは二人なので、指揮者の真向かいに一列横並び。譜面台は一人一本です。当初20日本番に向けては、トップのNさん(オペラパーク管)からのオファーがあったメンバーで、私以外はS田さん(以前に阪大オペラでご一緒しました)、T治さん(芦響)という強力メンバー。20日は木曜ですが、有給休暇を申請しての参戦でした。 残念ながらこのメンバー、スライドした6月は皆有休が確保できず、本番は結局別メンバーでの演奏となります。(延期決定してから1ヶ月先程度の平日なので、メンバー探しは大変だったようです。。) 結局本番は別のチームとなりましたが、そちらのチームはそちらで20日の平日に対応が出来ないため、当初20日と思って有休とっていたメンバーのうち、有休返上していなかったT治さんと私とで20日のリハーサル、および録画への演奏に対応することとなりました。 で、目の前にやけに性能の良さそうなマイクがあるんですが・・・(笑) 指揮は田村ゆう子先生。今回初めてご一緒させていただきます。バレエが得意分野とのことで、かつてお世話になった「ドンちゃん」こと堤俊作先生を思い出します。この演奏会も田村先生の強い思いと人脈で立ち上がった企画と伺ってます。きらきら母響さんとは女性指揮者と言うこともありお付き合いが長いようです、塚口には自前の練習場もお持ちというのにびっくりでした。 練習中に岡山大オケの話しが出てきてびっくりしたのですが、保科先生(岡大オケを永年率いておられます。私も学生時代、社会人時代にオケや吹奏楽でお世話になりました)に師事されていたとのこと。納得です。 バレエの皆様については、私は現代バレエ畑に詳しくないのでアレですが、オンライン含め海外からも参加という国際的な顔ぶれ。 さて、今回のステージですが、基本は「バレエ公演」です。なので、オーケストラはピットの中での演奏。けど、音楽はどれも通常のクラシック名曲です。これに振り付けして踊る、というコンテンポラリーなバレエとなります。 まずいきなりクラシックを代表すると言っても過言ではない「運命」です。しかも全曲ノーカット。ノーカットどころか、1楽章も4楽章も繰り返し全部やるという徹底度合い。(実は繰り返しは無しのつもりの所もあったみたいですが、踊る側が繰り返しありの演奏で尺を取ってしまったらしい・・) 楽譜はBreitkopfのいわゆる「旧版」での演奏です。学生時代以来慣れ親しんだ、Vcと一緒になっているパート譜なので、用意してくれていたデータではなくて、過去の譜面を引っ張り出しました。(多分嫁の(笑))演奏する側も冒頭からがっつりの演奏です。踊り側は楽章単位でメンバーが交代しますが、こちらは交代要員無し(あたりまえか・・)。演奏会でも長さ(約40分弱)の割に疲労度高い曲ですが、何せ冒頭での演奏だけにペース配分に気を遣います。リハーサルでこの練習が最後にまわりましたので、最後は力を出し切る形になりました。エクステンダーの上げ下げも頻発する曲で、一ヶ所戻すタイミングを失った後はしばらくきつかったです(ポジション移動が不可能に近くなる)。一瞬の油断もできません 2曲目は元々はモーツァルトの「フィガロの結婚」序曲を演奏する予定でしたが、6月に公演スライドして一部の踊り手さんのスケジュールが合わなくなってしまったことから、曲目変更となりました。今日は次回以降で舞台に掛けるためこれまでの稽古の集大成としての演奏録音録画、ということになりそうです。 こちらも楽譜はBreitkopfの旧版譜面。見開きで演奏できるのでありがたい。Bärenreiterの新版はオタマジャクシの幅は大きくて見やすいのですが、譜めくりが発生してしまいます。この忙しい曲で譜めくり(しかもかなり忙しいところでのめくり)は避けたいところです。 3曲目は二つの曲を構成したバレエならではの構成。まずはチャイコフスキーの「くるみ割り人形」行進曲を演奏(後半での繰り返しを1回カット)した上で、シェーンベルクの「浄められた夜」(浄夜)に続きます。浄夜を冒頭から99小節目のドミナントトレモロまで演奏したら、最後にまた「行進曲」の冒頭2小節が返ってきて、繰り返しながらフェードアウトする、というものです。くるみ割り人形はポピュラーな曲ですし、行進曲は組曲ではもちろんのこと、抜粋でも大抵入りますし、アンコールで単独でも演奏するような曲。 そして中間部のシェーンベルクは、室内楽の名曲、弦楽合奏版はそのジャンルでの重要レパートリーとは言え、私は初めての演奏でした。シェーンベルクといえば十二音技法など前衛的な印象が強いですが、この「浄夜」は最初期の作品でありまだ調性がかなり残っており後期ロマン派の香りが高い曲です。そのためファンも多く、オリジナルの弦楽六重奏、そして作曲者自身の編曲による弦楽合奏版ともそれぞれの編成分野のメジャーで貴重なレパートリーとなっています。 ただこの曲、楽譜に問題があって、第二次大戦で亡命した枢軸国圏の作曲家共通の「母国の版権が亡命で回収できない(お金が入ってこない)ため、亡命先で改訂版を出版して版権を得る」対応をしたためか、大きく二つの版が存在しています。どうも今回はスコアが改訂版、楽譜は初版のものだったようで、速度記号、発想記号の違い(ドイツ語だったり英語だったり以外にも、追加や削除がある)、パート分割したときの楽器の割り振りが違っていたり、コントラバスでも弱音器指定がパート譜になかったり、とかなりリハーサルではその違いの確認に時間を取られていました。 こういうところは曲や楽譜の知識をもったオケだと事前にきっちりそろえてくるのですが、なかなか人材が揃っていないと難しいかもしれません。なかなか八幡オケのようにバシッと揃わないのは、しょうがないかもしれません。。演奏は各所にオペラパークからの強力助っ人を配置した弦楽合奏群の力で、なかなか良い演奏だったように思います。途中までの演奏、というのがとても残念です(といって、全曲演奏だとかなり長いし、難度も高いのですが) 最後はマーラーの交響曲第5番の第4楽章(アダージェット)。単一楽章としても非常に有名で、映画音楽にも使われた位なのでひょっとしたらマーラーの曲の中では最もポピュラーかもしれません。私も初めて弾いたマーラーはこのアダージェット(学生時代の府立大オケアンコール)でした。今回はその時の譜面を使っての演奏です。(配布されたダウンロード譜がちょっと見にくかったこともあり)これも「浄夜」と同じ弦楽合奏ですが、そこにハープが加わります。コントラバスは言ってみればハープの最低音域と一緒に動くような形で、しかも曲のテンポが変幻自在でアンサンブルが難しいことから、できればハープさんとはお互いよく見える位置で演奏したいものです。ただ今回はピットで暗い中、中央奥(Cb)と下手奥(Harp)で結構ドキドキな状態でした。 この曲は香港で踊られたフィルムと合わせて演奏する形でした。本番は演者が来日されるのか、それともコロナ禍ということでフィルム合わせとなるのか定かではありませんが、国際的で本格的な企画でした。演奏も客演コンマスA島さんのわかりやすいアインザッツで概ねしっかりとした演奏となりました。。。私が思いっきり数数え間違えて飛び出した一ヶ所を除き・・・ひー アンコールは「カーテンコール」となるはずですが、まだどういう形で行うか未定のようです。そこに曲をつける予定も、今のところは無いようです。 リハーサルですし、このコロナのご時世ですので今日の公式打ち上げは、(当然ながら)ありませんでした。本番の後も打ち上げはどうなりますやら・・まずはとにかく演奏会自体が無事開催され、この意欲的な企画のシリーズが、盛会裏に始まることを心から祈っています。 コントラバスの当日メンバーは、ここまでのリハーサルのメンバーと総入れ替えになってしまいますが、噂では若手フリープロが並ぶらしいので、より安定して充実したバスパートになることでしょう。 きらきら母交響楽団さんとしては、この日のリハーサルの後は6月前半に自主公演、後半のこの演奏会、とコロナで押してきたスケジュールを一気に消化するタイトな予定が待っています。自主公演の方も無事演奏会が開かれることを祈っています。 過去の演奏経歴です。通算361ステージ目。■ベートーベン:交響曲第5番「運命」 (全曲演奏のみ)1984/11/09 京都府立医科大学交響楽団/加藤 完二1987/12/13 アンサンブル・モーツァルティアーナ/岡田 司1991/9/21 横浜シティ・フィルハーモニック/鎌田 由紀夫1991/12/23 桜美林オーケストラ/セルジョ ソッシ1993/2/27 BOT交響楽団/草野 保雄2016/1/31 八幡市民オーケストラ/藏野 雅彦 (Bärenreiter版)■モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲1991/1/13 宇治シティフィルハーモニー/脇坂 英夫2006/10/22 八幡市民オーケストラ/高谷 光信2010/7/31 八幡市民オーケストラ/安藤 亨2020/2/16 墨染交響楽団/大島 正嗣 (Bärenreiter版)■チャイコフスキー:バレエ「くるみ割り人形」から「行進曲」1987/6/17 京都大学交響楽団/金 洪才(抜粋)1987/6/18 京都大学交響楽団/金 洪才(抜粋)1993/10/03 秦野市民交響楽団/川合 良一(組曲)1995/4/15 東京グリーン交響楽団/川本 貢司(組曲)2000/5/27 清水フィルハーモニー管弦楽団/藤崎 凡 (行進曲のみ)2005/5/29 沼津交響楽団/横島 勝人(組曲)2014/6/14 滋賀医科大学管弦楽団/岩井 一也(抜粋)2019/3/3 紫苑交響楽団/牧村 邦彦(組曲)■シェーンベルク:浄められた夜(前半部分) ・(初)■マーラー:交響曲第5番第4楽章「アダージェット」1987/11/06 京都府立医科大学交響楽団/加藤 完二(4楽章のみ)1998/11/08 東京グリーン交響楽団/川本 貢司 (交響曲全曲)2007/11/18 八幡市民オーケストラ/井崎 正浩 (交響曲全曲、アンコールで第4楽章再演)西宮きらきら母交響楽団さんでの演奏記録です。・2021/6/23 第1回T-raum ダンスクリエーション (「運命」全曲 他)