滋賀医科大学管弦楽団 第67回定期演奏会(団友出演:2017/12/17)
キリ番を越えてステージ数301回目の新たなステップは、長らくお世話になっている滋賀医科大学管弦楽団さんとの公演にて踏み出すこととなりました。《滋賀医科大学管弦楽団 第67回定期演奏会》日時 2017年12月17日(日) 開場13時30分 開演14時場所 栗東芸術文化会館さきら曲目 チャイコフスキー スラブ行進曲 ハチャトゥリアン 組曲『仮面舞踏会』 ドヴォルザーク 交響曲第5番指揮 岩井 一也(音楽監督)入場料 無料 今年(2017年)は冬の訪れが早くすでに真冬の寒さではありましたが天候には恵まれ、有名曲とは言いがたい交響曲第5番、当オケにとっては珍しい日曜公演で他の市民オーケストラ公演と競合(ひこね第九オケ、奈良響さん等)したにもかかわらず、600名近いお客様がお越しくださいました。演奏曲目別の詳細内容は、次のとおりです。 ・チャイコフスキー:スラブ行進曲 (2回目) ・ハチャトリアン:「仮面舞踏会」組曲(3回目)*ワルツのみの演奏は除く ・ドヴォルザーク:交響曲第5番 (2回目) (すべて共通) 3.5Pult中2Pult In 独弓、4弦、エクステ未使用 (アンコール) ・ドヴォルザーク:スラブ舞曲第8番(3回目) 2Pult中2Pult In 独弓、4弦、エクステ未使用 コントラバスのメンバーは前回の演奏会で2人が卒団しましたが、うち1名は国家試験受験勉強の合間を縫って演奏に参加してくれて、前回からのスライドメンバー含めると1名減となる7名での演奏となりました。2回生1名、5回生(医学部ですので普通です)1名、6回生(卒団生)1名、OG1名と、ここ10年くらい不動のエキストラ、Nさん、Kさん、私の3名がお手伝いする形でした。OGとエキストラは前回のドボ5の演奏にも参加していたので、珍しい曲にもかかわらず経験値十分な、頼もしいバックヤード隊です。 演奏技量の向上と共に団員も増加傾向の滋賀医大オケ、今回は弦楽器の編成が結構厚くて、ドヴォルザークはほぼ14型、アンコールは16型という、通常のオーケストラ演奏ではMAXに近い編成が揃っていました。(スラブ行進曲の弦楽器は上から、14-15-12-12-7人)さきらのステージではほぼいっぱいいっぱいで、Vcパートは折り返してなんと花道側にはみ出して演奏されたようです。 エキストラに頼っていたパートも少しずつ団員やOB/OGメンバーに置き換わってきて、本番で若さを見せることもありますが、普段の練習が充実する分、合奏の安定感は格段に増してきました。最近は特に金管楽器や弦楽器のメンバーが増え、良い練習が出来ているんだろうなぁ、と思わせる音があちこちから聞こえてきます。 演奏会場は、いつもの「栗東芸術文化会館さきら 大ホール」です。10年ほど前に南草津の(現)「クレアホール」から移って以来、ずっとお世話になってます。シューボックスタイプの中規模ホールで長岡京のホールと雰囲気は近いですが、よりシューボックスの特徴が出た響き(=ザ・シンフォニーホールに近い響き)がするように思います。その分リハーサル時のステージ上での合わせにくさもシンフォニーホール並みで、以前は前日のゲネプロでハラハラする場面も何回かありました。しかし最近はホール入りの前に良く響く(響きすぎる)学内の場所を使って練習して響きになれる工夫もし、練習で安定したアンサンブルを練り上げることが出来る(練習でほとんどのパートの音が聞こえてくる)ことから、今回はリハーサルでもアンサンブルの不安は全然感じませんでした。本番聞くだけだとわかりません(お客様が入ると、ステージ上の聞こえ方も落ち着くのです)が、こういう所にこのオケの成長を感じることが出来ました。 コントラバスのステージ配置は前4-後3(人)。私は後列一番奥。前回あった雛段は、今回はありませんでした。チェロパートがまさかの花道側折り返し、の必殺技を使ってくださったことと後列が3人だったことから、コントラバスの空間は比較的余裕がありました。 指揮は同団OBで、長く音楽監督を務めておられる岩井先生。現役のお医者様でもあり、リハーサル途中たまに入る医学ネタは、現役学生さんからみたら「先輩」同業の方の話で受けが良く、ためになるみたいです(私のような門外漢には、たまについて行けない話題もありますが(笑))。指揮での音楽経験も長く、他のオーケストラでもタクトを取っておられることもあり、オケの統率力は抜群です。解釈も「ここ一番」でぐっと決めるテンポ運びで、今回も交響曲のラスト、演奏している私も感動してしまう演奏になったのは、この見事なテンポ設定にあったのではないかと思います。演奏後「ブラボー」があったのもむべなるかな、です。 1曲目のスラブ行進曲、私の世代では吹奏楽でのメイン曲、コンクール自由曲、というイメージが強い曲ですが、チャイコフスキーらしい線の太い弦楽器の扱いと金管中心とした派手な盛り上がりをする曲です。吹奏楽で取り上げるだけあって、♭中心の曲(変ロ短調~変イ長調~変ロ短調~変ロ長調という、♭5つがほとんどで最後に2つに減る)であり、弦を押さえる左手が一曲目にしてすでにしんどいなー、状態です。歳やわ。 演奏自体は、行進曲という曲の基本に立ち返ったきびきびした曲運びと最後の盛り上がりを併せ持った、良い演奏になったと思います。こういう曲では弦楽器の厚みがあると本当にチャイコフスキーらしいサウンドが得られ、今回の厚い弦楽セクションがぴったりはまったと思います。 2曲目はハチャトリアンの「仮面舞踏会」組曲。フィギュアスケートの浅田真央さんが演目の楽曲に使ったことから、一時は大流行した曲です。滋賀医大オケが以前演奏した時はバイオリンソロが入ったりする緩徐楽章をカットしたのですが、今回は当然のように全曲演奏です。2曲目のバイオリンソロも堂々たるものでした。この曲、1曲目が「ワルツ」であり、前回演奏の「エフゲニ=オネーギンのワルツ」さらに前の「ジプシー男爵序曲」など滋賀医大オケはこのところ、ワルツの曲を結構取り上げています。 コントラバスにとってワルツの頭打ちは、単純でありながらパートとしてのコントラバスの性能が問われる(よくわかる)ものなので、緊張します。今回もややトロンボーン、チューバに助けられたとはいえ、音出しの位置、音のスピード、弦との引っかかり感等々、数年前から比べてずいぶん良くなってきました。今のような状態の時にウィンナワルツ、できるといいな・・曲全体としては、奇数番のリズミックな曲は溌剌と演奏した反面、2,4曲目の叙情的な演奏は若干苦手だったようで。。ロマンティックな演奏をするには、人生経験が必要かな? 3曲目はドヴォルザークの交響曲第5番。ドヴォルザークの交響曲と言えば、交響曲ジャンルでトップに近い人気を誇る「新世界から」(第9番)を筆頭に、第7番、第8番の後半3曲が有名で、良く演奏会に取り上げられます。それ以外の1~6番については、生前から出版されていた5番、6番(なので生前はこの5曲で1~5番の番号が振られたため、古い譜面だと「新世界から」が5番とかになっています)が最近ポツポツと取り上げられるようになった感じでしょうか。5番、6番どちらもブラームスやワーグナーの雰囲気があり、後半3曲のような先人の影響を消化してさらに「ドボルザークらしさ」があるという訳ではありませんが、ドボルザーク得意の3楽章を中心に、印象的な佳曲となっています。私もここ5年くらいで6番を2回、そして5番が今回で2回目になります。 ちなみに私は滋賀医科大学オケで5~9番クリアして、さらに5,9は2回目、と当オケ、かなりのドヴォルザーク好きです。というか、一般的に学生オケさんにとって、楽器編成がお手頃(ハープ無し、トロチューあり)でオーケストレーションに無理が少ないドヴォルザークの交響曲は比較的演奏しやすいので、今後ともブラームス、チャイコフスキーと共に良く取り上げられるのでは無いかと思います。 演奏は、前回(5年前)の演奏経験者や、その時下回生で演奏を横目で見ていた(聴いていた)OB/OG,当時から連続出演を続けるエキストラ陣が先生の解釈や演奏意図をしっかりくみ上げ、学生さん達が練り上げた安定したアンサンブルの上にうまく乗っかった演奏になったように思いました。現役の方には少々難しい管楽器のソロパートや、難しいかみ合わせのアンサンブルのところは悲喜こもごもの結果となりましたが、音楽の骨格がしっかり流れていたところは、練習の成果が遺憾なく発揮されていたように思います。 ドボルザーク特有の、クライマックスでとんでもなく高い音を要求する1stバイオリンや、金管の厚みあるコードが立派に決まり、曲の大詰めで大きな感動を呼べた、良い演奏だったと思います。私も最後、胸が熱くなり、目が少々潤んでしまいました。本番弾いていて感動する、というのは意外と少ないので、良い瞬間に立ち会わせてもらえたことに感謝でいっぱいです。 アンコールはドボルザークを取り上げた時の定番、スラブ舞曲。その中でも1番,10番と双んで有名な、第8番でした。ところが私の演奏経験は過去を手繰ると1番がほとんどで、8番はなんとようやく3回目、というものでした。それでも学生時代(2回生)にやった曲、というのは恐ろしいもので、ポジションや曲の入りはほとんど身体が覚えていました。若い頃にやっておく、というのは凄いことだな、と改めて思います。 打ち上げは、いつもの「焼肉の麗門」(石山)。ですが今回は、次の土曜に本番を控える演奏会の最終練習があり、そちらへの出席のために涙を飲んでの欠席となりました。演奏中、顔を合わせて音も交わす現役の皆さんですが、当然ながら練習中に言葉を交わすことはほとんど出来ず、このような打ち上げが貴重なコミュニケーションの機会なだけに、残念です。次回こそは! その次回の定期演奏会は来年6月9日、同じくさきらにて岩井先生の指揮の下、曲はチャイコフスキーの交響曲第4番他、というプログラムとなるようです。公演日が通例の土曜日に戻り、いつものエキストラさんもいっぱい帰ってきてくれるのではないか、と密かに期待しています。で、チャイ4となるとベースが8人ほしいのですが・・(笑) 演奏会場柄、会社の知り合いや近隣のオーケストラの知り合いの方が演奏会にお越しくださっていて、感想を聞かせてもらえるのが貴重だったりします。私が住んでいる近所のオーケストラでもあり、これからも(人数増えたので要らない、と言われるまで)お世話になれるといいですね。 過去の演奏経歴です。通算301ステージ目。スラブ舞曲もずいぶん演奏させてもらいましたが、コンプリートにはほど遠いですね。■チャイコフスキー:スラブ行進曲 ・岩井 一也/滋賀医科大学管弦楽団(2013/6)■ハチャトリアン:「仮面舞踏会」組曲(ワルツのみの演奏は除く)・三河 正典/小田原フィルハーモニー交響楽団(2004/12)・岩井 一也/滋賀医科大学管弦楽団(2011/12) *抜粋■ドヴォルザーク:交響曲第5番・岩井 一也/滋賀医科大学管弦楽団(2012/12)■ドヴォルザーク:スラブ舞曲第8番・井上 道義/京都大学交響楽団(1983/6)(アンコール)・岩井 一也/滋賀医科大学管弦楽団(2009/12)(アンコール)これまでに演奏したスラブ舞曲 No.1,3,5,6,8,10,12,15滋賀医大さんでの演奏記録です。演奏会に再登場してから丸10年を越え、21回分弾かせてもらったことになりました。47回以降皆勤です。学生さんはもう3廻り目?くらいの世代。・第9回定期演奏会 1988/6 滋賀医大学内講堂 (ペールギュント組曲他)・第47回定期演奏会 2007/12 しが県民芸術創造館 (「新世界から」他)・第48回定期演奏会 2008/6 栗東芸術文化会館さきら(「悲愴」他)・第49回定期演奏会 2008/12 栗東芸術文化会館さきら(ブラームス交響曲第4番他)・第50回定期演奏会 2009/6 栗東芸術文化会館さきら(「田園」他)・第51回定期演奏会 2009/12 栗東芸術文化会館さきら(ブラームス交響曲第2番他)・第52回定期演奏会 2010/6 栗東芸術文化会館さきら(ドボルザーク交響曲第8番他)・第53回定期演奏会 2010/12 栗東芸術文化会館さきら(チャイコフスキー交響曲第1番他)・第54回定期演奏会 2011/6 栗東芸術文化会館さきら(ブラームス交響曲第3番他)・第55回定期演奏会 2011/12 栗東芸術文化会館さきら(ドボルザーク交響曲第7番他)・第56回定期演奏会 2012/6 栗東芸術文化会館さきら(ブラームス交響曲第1番他)・第57回定期演奏会 2012/12 栗東芸術文化会館さきら(ドボルザーク交響曲第5番他)・第58回定期演奏会 2013/6 栗東芸術文化会館さきら (「新世界から」他)・第59回定期演奏会 2013/12 栗東芸術文化会館さきら(チャイコフスキー交響曲第5番他)・第60回定期演奏会 2014/6 栗東芸術文化会館さきら(シューマン交響曲第4番他)・第61回定期演奏会 2014/12 栗東芸術文化会館さきら(シベリウス交響曲第2番他)・第62回定期演奏会 2015/6 栗東芸術文化会館さきら(ブラームス交響曲第4番他)・第63回定期演奏会 2015/12 栗東芸術文化会館さきら(チャイコフスキー交響曲第1番他)・第64回定期演奏会 2016/6 栗東芸術文化会館さきら(ドボルザーク交響曲第6番他)・第65回定期演奏会 2016/12 栗東芸術文化会館さきら(ブラームス交響曲第1番他)・第66回定期演奏会 2017/6 栗東芸術文化会館さきら(ブラームス交響曲第2番他)