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2007年6月2日放送の「トップランナ-」で彫刻家の棚田康司氏を知った。 中性的でどこか不安定な姿勢・もの哀しげな表情の少年少女たち。 はっとして目を引かれ、次には見入ってしまう。 彼らは一本の木から生み出されたらしい。 印象的だったのは「立ち上がる少年」像。 2004年9月1日、学校の始業式の日に突然起こった悲劇、ベスラン学校占拠事件。 ロシアの北オセチア共和国、ベスラン第一中等学校で起きたテロで350人以上が死亡(うち186人は子ども)した大惨事。 多国籍の武装集団に銃で脅され、頭上に爆弾をしかけられたこの時、犯人グループに立ち上がって抗議した少年(13歳の少年ハッサン・ルバエフ君)がいた。 結局彼はその場で銃殺されてしまったが、テレビで見ていた棚田氏は「なんだこれは」と思ったという。 「なんだこれは」という想いがあった、と。 右方向を見据えて、片足を少し浮かせた立ち姿。 右手と左手でおむすびを握っているような造形。 おむすびにあたる空間には何もない。 そこにあるべきものは何なのか。 作者は語る。 「自分の握りこぶしがちょうど入る大きさにした。」 「心臓の大きさはちょうど握りこぶしの大きさだと聞いたことがあって。」 心臓のような、何か大切なものを持っている少年。 一歩前に出ようとするような、不安定な足元。 表情は決して明るくない。 むしろ愁いを帯びて哀しげだ。 それでも踏み出そうとする一歩。 棚田氏は長く「顔」を表現することができなかったという。 きっかけになったのは祖父母の結婚式の写真をベ-スにして作った彫刻。 「顔」がない時期は、自分の顔をかたどった仮面を人形に貼り付けていたこともあったそうだ。 リンカーン曰く、「男は40過ぎたら自分の顔に責任を持て」。 男女同権・自己責任と騒がれる時代、女も自分の顔に責任を待たねばなるまい。 しかし。一体いくつになったら納得できる顔になるものやら。 自己責任というより自業自得というべきか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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