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2017年11月14日
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カテゴリ:音楽について

先日、大阪フェスティバルホールで行われたハンガリー国立歌劇場のオペラを観てきました。演目は「ルチア」でプリマドンナは現代のマリア・カラスと謳われたグロベローヴァさんです。

観てきました、といっても、私はもともとオペラファンでもなく、身内が関係者という恩恵に与って世界の超一流の総合芸術を観に行かせてもらうことになった、というのが正確なところです。

関係者のみなさんによくしてもらって何をどこまで書いてOKなのか分かりませんが、私がフィドラーということに絡めて面白かったことを書こうと思います。オペラに詳しい人の評ではないのであしからず。

まず、作品の「ルチア」はもとはスコットランドで実際に起こった事件をスコットランドの小説家ウオルター・スコットが作品にしたものをイタリア人がオペラに仕立てたものです。1835年初演だそうですから、イギリスは黄金期のヴィクトリア朝のはじまり頃で、啓蒙時代を経て人々が人間の善良さを信じたロマンチックだった時代。

内容は「ロミオとジュリエット」の様な、「ジゼル」の様な、結ばれない恋と政略結婚にまつわる悲劇です。登場人物の名前は全員イタリア風でも、舞台演出で女性のドレスを紺や深緑にしてスコットランド風を出すのが定番のようです。

当時の人々が、カトリックとプロテスタントで王家が長年対立し、また、族(クラン)の結束を大事にするスコットランドのイメージのままに、ロミオとジュリエットに似た現代版の事件として、リアル感を持って驚きと涙でオペラを観たであろうことは想像に難くありません。


今は、自由恋愛推奨で誰でも好きな人と結婚していい時代ですので、こういう結婚の縛りは日本の伝統の心中物も同じで実感として理解できないテーマになりつつあるのではないでしょうか。

オペラは盛んに作られた当時は、当然その時代の流行りものか、誰も見たことのない新しいものをやっていたわけで、トラッドも当時は流行りものの当世風ポップス。(そして、クラシックの世界は新しいものを生まなくなって古典となり、トラッドは様式だけを保って新しいものを生み進化し続けています。)古典は定番として傑作でもテーマが古く時代に合わなくなってきているものもあるというのは本当でしょう。


とはいっても、ヒロインの心の動きは伝わってきます。それが伝播して会場全体が不思議な雰囲気になってきます。オペラのプリマドンナはただの歌手ではなく女優です。上手に歌えることと演じることは別物で、最高の技術を兼ね備えた女優は人を引き込む力も本物です。

しかも、プリマのグロベノーヴァさんは御年70歳! 役はおそらくティーンの設定ですが、多感な乙女にしか見えないのです。

また、歌の技術にも陰りがまったくないことを特筆しておきましょう。ほんとうに信じられません。 私たちは老年のフィドラーがよい演奏をするのを知っていますが、体が楽器である声楽家がいつまでも遜色なく歌うのはよくあることなのでしょうか。体と精神のケアの途方もない努力を思って気が遠くなりました。

舞台裏のことも書きたかったのですが、最後に、歌、音楽、間合い、動き、場面展開、どれをとっても舞台全体の印象がとっても自然である、ということに気が付いたことを書いて終わりにします。

あとで指揮者に「音楽が場面場面に合っていて自然でそれがとても自然で、感情移入して劇を楽しめた。」と言ったのですが、伝わったかしら?

トラッドでよく、楽しい感じを演出するために演奏者が作り笑顔で演奏したり、ノリに乗っている風を出すために足をけり上げたり体を大げさにゆすったりして演奏している、その様子が不自然なことに気になったりします。

本当に技術がありこなれたものは、力が抜けていて自然に観ることができるのですね。

私も音楽をすっかり理解して身について、楽器が体の一部となって、欲もなく、音楽の集中力だけを夜の明かりのように頼りにして、自然に演奏できるようになりたいなと思いました。









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最終更新日  2017年11月14日 14時27分20秒
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